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ディーと私  作者: 真月
16/18

日常

「おはようございます、美里」


耳に心地よい声で覚醒を促される。


急速に浮上する意識を掴んで、ゆっくりと目を開ける。


ベッド脇に立つ、無機質な瞳。


「おはよう、ディアス」


上手く回らない口でそう返せば、力強い腕で優しく背中を起こされ軽くハグされる。


そのまま額にキスをされ、微笑み掛けられる。


「おはようございます、美里。よく寝られましたか?」


こくん、と頷けば、今度は両頬に降ってくるキス。


「朝食の用意が出来ています。起きられますか?」


気遣うような声音に、仲良くしたがる瞼が抗えない。


「起きられない。起こして?」


無言で布団が捲られ膝の下に腕が差し込まれて、ベッドに腰掛けさせられる。


「洗面所まで歩けますか?」


「無理。連れて行って。」


あぁ、まるで子供だ。





顔を洗って目を覚ます。


朝食を食べて、食後にコーヒーを飲む。


ディアスと暮らし始めてから、何故か以前より早起きが苦痛で無くなった。


なので朝からこんな余裕もある。


「美里、そろそろ着替えを。」


そう促され、支度を始める。


今日は通販のブラウスにバーゲンのタイトスカート、セミオーダーのジャケット。


『ポイントさえ押さえておけば、それなりに見えるモノよ』


とは室長さんの言だ。


ディアスという大きい出費をした以上、無駄な洋服を買う余裕はない。



「どう?変じゃない?」


「変ではありません。似合っていますよ、美里」


にっこり笑って返される。


後半はともかく、前半は間違ってはいないのだろう。彼の持つネットカタログの商品がその裏付けなのだから。




「いってらっしゃい、美里」


「行ってきます」


キスとハグで別れを告げる。両親が見たら赤面ものだろう。


ドアを開け、廊下を歩き、階段を下りる。


大丈夫、今日もまたやっていける。


私にはディアスという逃げ場があるのだから。




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