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ディーと私  作者: 真月
12/18

家電


硬直したまま、相手の腕の中で時が過ぎる。


時間が経てば動揺も多少は落ち着き、考える余裕も出てくる。


「ディアス」


「はい。何でしょう。」


にこにこと笑って答える彼。人間だったら表情筋が()っているに違いない。



「とりあえず、靴を脱がせて頂戴。」


靴を脱ぎたいから離れてくれ、という意味合いで相手にそう言ったのだが、突然笑顔が消え。


「わかりました。」


何か気に障ったのか、と思う間もなくその場に跪き、


「肩につかまって下さい。」


私の靴を脱がせ始めた…!



一旦落ち着いた心臓が、再度鼓動を活発にする。


そのまま靴を脱がされ、差し出されるスリッパを履くと、一目散に自分の部屋へと避難する。


部屋のドアを音を立てて閉じ、深呼吸を3回。


(あれは冷蔵庫、あれは電子レンジ、あれは洗濯機…)


週末ディアスの取扱説明をしてくれた室長さんが意味深な笑顔で言っていた言葉。


『彼のすることに我慢ができなくなったら、とりあえず電化製品だと思うようにして。プログラムじゃない命令は認識できないことも多いから。音声認識だと、どうしても人間相手の感覚が出ちゃって余計に不都合を感じやすいから。』


そんなことを思い出しながら気持ちを落ち着けていく。大丈夫。奴は家電だ。


さっきのは、口に出した言葉が‘靴を脱がせろ’という命令(コマンド)になっていたからそれを実行しただけ。


それに、‘笑顔でお出迎え’という命令(コマンド)が‘靴を脱がせる’という命令(コマンド)に上書きされたから、表情が変わっただけ。


機械に感情なんてないんだから、機嫌なんて無い!



そう考えると少し落ち着いた。


そうだ。機嫌なんて気にすることないんだ。


だってあれは機械。家電と一緒。


文句を言っても泣いても怒ることなんてない。


思ったままをぶつけても、ひどい言葉を返されなくて済む。



動揺を納めた私は、ドアを開けそっと彼を呼んだ、


「ディアス?」


少しの間があり、こちらに静かに近づく足音。いつもと変わらぬ微笑を浮かべながら、


「なんでしょう、美里?」


その声を聞いて安心感が広がる。大丈夫。これは私を傷つけるモノじゃない。



「お腹が空いたわ、夕食は出来てる?」


「はい。18分早いですが、開始しますか?」


「そうね。着替えたら行きます。準備して頂戴。」


「わかりました。5分後に夕食を開始します。」


先程のことが無かったかのように、淡々と私たちは会話をして夕食をとることになった。





サブタイトルが気に入らないので直すかもしれません。


こんなのが!とかあったら教えてください。

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