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初めまして、私は勇者の…。【連載版】  作者: 徒然草


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8.リリアンの憂鬱1

今回からはリリアン視点の勇者一行のお話です。今回は本編(第1話)のアスランとアリーが再会した時のリリアン視点の話です。


「俺の名前はアスラン、これからよろしくな!」


 リリアンはアスランと初めて会った時から好きになっていた。そして共に旅を続けて、アスランへの想いは強くなり、心の底から愛するようになった。



「やっと皆にアリーを紹介できるな!」


 だから、旅の途中で何度も聞いたアスランの幼馴染の女の子、アリーの存在がリリアンにとって面白くなかった。魔王を倒してアスランの村に行く事になった時、アスランがどんな場所で生まれたのかを知りたいという楽しみな気持ちと、アリーに会う事になるのだろうなという憂鬱な、嫌な気持ちがリリアンにはあった。


「久しぶりだな、アリー!!」


 村に到着し、村人達から歓迎された後、アリーを発見したアスランは子供のようにはしゃいでアリーに駆け寄っていく。アスランの嬉しそうな姿に、リリアンはアリーと話した事もないのに心の底から気に食わないと思ってしまった。リリアンがアスランの恋人である以上、幼馴染であるアリーとは今後も関わる事になると思うとリリアンは憂鬱な気分になった。


「皆さん初めまして。私は勇者アスランの元下僕のアリーです。」


 だがアリーの自己紹介から始まった、アスランに対する嫌悪と恨みの言葉はリリアンの憂鬱を掻き消すほどの衝撃を与え、愛するアスランの心をズタズタに傷付けていった。追い詰められていくアスランを見兼ねたリリアンは口を挟んだが、アリーはリリアンを冷たく睨みつけてきた。


「アスランは性格だけじゃなくて、見ての通り外見も良いのですっごくモテたんですよ。だから幼馴染と言われる立場で、パトロールという名目で彼の傍に居た私は村の女の子達から嫉妬されました。睨まれるし陰口を言われるし…さっきの貴女みたいに露骨に嫌な態度を取られました。もう慣れてきましたけど、昔は家に帰って泣いた事もあるんですよ、本当に辛かった…。」


 アリーの指摘にリリアンは何も言い返せなかった。アスランに大事に想われている事に対して嫉妬していたとはいえ、アリーに何かをされた訳ではないのに嫌な態度を取った自分は良くなかったという自覚を持ったからだ。そしてリリアンが羨ましいと思っていたアスランとの繋がりを、幼馴染という関係は嫌だったと吐き捨てるアリーにアスランの顔色は悪くなっていった。


「…謝ってくれるならお願いがあるの。アスランの本心なんてもうどうでもいいから、私を幼馴染だなんて二度と言葉にしないで。」


 今までの事を謝罪するアスランを気にかけず、容赦なく絶縁宣言をするアリーに、アスランは絶望したような悲惨な表情をした。今度はブルーノが何とかしようと口を挟んだが、アリーの口から出たのは嫌われ者のバロウと恋人同士であり、近いうちに結婚するというアスランをさらに追い詰める言葉だった。


「…改めまして、勇者アスランと皆さん。この世界を救って下さって、本当にありがとうございました! お陰で私は大切な人と結ばれる事が出来ます。」


 何とかアリーを呼び止めようとするアスランの言葉を聞かず、バロウとの惚気話を幸せそうに話し、晴れやかな笑顔で感謝と別れの言葉を言ってアリーは背を向けてしまった。誰も、アスランでさえ予想出来なかったアリーの言動に衝撃を受けすぎて、リリアン達はただ段々と小さくなるアリーの後ろ姿を見つめる事しか出来なかった。



「…お、おいアスラン。大丈夫…か?」


 ぎこちなくアスランを気遣うダンの声に、リリアンとブルーノは止まっていた時間が動き出したかのようにハッとしてアスランを見た。アスランもダンの声で我を取り戻したかのように身体をビクッと震わせた。


「っ、このままじゃ、駄目だ…ぁ、アリーッ!! 待ってくれっ!!」

 

 アスランは大声でアリーを呼ぶがアリーに届いていないのか、それとも無視しているのか…アリーの姿はどんどん小さくなっていく。


「っ…!」


 アスランはアリーの元へ行こうと走り出し、リリアン達もアスランに続こうとした。しかし、


「も、もしかしてアスランなのか!?」


 視界の外、真横から聞こえてきた声に足を止めたアスラン達が振り向くと、誰かを背負い驚いた顔でこちらを見る男の姿があった。


「お、おじさんっ? …っ、婆ちゃんっ!!?」


 アスランは血相を変えて男の元へ駆け寄った。男が背負っているのは白髪のお婆さんだった。アスランの声に反応せずにぐったりとしている。アスランの言葉から察するに、アスランの祖母なのかもしれないとリリアン達は思った。


「っ、婆ちゃん、どうしたんだっ!? 一体何があったんですか!?」


「アスランッ、話は後だ。今は早くレコさんを病院へ連れて行くぞ!」


「っ、は、はいっ!!」


 アスランとリリアン達はレコを背負い走る、後にアリーの父親と判明する男と共に病院へ向かった。こうしてアスラン達はアリーの姿を完全に見失ったのであった…。

 

 


 勇者一行、というよりリリアンの話が始まります。アリーと別れた後のアスラン達の仲がどう変化していくかという話になります。もし宜しければ今後もお付き合いくださると嬉しいです!

 ここまで読んで下さり有難うございました!

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