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「ミートボールとの遭遇 」



 皆さんに、ひとつ質問をしたい。

 ――ミートボールとは、何だろうか。


 肉の球? 惣菜? スパゲッティの脇役?

 丸いから“ボール”と呼ばれているのか。

 では、もし四角い形をしていたら、それはもうミートボールとは呼べないのか。

 人類は長い歴史の中で、この問いに真正面から向き合ったことがあるだろうか。


 ――そんなくだらない疑問を、真夜中のファミレスで真顔で議論する二人がいた。



 国道沿いの古びたダイナー。

 ネオンの一部が切れかけ、看板は「DINE R」と欠けて光っている。

 ラジオのノイズ混じりの音が流れ、フライパンで何かが焼ける匂いが店内に漂う。


 仕事帰りの青年・トオルとカズマは、向かい合って大皿のミートボールスパゲッティを啜っていた。

 残業を終えたばかりの二人には、湯気を立てるミートボールがこの世の祝福のように見えた。


「なあ、トオル」

「ん?」

「ミートボールってさ……なんで“ミートボール”なんだろうな?」


 トオルはフォークを止め、しばらく固まった。

 “こいつは何を言ってんだ”という顔が、じわじわと出来上がっていく。


「いや……肉のボールだからミートボールだろ」

「でも、“ボール”ってなんだ? 形? 概念? 魂?」

「……お前、疲れてるな」


 カズマは本気だった。

 まるで“宇宙の真理”を問うかのように、皿の上の丸い塊を見つめている。

 トオルもつい、つられてフォークを置いた。


「確かに、丸けりゃいいってもんでもないか」

「そう。つなぎが多すぎると、それはもう“肉団子”だしな」

「イタリアとスウェーデンでも全然違うし」

「つまり“ミートボール”とは……多様性の象徴なんだよ!」


 その瞬間、ウエイトレスが現れた。

 派手な化粧に眠たげな目、口の端でガムをくちゃくちゃ噛みながら、

 二人のコーヒーカップに無言でおかわりを注ぐ。


「……アンタら、なに真面目に語ってんの?」

 カズマが「いや、ミートボールの定義を――」と言いかけたところで、

 ウエイトレスは面倒くさそうに肩をすくめた。


「スマホで調べりゃいいじゃん」


 そう言い残して、ガムを噛みながら去っていく。


 トオルはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。

「……まあ、確かに」

 そしてスマホを取り出し、検索窓に打ち込んだ。


 『ミートボールとは?』


 ――次の瞬間、画面が点滅した。


「ん?」


 スマホの光が脈打つように明滅し、奇妙な文字が浮かび上がる。

 見たこともないフォントで、そこにはこう書かれていた。


 『ハロー、地球の人。私たちもミートボール探してます。』


「……は?」


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