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7話.いつも通りの学校でした

本日2話目です。

「「「♪~♪~~」」」


 日曜日の今日は、昼から集まってボイストレーニングとダンストレーニングを行っている。

 いつもは指定のスタジオで集まってやっていたのだけど、今日から違う。

 明野と有明、もといユリアとユナの二人が借りていると思っていたマンション。

 この二人、金に物を言わせて上半分を全て買ったのである。

 最上階は防音になっていて、ダンスのような激しい運動をしても下の階に騒音を出さない設計。


 なにより、近い! そう、近いのだっ!

 今までは集まる場所が遠くて、朝早くに出てギリギリ昼前に着くので大変だった……。

 それが、これからは家から車で20分程で着く。

 これならトレーニングの開始時間を早めたって問題ないくらいだ。


「ふぅ、流石ねレオナ。音程もダンスも全く狂い無し。更にキレも増してる。貴女は一体どこまでいくのか、仲間ながらワクワクするわ」

「だよねユナちゃん! 私ももっと頑張らないと!」

「あら、レオナと比べなければ、貴女も十分よユリア」

「あっ。えへへ、ありがとうユナちゃん!」

「フン」


 相変わらずだなぁ。ユナは辛辣だけど、ユリアの事をちゃんと認めている。

 それはユリアも一緒で、私達は互いの凄さを認め合っている。

 だからこそ、完璧なタイミングで踊りを合わせる事が出来る。

 私一人ではダメだった。

 この二人と一緒だからの『スターナイツ』なんだ。


「……」


 私はしゃべらずにポカリスエットに手を伸ばし、ゴクゴクと飲みきる。

 500mlを一気飲みである。

 最初こそ二人は驚いた顔をしていたけど、今ではなんとも思われていない。

 これだけ動いているのだから、喉も乾くだろうと思われているんだろう。

 ちなみに練習の時だけだからね。


 声を出して踊りもとなると難易度が途端に跳ね上がる。

 歌だけでも大変なのに、そこに踊りの振り付けが入る。

 声をどこで強くだすか、踊りの強弱をどうつけるか、考えながら視線もファンやカメラへ向けて送らなければならない。

 まぁ最初こそ戸惑ったけど、今は慣れたものだ。


「そういえばレオナ、昨日は大活躍だったみたいね?」

「……」


 飲んだポカリスエットを吹き出すかと思った。

 SNSで話題になっていたし、エックスでバズっていたんだから、この二人が知っててもなんらおかしくはない。


「ああいえ、咎めているわけではないのよ? ただ、レオナは私達とも一緒に買い物に行った事ないでしょう? だから、少し羨ましく思ったの」


 そう言って、顔を赤くしてそっぽを向くユナ。

 なんだこの可愛い生き物は。

 普段の傲慢さが身を潜めて、可愛いを全面に押し出してきている。


「そうだよね。ねぇレオナちゃん、私達とも今度の土曜日、一緒に買い物、ダメかなぁ……?」


 両手を合わせて、下から覗き込むようにおねだりしてくるユリア。

 可愛い子がそういう事するのズルいんだってば!


「……」

「「本当!?」

「……」

「っ!!」

「やったねユナちゃんっ!」

「ええっ! っ!! と、当然でしょう、私達は仲間なんだから」

「あははっ! そうだねっ!」


 観念した私は、頷く事しか出来なかった。

 まぁ嫌ではないのだけど、男だとバレないかがただただ心配なだけで。

 ……そうだ、美香を連れて行ったらどうだろう?


「土曜日楽しみだねユナちゃん!」

「フン、そうね」


 ダメだ、本当に嬉しそうな二人に水を差すような事は出来ない。

 気合を入れて、バレないように頑張るしかない。


「さ、休憩は終わりよ二人共。続きをやりましょう」

「うん! ユナちゃん! レオナちゃん、がんばろーね!」

「……」


 コクリと頷き、トレーニングを再開する。

 こうして日曜日は過ぎて行った。


 翌朝。


「「行ってきまーす」」


 また誰も居ない家にそう言って出かける。

 両親は先週も帰ってこなかった。

 いや、一時は帰ってきているみたいだけど、出会うタイミングが無かった。

 美香は会ったみたいだけど、僕は家を出ていたからね。


「よう! おはよう!」


 肩にまた衝撃がきたと思えば、博人が横に並んできた。


「おはよう博人」

「おはよーございます」

「みーちゃんは相変わらず可愛いな!」

「はいはい、それは彼女さんに言ってあげてくださいねー」

「はははっ! 勿論毎日言ってるさ!」

「ひろ君はいつか後ろから刺されるかもしれないね」

「実は土曜日に彼女ほったらかして誰に電話掛けてたってめっちゃ怒られた」

「その節は大変ご迷惑をお掛け致しました……」

「いやまぁタクトのせいじゃねぇしなぁ。あの警備員が悪いだろ」

「普通SNSに載せる? って感じだよね、ひろ君」

「ああ。個人情報の漏洩ってレベルじゃねぇぞ。災難だったなタクト」


 そう言って、星美レオナに関する詳しい話を決して聞いてこない博人に、気遣って貰っているのを感じる。

 博人だって聞きたかったはずだ。

 幼い頃からずっと仲良くしてきたんだから。

 星美レオナの知人だなんて、なんで隠していたんだって詰め寄られるのも覚悟していた。

 なのに、博人は全然それについて聞いてこない。

 本当に、優しい奴だよ。

 僕が女なら、博人に恋をしていただろうな。


「そういやSNS見たか? 昨日みーちゃんが星美レオナと一緒に居たとこ、エックスでバズってたぞ?」

「あー、うん。ほら、土曜日の朝の事務所の件見た? その件の延長で付き合ったんだよ」

「見た見た、成程なぁ。クラスの奴らにもちゃんと言っといたから安心しろよタクト。事情があって黙ってたんだから、聞くような事するなよってな」

「博人……ああ、ありがとう」

「ひろ君、そーいうとこだぞ。お兄ちゃんの好感度稼ぐな」

「ははは! どっちかというとみーちゃんの好感度を稼ぎたいんだけどな!」

「彼女に刺されてしまえ」

「骨は拾うからね博人」

「お前ら兄妹は相変わらず息ぴったしだよな」


 なんて会話をしながら、学校へと向かった。

 すでに僕の机の周りには人だかりが出来ていて、座れそうにない。


「おいこらお前ら。明野さんに有明さんと話したいのは分かるけど、近くの席に迷惑かけるのはやめろよなー」

「あ、立川君おはよー。姫咲君、本当にごめん!」

「博人おっす。あー、マジでごめんな、ついさ」


 そう言って、僕の机を開けてくれる。

 博人は自分の机に鞄を置いてから、僕の机の前に来た。


「とりあえず今日は俺と一緒にいようぜ。なんかあったら俺が守ってやるからさ、タクト」

「博人は僕を攻略するつもりなの?」

「キショク悪いことを言うな」

「あはは、ごめんて」


 それからホームルームが始まり、授業も始まったけれど、特に何も語るような事は起きなかった。


「ねぇ姫咲君、ちょっと良いかな?」


 お昼休みになり、弁当を広げる僕と博人の前に、ユリアこと明野が来るまでは。 

お読み頂きありがとうございます。

現実恋愛カテゴリなので、恋愛要素をそろそろ出していかないととは思っているのですが。


ブックマークや評価を入れてくれた皆さん、本当にありがとうございます!

読んでくださる皆さんが居てくれると思うと、続きを書くモチベが上がります!

ではでは、続きも楽しんで貰えたら嬉しいです!

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