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5話.買い物に出かけたらバズりました

本日2話目です。

 早速美香と一緒に商店街へ買い物へ。

 いつもの僕ではなく、アイドルとしての私、星美レオナの姿で。


「お、おいあれっ! 星美レオナだっ……!」

「すげぇ本物だ!」

「サ、サインとかダメなのかなぁ!?」

「SNSで話題になってた人の妹って、隣の子かな? あの子もすっごく可愛いんだけど……」


 等々、もうすでに話題になっている。

 注目されるのは私は慣れている。だけど、妹はそうじゃない。

 体が硬くなってしまっている美香の肩を、ポンと叩く。


「お姉ちゃん……」

「……」

「……うん! せっかく買い物に来たんだから、楽しまないとね!」


 美香の顔を見て無言で頷くと、美香は私が言いたい事を悟ってくれたのか、笑顔でそう言ってくれた。

 その姿を見て、私はやはり微笑んでしまう。


「お、おいあれっ!」

「星美レオナが笑った!?」

「すげぇ激レアな場面に遭遇しちまったんじゃないかこれ!?」


 しまった、またやってしまった。

 星美レオナはクール系キャラで定着している。

 ファンサービスはやらないし、ファンの前で直接話す事もない。

 笑顔も見せず、ただ歌とダンスでファンへと声を掛ける。

 それがカッコよく、人気が爆発した。

 そんな星美レオナが優しく微笑んだら、ファンが驚くのは無理もない。


 ただ、この件が後で良い方向に話が流れるきっかけとなった。

 鉄仮面、氷の女王星美レオナが笑みを向ける女の子とSNSで取り上げられたのだ。

 勝手に普段の姿を撮影してSNSに上げるなと思うけど、今回に関してはグッジョブと言わせて貰おう。


 まずは服から始まり、小物に小道具、ぬいぐるみ等々、美香の買い物は幅広かった。

 アニメや漫画のグッズなども見て周り、お腹が多少空いてきた所でマクドナルドに寄る事になった。


「はぁ~、楽しかったぁ! お姉ちゃん、どれにする?」

「……」


 上にある看板を見ながら、どれにするかなって思っていると、アイドルグループのフィギュアがついてくるセットがあった。全三種類って、これ『スターナイツ』のじゃないか!

 しかし、見た目がどれも凄く可愛い。

 特にユリアとユナの二人の出来栄えが凄い。

 これは、欲しい。

 私は無言で指を指した。


「了解! 私も同じのにするね! 並んでくるから、お姉ちゃんは待ってて!」


 そう言って注文に並ぶ美香を見送ってから、私は近くの椅子に腰かける。


「ママァ! あの金髪のが欲しいのぉ!」

「うーん、でもこの青髪の子も可愛いでしょ?」

「やだぁ! 金髪のが欲しいのぉ!」


 そんな声が聞こえてきた。

 目だけで追ってみると、小さな男の子が泣きながら叫んでいるようだった。

 そしてそれは、偶然にも私が今頼んだセットについてくるやつだ。


「お姉ちゃん、お待たせ! どうしたの?」

「……」


 早いな! 今さっき行かなかったか!? ま、まぁそれはともかく。

 手に持っているセットについてきてるフィギュアを見ると、悲しいかな二つとも私のだ。

 なら、良いか。

 私はフィギュアを一つ、手に取る。


「あ、お姉ちゃん!?」


 そうして、今もなお泣いている男の子の前に行き、目を合わせられるようにかがむ。


「え? フィギュアのお姉ちゃん……?」

「ほ、星美レオナさん!?」


 男の子とそのお母さんが同時に驚く。

 私は男の子の頭に手をポンポンと置いてから、手にフィギュアを渡す。


「あ、これ……! い、良いの、お姉ちゃん?」

「……これで、泣かないな?」

「!! うん! お姉ちゃん、ありがとうっ!」

「あ、ありがとうございますっ……!」


 男の子は嬉しそうに笑って、お母さんは恐縮そうに、でも感激してそうな、嬉しそうにも見えた。

 私はそのまま美香の元に戻る。


「ふふ、相変わらずだねおに……お姉ちゃん。さ、私達も食べよっ!」

「……」


 黙って頷き、席に座る。

 一口齧るとハンバーガーの美味しさが口いっぱいに広がる。

 くぅ~! 美味しい!

 そんな表情が出ていたのだろうか、その日マクドナルドのフィギュアつきセットは今までで一番の売り上げを叩き出したとかなんとか。

 なんでそんな事知ってるのかって?

 エックスでこの事を投稿していた人がいて、それもバズってたからだ。

 今の世の中、すぐに情報が拡散されるから怖い。


「お姉ちゃん、昼からは少し一緒に公園でも歩こうよ!」

「……」


 私は黙って美香の頭を撫でる。


「えへへ、うん!」


 僕だと怒るけど、私だと喜ぶのだ。

 言葉を発しない代わりに、態度で示すようにしている。

 公園に着くと、どうやら駆け出しのグループが歌とダンスを披露しているようだった。

 最近では駅が主流だけど、時々こういった公園でやっている事もある。


「「♪~♪~」」


 二人が歌いながらギターを弾いている。

 それも私達『スターナイツ』の歌の一つだ。

 歌もギターも、路上でするレベルなら結構うまいと思う。

 だけど、動きが少なく華が無い。

 こういうの勿体ないなぁっていつも思う。


「……」

「え、お姉ちゃん!?」


 そう、今の私は星美レオナだ。

 なら、未来のライバルに塩を送ってやろうじゃないか。


「「♪~♪~えっ!?」」

「歌を止めるな」

「「!!♪~♪~!」」


 私は二人の歌と伴奏に合わせて、いつもやるようにダンスを披露する。

 歌は歌わない、けれど二人に合わせて踊る。

 二人は目を合わせて、私の姿を見て目を熱くさせた。


 それから5分ほどで歌は終わった。


「「「「「ワァァァァァァッ!!」」」」」


 いつの間にかもの凄い数のギャラリーが集まっていた。

 パッパッと埃を払う仕草をして、立ち上がる。


「あ、あの! 星美レオナ様ですよね!? わ、私、貴女に憧れて、バンドをはじめて……!」

「まだ全然なんですけど、私達、今日の事一生忘れませんっ……!」

「……see you again」

「「!!」」


 いつものユナが言うように真似して、その場を去った。

 まるでモーゼが海を割るみたいに道が出来て、内心ビクッてしたのは秘密だ。


「もうお姉ちゃん、ホントカッコイイんだから」


 美香には褒められながら溜息をつかれたけれど。

 そうして、私達の外出は一応役目を果たしたと思う。

 私と美香の仲が良いのがSNSを通じて多くの人の目に触れたからだ。

 そして、事務所が発表しているように、美香や僕に星美レオナの事で迷惑を掛けたら、星美レオナがアイドルを辞めるとも皆知っている為、多く問い詰める者も出ないだろう。

 事務所の皆には感謝している。

 名誉挽回する為に今回私も行動に移したのだけど、ちょっとやりすぎた。


 私がやった事が全てSNSに投降されてバズってるのだから、人気ナンバーワンアイドルというのをちょっと侮っていたかもしれない。

 家に帰ってから美香と話していて、


「そういえばお兄ちゃん、ひろ君に月曜日会ったら謝っておきなよ? 私からスマホの置き忘れの件は伝えておいたけど、SNSでお兄ちゃんの名前が出て、心配して電話やメッセージ沢山送ったみたいだから」


 そうだった。あの博人が心配しないわけがない。

 月曜に会ったら、謝らないとな。

徐々にブックマークしてくれている方や評価を入れてくれている方が増えて、嬉しくて本日2話目が書けました。

本日はここまでとなりますが、また明日も書けたら投稿していきますので、お楽しみ頂けたら嬉しいです。

ブックマークや評価は続きを書くモチベーションに繋がりますので、良ければ一手間お願い致しますー。

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