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男だけど期間限定でアイドル♀活動してます  作者: ソラ・ルナ
第二部

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30/35

15話.学校ではレオナの話題で持ち切りでした

あとがきに頂いたファンアートを載せています。

是非ご覧くださいね。

「「行ってきます」」


 レオナとして学校に行った翌日。

 体調不良で休んだ事になっていたので、今日は三連休明けに見られるんだよね。

 現実はしっかり学校に行っていたんだけど。


「よぉタクト! 体調はもう大丈夫なのか!?」

「あいたっ。うん、もう大丈夫だよ。心配かけたね」

「中学の頃はそんなでもなかったのに、高校に入ってからちょくちょく休んでるよな。気をつけろよ? なんか悪い病気になってたら怖いし、一回ちゃんと病院で診察受けとけよ?」


 心配そうに言ってくれるので、本当は元気いっぱいな身の上として申し訳ない気持でいっぱいです。

 昨日も思ったけど。


「お兄ちゃんは深夜まで漫画読んでたせいだから気にしなくて良いよひろ君」

「マジで!? ははっ! 俺もよくあるけど、気合で学校は行ってるぜタクト!」


 うん、知ってる。

 目にクマを作りながら、授業中思いっきり寝てたもんね。


「にしても、間が悪かったなぁタクト」

「うん?」

「昨日、星美レオナ様が来てたんだぜ!?」

「……うん」


 知ってるけれども。


「ってそっか、タクトにとってはそんな特別な事でもないのか。みっちゃんとも仲良かったし、タクトとも仲が良いんだろ?」

「ああいや、そんな事ないよ。僕は美香ほど話さないし」

「そうなのか? でも、レオナ様はタクトの事嫌ってるって事はなさそうだったぞ?」

「そうなの?」


 そんな話したっけ?


「ああ。俺、昨日みっちゃんとレオナ様と一緒に登校したんだけどさ。俺が一緒に居ても良いって言ってくれた理由がさ、みっちゃんとタクトの友達だからだったんだぜ?」


 あー、そう言った気がする。


「みっちゃんとだけ仲が良いなら、みっちゃんの事しか言わないはずだろ? だから、タクトの事も仲が良いと思ってると思うぜ俺は!」


 成程、博人は本当に人の言葉を良く捉えるんだよね。

 あの言葉からそう受け取るとは。

 まぁ、あえて僕とレオナが仲が良いも悪いも言う必要は無いよね。


「そっか」


 なので、当たり障りのない返答をしておいた。


「つーか聞いてくれよタクト! 俺昨日レオナ様にドラムを見てもらったんだよ!」

「登校はともかく、なんでそんな事に?」

「実はさ、俺が無理言って……」


 と、知ってはいるんだけど、知らない体で聞いていく。

 親友相手に心苦しいけれど……仕方ない。

 なので精一杯、話を聞いてあげようと思う。

 隣で苦笑いしっぱなしの美香を置いておいて。


「「「「「姫咲(君)ー!!」」」」」

「うわっ!?」


 教室に着いたら、いきなり皆に詰め寄られた。

 なにごと!?


「姫咲君、踊りは大丈夫なんだよね!?」

「お前体調大丈夫なんだろうな!? お前の体はお前だけのもんじゃねぇんだぞ!? 辛かったら今日も休めよな!?」

「そうだぜ! 出席の代弁はしといてやるからさ!」

「レオナ様が昨日学校に来たんだぜ!? 文化祭の日もまた会えるの嬉しすぎだろっ!」

「ユナ様が公表したって事は、踊りは大部分出来てるんでしょ!? まだ公開出来ないの!?」


 等々、一気に話されて困惑する。

 皆凄い熱意で、中には本当に体調を気遣ってくれる言葉もあったけれど、大体が文化祭目当ての言葉だったね。

 まぁ気持ちは分かるけど。


「はいはい、そこまでだっ! 昨日休んでたタクトに一気に詰め寄るな皆! また疲れがぶり返したらどうすんだ!」

「あっ……ごめんな姫咲」

「すまん姫咲」

「ごめんね姫咲君」


 博人に言われて、皆少し落ち着いてくれた。

 皆根は優しいからなぁ。


「ううん。こちらこそ心配かけてごめん。踊りは後は微調整だから、もう少しで公開出来ると思うよ。先に二人の意見も聞いて、最終決定にしたいから」

「ああ、成程」

「確かにユリアちゃんとユナ様の意見は必須だよな」

「そりゃそうだな。悪い、俺達気が急いてたわ」


 そう言って皆バラけたので、僕も自分の席へと座る。


「おはよう姫咲君」

「Good morning,姫咲」

「うん、おはよう二人共」


 自然に二人も挨拶してくれるので、僕も返しておく。ユリアはともかく、ユナがした事に周りの皆が少し驚いていたけれど。

 そういえばユナが自分から挨拶をする事はほぼ無かった気がする。

 レオナやユリアを除いたら。


「よっと。それで朝の話の続きなんだけどさ」


 僕の机の前に来て、また話し出す博人。

 そこに皐月さんも乗っかって来た。


「なになに、昨日の話だし? レオナ様の話ならあーしも混ぜろし!」

「おはようさっちゃん。そうそう、昨日の事をタクトに話しておきたくてさ!」

「ししっ! あーしも話したいし! もうレオナ様がマジでカッコイイし!」

「佐川の話は耳タコだって! 昨日どんだけ話たんだよ! くっそ羨ましいわ!」

「そうそう! 皐月ちゃんホント羨ましかったんだから!」

「ししし! あーしはレオナ様とライブで踊ったもんね! あの時のレオナ様はもうホント白馬の王子様だったし!」

「くっそー! その役変わってくれ佐川!」

「佐川がかよ!?」

「そりゃお前、佐川とレオナ様のどっちと踊りたいんだよ?」

「くっ……これが究極の二択というやつか……!」

「お前ら俺の彼女と踊れると思うなよ? 唯一許せるのはレオナ様だけだからな……?」

「「ごめんなさいっ!」」


 割とマジのドス声で言う博人に内心笑いつつ、レオナは良いんかいと心の中で突っ込んでおいた。

 まぁ女性(と思っている)からだろうけれど。


「ししっ。あーしもレオナ様ならヒロと踊っても許すし! つーかあーしが踊りたいしレオナ様と!」

「はいはいご馳走様!」

「このリア充共がっ! あー、俺もレオナ様みたいな彼女が欲しいー!」

「おま、それは高望みにも程があるぞ!?」

「ファンに殺されるのがお望みか」

「おっと手が滑った」

「ぬあー!? じょ、冗談だろ!? 望み言うくらい許してくれよ!」

「あー、お前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー」


 皆でワイワイ話していたら、時間はすぐに過ぎたようだ。


<<ふふ、大人気だねレオナちゃん>>


 後ろからユリアが小声でそう言ってきた。

 他の人には絶対に聞こえない位置だし、大丈夫だとは思うけどビクッとしてしまう。

 それを見たユナも苦笑していた。


 それから休み時間になるとレオナの話題になり、また授業になって、文化祭の準備が始まる。


「このうちわの絵、これで完成なら印刷するけど問題ねぇ?」

「待って待って、色違いと三人分作るから!」

「おーい、ペンライト発注してたの届いたっぽい! 確認すっぞー!」


 順調に準備は進んでいるようだ。

 僕はユリアとユナで集まり、その様子を見ながら話していた。


「これで特に問題ないよねユナちゃん」

「ええ。私はそう思うわ」

「ならこれで良いかな。後は動画を撮らないとだね」

「それなら、私達のマンションで撮ろっか?」

「そうしましょうか。姫咲もそれで良いかしら?」

「えっ。いやその、僕は構わないけれど、二人は良いの?」


 暗に、僕はレオナじゃないぞって言う為に言ったのだけど。


「うん! 姫咲君なら良いよ!」

「ええ、私も問題ないわ」


 これは伝わっているのか伝わっていないのか。

 周りの話を聞いていたクラスメイト達が驚いているのだけど。


「そ、そう。確かに二人のマンションなら機材もしっかりしてそうだし、動画を撮るのに良い環境だろうし!」


 とりあえず、そういう意味でって伝える為に後半を強調して言う。


「「「あぁ……」」」


 甲斐あってか、皆納得してれたよう。


「それじゃ早速行こっか姫咲君!」

「そうしましょうか」


 スッと立ち上がる二人に、僕も鞄を持って続こうとする。


「おーいタクト!」

「ん? どうしたの博人」

「学校には戻るのか?」

「んー、動画の進捗次第になると思うけど……」


 多分一回で終わるから、絶対に時間は余るだろうけど。


「そりゃそうか。なら、昨日も体調不良で休んでるんだし、今日はそれ終わったら直帰しとけタクト。体大事にすんだぞ?」


 優しい博人の言葉に心がじーんとする。


「うん、ありがとう博人。それじゃ悪いけど、そうするね」

「響ちゃんにユナ様も、今日直帰で良いかんね! 明日動画楽しみにしてるし!」

「ありがとう皐月ちゃん!」

「ええ。この私が監修しているのだから、完璧よ」


 というわけで、そのまま二人のマンションへ行く事になった。

 さて、動画を撮って学校用とSNSに投稿用を用意しないとね。

ふたゆめの初期から、いつもファンアートを描いて頂いているはるきKさんから、今作もファンアートを頂けたので、ご紹介させて頂きます。

皆にバレないようにしているレオナの私服姿です!


挿絵(By みてみん)


個人的に第二部9話.二人と買い物に行きました①のレオナの姿が正にこれでした。

素敵なファンアート、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
 確かに素晴らしいイラストですね。私もこんな応援イラストを寄せられるような良い作品を書ける人間になりたいものです。
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