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3話.僕、いや私がやらかしちゃいました

本日3話目です。

 星美レオナが男だと知っているのは、僕の家族と社長、そして運転手の方とマネージャーだけだ。

 こう考えると結構知ってると思うかもしれないけど、必要最低限の人しか知らないのだ。

 僕はこの二人にも話してしまいたいけれど、そうすれば二人は僕に幻滅するだろう。

 それが、僕は怖い……。だから、話せない。

 一年という期間限定のアイドル業。姉さんに乗せられるまま始めたこの仕事だけど、僕も楽しんでいたのは事実。

 こんなに人気が出るのは予想外だったけれど……歌って踊るのは大好きだから。

 まぁ、二年目に突入してるわけだけど……。


「着きました。ではお三方、頑張ってくださいね。応援しています」


 運転手の方の応援を受けて、私達は現場へと向かう。

 近づくごとに大きくなる歓声。

 今、ドームには私達の前座として歌ってくれているメンバーが居る。

 さぁ、私達の仕事だっ!


『皆様! 大変お待たせ致しましたっ! 『スターナイツ』の皆さんですっ!』

「「「「「ワァァァァァァッ!!」」」」」


 私はアクロバティックな動きこそしないけれど、ただクールにキビキビとした動作で中央へと進む。

 ユリアは両手を上げながら、元気いっぱいに皆の声援に応えながら。

 ユナはさながら鞭でも持っているかのように、女王然として歩く。

 そんな三者三様の私達を、歓声で迎えてくれる。


「『starlight(スターライト)ready(レディ)……!」


 私の声で、音楽が始まる。

 そして歌声を生み出すと、後はいつもの流れだ。

 私達の声に、ダンスに、観客は応えてくれる。


 凄まじい熱気の中、今日も仕事を終えた。


「ふぅ……」

「ふふ、珍しいねレオナちゃんが溜息をつくなんて」

「そうね。何かあったのなら、私達に話しなさい。力になれるかもしれないわ」


 いつもの明野に、絶対に僕になら言わないような事を有明は言ってくれる。


「……大丈夫、ありがとう」


 流石にこれに無言はまずいと思ったので、そう言っておく。

 すると二人の態度が更に変わった。


「あわ、あわわっ! レ、レオナちゃんがしゃべっ……な、何かあったら遠慮なく言ってねレオナちゃん!」

「レオナッ……ええ、ユリアの言う通りよ。何かあったら遠慮なく言うのよ。貴女は私が認めた唯一のライバルにして、親友なのだから」


 返事一つでここまで言われるとは……二人には迷惑かけてるよな、ホントごめん……。

 申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、二人を送る。

 なんと学校の近くのマンションに二人は引っ越してきたようだった。


「それじゃ、またねレオナちゃん!」

「seeyouレオナ」


 そう言って二人は奥に消えた。


「ふぅ……」

「お疲れ様ですレオナさん」


 軽い溜息をはいた私を、運転手の後藤さんは気遣ってくれる。


「いえ、仕方のない事と分かっているので。うちへ頼みます後藤さん」

「はい。今日もお疲れさまでしたレオナさん」


 私よりも一回りも二回りも年上の後藤さんは、私みたいなガキにも丁寧に接してくれる。

 本当に人の出来た方だ。

 うちの姉にも是非見習って頂きたい。


「おっかえりぃぃぃレオナおねええぇちゃぁぁぁぁんっ!」


 家の玄関に入ったら勢いよく飛びついて抱きついてくる妹が一匹。


「……ただいま。着替えるから離しなさい」

「やーだぁぁぁっ! レオナお姉ちゃんともっと話したいぃぃぃっ!」

「着替えてからでも話せるよね?」

「着替えたらお兄ちゃんだもん!」

「……何が違うんだ……」

「天と地ほどの差があるの!」


 中身は同じなのに、見た目で態度が180℃変わるこの妹である。

 いや姉もだったな。


「はぁ、疲れてるから少しだけだぞ」

「やったぁぁっ! だからレオナお姉ちゃん好きっ!」


 そうして少しレオナの姿のままで話していると、忘れ物を思い出した。


「悪い美香、学校に忘れ物してたの思い出した。ちょっと取ってくるわ」

「え、レオナお姉ちゃん!?」


 あの宿題月曜までに提出だから、土日中にやっておかないとマズイんだよね。

 急いで取りに行こう。


「ちょっ、レオナお姉ちゃん待っ……!」


 学校までそんな距離があるわけでもないし、警備員の人とは顔見知りなので入るのは簡単だからね。


「え? 星美レオナさん!?」

「……」


 しまった、着替えてなかったんだった。

 ど、どどどどうしよう。痛恨のミスを……何か、何かうまい言い訳は……そうだっ!


「私立鶴見川高等学校二年姫咲拓都の忘れ物を取りに来た」

「……え? 姫咲君の?」

「そう」

「い、一応本人確認をさせて貰ってからでも良いかな? おじさん、これでも仕事だから……」

「入れないなら、良い。それじゃ」


 そう言って足早に家に帰る。

 ああ、月曜の宿題は出せないな……なんて事を考えながら。

 けれど、事態はこのポカのせいで大きく動く事になる。


「お兄ちゃんっ! 大変だよ!」

「どうしたんだよ美香……今日は土曜日で休みだろ……レオナの仕事も今日は……」

「そのレオナお姉ちゃんの事だよぉ!? これ見て、SNS!」

「ん~? 何々……」


 そこには、【星美レオナに彼氏か!?】

 【ある学校にやってきて男子高校生の忘れ物を取りに!?】


 という見出しで、色々と書かれていて話題になっていた。

 もしかして昨日のあれ、あの警備員さんSNSに上げたのか……やってくれたなぁ!?

 プライバシーとかどこいった!


「これはヤヴァイよお兄ちゃん。まだお兄ちゃんの名前上がってないけど……学校も写真映っちゃってるし、SNSに上げた人もバズっちゃってるから、調子にのって喋る可能性大だよ……!」


 ぐっ……たった一つの失態から、こんな事になるとは。

 とりあえず、今の僕に出来る事は……!


「ぐぅ……」

「寝るなお兄ちゃん!?」


 嫌な現実から逃げる事だけだ。いやホントどうしよう。

本日の投稿はここまでで終了です。

実はストックなんて無いので(いつものこと)すが、明日も投稿出来るように書きたいので、ブックマークや評価入れて頂けるとやる気が湧きますので宜しくお願い致しますー。

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