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男だけど期間限定でアイドル♀活動してます  作者: ソラ・ルナ
第二部

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6話.踊りを新しく創る事になりました

 それからとんとん拍子に進んでいく文化祭の準備。

 皆でスマホを使って必要な物の情報を集めるものだから、物凄く速い。

 流石情報化社会だよね。


「ゲッ。サイリウムって一個2000円近くすんの!?」

「あー、安いやつだと100円から200円でも売ってるって」

「それでも数を用意するなら結構な金額になっちゃうよね」

「サイリウムの代わりって検索したら片栗粉が出てきたんだけど」

「サイリウム違いだろそれ!」


 なんて色々と話題が出てたりする。一部ちょっと違うけど。

 まぁ最悪の場合、うちの事務所で余ってるのとか貸せると思うけど。

 ユリアかユナからって通せばすぐいけるだろうし。


「さてユリア。せっかくの文化祭だもの。歌は仕方ないにしても、踊りは変えたいわよね?」

「!! うん、そうだね。せっかくの文化祭だもんねユナちゃん」


 二人が話すと、色々と話をしていた皆が聞き耳を立てるのがすぐに分かる。

 騒がしかったのが一気に静かになるから。

 ちなみに、その会話を僕の隣でするのは何故かな?


「そういえば、このクラスにはユリアに踊りを教えれる程の腕前を持つ人が居たのだったわね?」

「うん! 凄いんだよ、私も見せてもらって、驚いちゃった!」

「……」


 あの、二人共。どうして僕の傍でその話をするんです?

 というか視線が僕を捕えて離さない。

 気分はヘビに睨まれたカエルなんですけど。


「というわけで姫咲、私達と踊りを考えなさい」

「姫咲君! 一緒に踊りを考えて!」

「……」


 助けて。僕を無理やり巻き込もうとしてくる二人から視線を外し、博人の方を見る。


「おお、タクト凄いじゃねぇか! 『スターナイツ』の二人にそこまで言われるなんてよ!」

「マジそれだしひっきー! 羨ましいぞぉ!」


 ダメだ、このクラスのリーダー二人がすでに歓迎ムードな事もあって、周りも凄いって言葉しか出てない。


「……一つだけ聞かせて欲しいんだけど。その踊りは、皆で踊るタイプのもの? それとも、二人がメインで踊るタイプのもの?」

「「!!」」


 僕の言葉に、ユリアとユナだけじゃなく、クラスの皆も驚いたようだった。

 だって文化祭だし。

 二人が主体で踊るのも良いけれど、皆で踊れるタイプのものもあって良いはずだし。


「成程。audience(オーディエンス)ではなく、全員がplayer(プレーヤー)の舞台ね……excellent!」

「それは凄いねっ! でもでも、それだと難易度が跳ね上がるよね……?」

「うん。だからその場合、簡単なものが多くなるよ」


 フォークダンスのように、皆が知っていて踊れるものとは違うし、見てすぐに踊れるようなダンスにしなければならなくなる。


「話は聞かせてもらったぜタクト。ならさ、二部構成にすんのはどうだ?」

「二部構成?」

「例えば、前半は『スターナイツ』の二人に踊ってもらうだろ? 後半に今度は踊りたい人が一緒に踊れるようにするんだよ。そんで、その踊りはあらかじめ動画でアップしておいて周知させたら、一緒に踊りたい人は練習するだろ?」


 確かにそれなら出来そうな気はする。だけどそれをするにあたって、懸念点がある。


「それは良い考えだと思うけどさ博人。その場合文化祭まで2週間な事を考慮して、最低でも始まる3日前くらいには動画をアップしないといけないよね。となると、まだ考えてもいないダンスを11日以内に完成させて、動画を撮らなくちゃいけないっていう、無茶振りになるんだけど」

「タクトなら出来るさ!」

「無茶振りが過ぎるよ!?」


 ただでさえレオナとしての活動もあるというのに。

 それを言えないから、時間があるように皆は思えてしまうのだろうけど。

 いやそもそも踊りを考えるのも難易度が高いんだけど。

 僕とユリア、ユナの踊りを考えるのであれば、まぁなんとかなるかもしれない。

 けれど、全く踊った事のない、素人の皆が手軽に踊れる踊りを考えるとなれば、結構難しい。

 これくらいなら踊れるのか、そうでないのか、その線引きが僕には厳しいと思っている。


「では、二つの線で進めましょう。一応全員が踊れるタイプの後半を進めておいて、無理であれば私達が後半も踊れば良いわ」

「うん! その場合は私達が頑張るよ!」


 二人の言葉に、クラスの皆は歓声を上げた。

 もう僕の意見は通らないよね、知ってた。


「はぁ、分かったよ。考えてはみるけど、あんまり期待しないでくれると助かるよ」

「はは! タクトのダンスの腕前は去年で皆知ってるし、そのタクトが無理なら皆出来ねぇよ! 気楽にやってくれよ!」


 クラスの皆がうんうんと頷いている。


「姫咲君が考えてくれた踊りが出来たら、『スターナイツ』の二人と一緒に踊れるって事だよね? 超ヤバくない?」

「うん、めっちゃヤバイ。姫咲君、準備とかそういうのは私らに全部任せて良いから! 姫咲君は踊りを考えるのに集中して!」

「そうだぜ姫咲! 準備は俺達に任せてくれ!」


 等々、クラスメイト達がそう言ってくれる。

 はぁ、しょうがない。

 ここまで言われたら、やるしかないだろう。


「……分かったよ。ライブの準備は皆に任せるね。ユ……明野さんにはダンスの指導って言う程のものじゃないけど、その約束もあるし……並行して良いかな?」

「うん! 宜しくお願いしますっ!」


 凄く良い笑顔でそう言われた。あのニヤニヤしていた時に、ここまで考えていたんだろうか。


「なら、この私も姫咲を手伝うわ。言い出した私が何もしないなんて、許されないものね」

「ふふ! ユナちゃん一緒に頑張ろうね!」


 なんて二人が言うものだから、クラスの視線がまた変わった。


「『スターナイツ』の二人と一緒に、だと!?」

「なんて羨ましいんだ姫咲っ……!」

「くっそぉ……俺に踊りの才能さえあれば、あの席は俺のものだったのに……!」


 男共の嫉妬の視線が痛い、滅茶苦茶痛い。

 変われるなら変わって欲しい。


「はいはい男共、ひっきーをそんな目で見るなし! ひっきーは選ばれし者だし!」

「はははっ! だなっ! 俺達は俺達で準備頑張ろうぜ! タクトに重要な事を任せちまうんだから、俺達の準備不足なんてなったらシャレになんねぇぞ!」

「確かに」

「おう、そうだな!」

「それじゃライブに必要なものまとめていきましょ!」

「先生、お金って大丈夫なの?」

「おー、心配するな。学校からも会場設営費と備品購入費の予算がある程度出るし、生徒会費も『スターナイツ』のライブなら会費も降りるだろう。ま、自己負担もして構わんが、ファンは推しの為に無尽蔵に使う傾向があるからな、一応自重しろとだけ言っておく」

「「「「「おおおおっ!!」」」」」


 先生とクラスメイトがノリノリである。

 というか先生……いや何も言うまい。


「それじゃ明野さん、有明さん。新しい踊り、考えていこうか」

「うん! よろしくね姫咲君!」

「ええ。最高の舞台にしましょう姫咲」


 ユリアは笑顔で、ユナは挑戦的な表情でそう言う。

 はぁ、これは練習の時も話をする事になりそうだな。

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