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ある特異体質「なんで病」

作者: アシカ

成績もスポーツも至って平均であった私には、ある特異体質がある。

それは「なんで病」である。

この病は、日常生活に支障が出ないとお思いかもしれないませんが、取扱注意だ。とんでもないことを引き起こす。

というのも、つい先日会社の部長とのやり取りのことである。

「会議用の資料を準備しておいて」と頼まれた。会議といえば、部のグループが集まり会社の売り上げ報告や近況の仕事内容の把握、横のつながりの社内交流が目的である。

ここまでは、そこまで支障がない。しかし、ここから「なんで病」が発動するのだ。

会議用の資料の準備は、「メールで送り印刷を促すのか、それともパソコンで見えるようにすれば問題がないのか?そもそもなぜいまだに紙をつかっているのか。コピー機で一人ずつが印刷する時間を3分とすると従業員が40人。合計120分を印刷に使っている。映画を一本見ることが可能だ。そもそも売り上げの会議も30分はかかり1200分。一人の一日の労働2日分よりも多い時間になる。」

なんで病でなんでを追求する時間で、時間が消費されていく。

そして、答えは「いつもみんながやっているからその通りにやればいい」という全体主義である。

ここでもまた「なんで病」が発動する。「みんなが、全体が、間違うことはないのだろうか?」

そもそもいつからこの「なんで病」が発令されたのだろうか?

このまえ、生後6カ月の孫を抱くことがあった。寝ている赤ちゃんは、なんで病にかかっていない。

しかし、3歳違いの孫のお姉ちゃんは「なんで?」と執拗に聞いてくる。

つまり3歳では、この「なんで病」が、発令したことになる。

では、世間の人たちは「なんで、なんで病」にかからないのだろう?

いや、発令しているのかもしれない。

発令しているが、発令していないフリをしているのかもしれない。

スマートフォンの動画や健康診断で、モスキートンを聞いたことがあるだろう。

子どもたちは20000Hzまで聞こえ、年を取ると6000Hzも怪しくなる。

これと似たようなもので、発令はしているけど耳に聞こえていないようだ。

その証拠は、ある飲み会の部下との会話で分かった。

「なんで病」について、酔った勢いで20代半ばの部下に聞いてみたことがある。

ぼくはさっそく聞いてみた「新人の時に5W1Hを考え、行動しなさい。とよく耳にするが、なんで?だと思う」

部下「物事の理解が深まるからじゃないですか?仕事では重要だと思っていますよ」と、答えてくる。

私「確かに理解が深まるかもしれない。けど、なんでそうやって言っておきながら、自分たちは全体主義で社員を言いくるめているのかな?」

部下「そんなこと考えても無駄ですよ。あたりさわりなくしていれば役職も給料も一律で少しずつ上がっていくから、だれもそんなリスクを犯す必要もない」

私「なんでそれなら、新人に5W1Hを考え、行動しなさいと教えるのかな?言っていることとやっていることが矛盾しているよね」

部下「そうですね。うすうすそのことに気が付いて、若い新人に期待しているんじゃないですか?」

私「なるほど。期待の表れの言葉でもあるんだ。けど、それって他力本願で自力本願じゃないよね。自分で行う力がないと言っているようなものだよね。」

部下「そこまで考えてみたこともありませんでしたが、そうかもしれませんね。考えることは、面倒ですよね。与えられた、その時のことをやっていたほうがずっと楽ですから。」

なんで与えられたことをやった方が楽なんだろう?と思いつつ「そうだよね。ご飯もある程度食べれて休みの日は自分の好きなこともできるもんな。それに、そんなこと言わずに背中で語る人もいるもんな。」

と答えて終わったが、私のなかの「なんで」の嵐は終わらなかった。




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