僕で無くてはいけない理由
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何だか前にも書いた気が……。
もしも被っていたら申し訳ないです。
(思いつくままに書いているので……)
小学生になった僕は一つの疑問を持った。誰しも考えた事があるかも知れない疑問だった。
この世には何千、何万、いやもっと人間の子供がいる。それでも僕の両親は、僕に対して繰り返し、「生まれてくれて有難う」、「貴方は貴方しかいないの」と笑顔で頭を撫でてくれた。
嬉しく無かった訳じゃない。存在を肯定されて、嬉しかった。
でも、だからこそ、こんな疑問をぶつけるのは、憚られた。
中学生になった。それでも疑問は尽きず、ずっと心の何処かで考えていた。そんな時、ちょっと変わった先生に出会った。さも当たり前の事を延々と考えている人だった。
見えてる世界は存在しているのか。夜に見る夢こそ誠なんて言うように、本当は現実なんか無いんじゃないか。そんな事を大真面目に考えている人だった。
……不思議な人だけど……この人なら……、茶化さずに聞いてくれるんじゃ……ないかな。
彼女は保健室に居座って、静かに珈琲を嗜んでいた。ほんのりと漂うほろ苦い香りに鼻を鳴らしながら、丸椅子に座る僕を見て、へらっと笑った。相談……というか、一緒に考えて欲しいと伝えたら、彼女は前を向き直って、黙ってメモを取り出した。
「なんで……親にとって僕は、僕じゃなければ駄目なんでしょうか……」
「んんん? それは生殖の話? 子供が出来る生命の神秘の話?」
そんな話がしたかった訳じゃない。僕が僕でなくては行けない理由が欲しいのに、科学の裏付けなんて必要ない。言わば、全く違う世界の話をされているのと一緒だった。
不貞腐れる僕を見て、彼女はぐぐっと大きく目を見開いた。かつての同胞を見つけた時のような煌めきだった。
「そう。では哲学の話をしよう。楽しい楽しい哲学の話を」
彼女は瞳に鋭利な光を宿し、僕の心臓をそっと指さした。そして身も蓋もない言い方をした。
「別に君じゃ無くても良いんだよ。結果、君だったってだけで」
「……?」
言ってる事が少し分からなかった。じゃあ親にが繰り返し言っている、「貴方は貴方しかいないの」という言葉の意味が通らなくて、思わず首を傾けてしまった。
彼女はそんな僕を特段茶化す事無く、紙コップに珈琲を注いだ。学校で学生が飲食をしても平気なのかと、目で訴えると一つ瞬き。飲めと言っている。
「私はね。時間とか、労力とか、それに見合った分だけ物に価値が生まれると思っているんだ。まぁ今回君の場合だと、苦しんで産んだ、育てた。その分良い子に育った。だから愛おしい。ぶっちゃけ、腹から生まれたのが君じゃなくても良かったんだ。結果、君が生まれたと言うだけで」
「替えが効くと言うことですか……?」
じゃあ、この世に生まれた子供というのは、別に掛け替えがないなんて事は無いのでは無いだろうか……。それは……非常に現実的であると同時に、冷酷なように思えた。
彼女はその質問に僅かに皺を寄せて、腕を組んだ。人差し指がトントンっと、やわ肉を叩く。
「んんん。今は効かないよ。絶対。良いかい。愛情をかけて育てた。この事実こそ物凄い意味を持つんだ。これこそ、君が君である為の理由さ。記憶であり、思いであり、苦労であり……」
「コストって事ですか?」
「いい方悪いけど、そうだね。そんな君にこれ。最近読んだから、運命感じてね」
手には有名な児童文学。僕も名前は聞いた事がある。表紙も見た事がある。でも読んだことはない。絵のタッチは好きだけど。子供が書いたように優しくて、何だか引き込まれる。
彼女はパラパラと中身を捲りながら、『ツンデレな薔薇ちゃんが可愛くてさぁ〜』などとぼんやりと呟いている。
僕は一つの答えが導き出されたような気がして、真っ直ぐに彼女を見た。ずっと疑問に思っていた事が解けて来て、何だかストンと心に落ち着いた。
「それも……その話題を出したのは、別に僕でなくとも良かった」
「うん。ドライだけど。この小説の場合だと、別にこの植物じゃなくても良かった。弄れていて、素直じゃなくて、そうでもしないと甘えられない子だったらなんでも良かった。手がかかるって事が大事なのさ」
そう言うと彼女はへらっと笑った。この世を皮肉るような笑顔を浮かべて、仄暗い目をして髪を纏める。
「それだけ重いのさ……。エピソードって。人の存在さえ左右させる程」
これ、大学時代に受けた哲学の話と、とある再現ドラマと、有名な児童文学の話を混ぜて書きました。
ここから下結構辛い話が来ます。
(特段読まなくてもいい気がしてきました。私の言いたいこと言ってるだけなので)
病院とかで取り違えとか、偶にニュースになるじゃないですか。
「此処まで育ててしまったら、もう自分の子供だよ……」
って話を聞いたんですよ。
親になってはいないので、大口叩けませんが、気持ちはふんわり分かります。
滅茶苦茶苦労して此処まで辿り着いた。
死ぬほど苦労して、書き上げた。
だからぶっちゃけ、中身よりもエピソード語る事が多いです。
そんな事言うと、
小説の中身なんてどうでも良くて、苦労した事実が大事なんじゃない?
とか言われそうですね。
そうかも知れません。
でもそこに乗っかるまでのエピソードが大事なんです。
それこそが中身なんですから。




