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僕で無くてはいけない理由

作者: 秋暁秋季
掲載日:2022/12/03

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何だか前にも書いた気が……。

もしも被っていたら申し訳ないです。

(思いつくままに書いているので……)


小学生になった僕は一つの疑問を持った。誰しも考えた事があるかも知れない疑問だった。

この世には何千、何万、いやもっと人間の子供がいる。それでも僕の両親は、僕に対して繰り返し、「生まれてくれて有難う」、「貴方は貴方しかいないの」と笑顔で頭を撫でてくれた。

嬉しく無かった訳じゃない。存在を肯定されて、嬉しかった。

でも、だからこそ、こんな疑問をぶつけるのは、憚られた。


中学生になった。それでも疑問は尽きず、ずっと心の何処かで考えていた。そんな時、ちょっと変わった先生に出会った。さも当たり前の事を延々と考えている人だった。

見えてる世界は存在しているのか。夜に見る夢こそ誠なんて言うように、本当は現実なんか無いんじゃないか。そんな事を大真面目に考えている人だった。

……不思議な人だけど……この人なら……、茶化さずに聞いてくれるんじゃ……ないかな。


彼女は保健室に居座って、静かに珈琲を嗜んでいた。ほんのりと漂うほろ苦い香りに鼻を鳴らしながら、丸椅子に座る僕を見て、へらっと笑った。相談……というか、一緒に考えて欲しいと伝えたら、彼女は前を向き直って、黙ってメモを取り出した。

「なんで……親にとって僕は、僕じゃなければ駄目なんでしょうか……」

「んんん? それは生殖の話? 子供が出来る生命の神秘の話?」

そんな話がしたかった訳じゃない。僕が僕でなくては行けない理由が欲しいのに、科学の裏付けなんて必要ない。言わば、全く違う世界の話をされているのと一緒だった。

不貞腐れる僕を見て、彼女はぐぐっと大きく目を見開いた。かつての同胞を見つけた時のような煌めきだった。

「そう。では哲学の話をしよう。楽しい楽しい哲学の話を」


彼女は瞳に鋭利な光を宿し、僕の心臓をそっと指さした。そして身も蓋もない言い方をした。

「別に君じゃ無くても良いんだよ。結果、君だったってだけで」

「……?」

言ってる事が少し分からなかった。じゃあ親にが繰り返し言っている、「貴方は貴方しかいないの」という言葉の意味が通らなくて、思わず首を傾けてしまった。

彼女はそんな僕を特段茶化す事無く、紙コップに珈琲を注いだ。学校で学生が飲食をしても平気なのかと、目で訴えると一つ瞬き。飲めと言っている。

「私はね。時間とか、労力とか、それに見合った分だけ物に価値が生まれると思っているんだ。まぁ今回君の場合だと、苦しんで産んだ、育てた。その分良い子に育った。だから愛おしい。ぶっちゃけ、腹から生まれたのが君じゃなくても良かったんだ。結果、君が生まれたと言うだけで」

「替えが効くと言うことですか……?」

じゃあ、この世に生まれた子供というのは、別に掛け替えがないなんて事は無いのでは無いだろうか……。それは……非常に現実的であると同時に、冷酷なように思えた。

彼女はその質問に僅かに皺を寄せて、腕を組んだ。人差し指がトントンっと、やわ肉を叩く。

「んんん。今は効かないよ。絶対。良いかい。愛情をかけて育てた。この事実こそ物凄い意味を持つんだ。これこそ、君が君である為の理由さ。記憶であり、思いであり、苦労であり……」

「コストって事ですか?」

「いい方悪いけど、そうだね。そんな君にこれ。最近読んだから、運命感じてね」

手には有名な児童文学。僕も名前は聞いた事がある。表紙も見た事がある。でも読んだことはない。絵のタッチは好きだけど。子供が書いたように優しくて、何だか引き込まれる。

彼女はパラパラと中身を捲りながら、『ツンデレな薔薇ちゃんが可愛くてさぁ〜』などとぼんやりと呟いている。

僕は一つの答えが導き出されたような気がして、真っ直ぐに彼女を見た。ずっと疑問に思っていた事が解けて来て、何だかストンと心に落ち着いた。

「それも……その話題を出したのは、別に僕でなくとも良かった」

「うん。ドライだけど。この小説の場合だと、別にこの植物じゃなくても良かった。弄れていて、素直じゃなくて、そうでもしないと甘えられない子だったらなんでも良かった。手がかかるって事が大事なのさ」

そう言うと彼女はへらっと笑った。この世を皮肉るような笑顔を浮かべて、仄暗い目をして髪を纏める。

「それだけ重いのさ……。エピソードって。人の存在さえ左右させる程」

これ、大学時代に受けた哲学の話と、とある再現ドラマと、有名な児童文学の話を混ぜて書きました。


ここから下結構辛い話が来ます。

(特段読まなくてもいい気がしてきました。私の言いたいこと言ってるだけなので)


病院とかで取り違えとか、偶にニュースになるじゃないですか。

「此処まで育ててしまったら、もう自分の子供だよ……」

って話を聞いたんですよ。

親になってはいないので、大口叩けませんが、気持ちはふんわり分かります。


滅茶苦茶苦労して此処まで辿り着いた。

死ぬほど苦労して、書き上げた。

だからぶっちゃけ、中身よりもエピソード語る事が多いです。


そんな事言うと、

小説の中身なんてどうでも良くて、苦労した事実が大事なんじゃない?

とか言われそうですね。


そうかも知れません。

でもそこに乗っかるまでのエピソードが大事なんです。

それこそが中身なんですから。

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