長き戦いの始まり
夜中に魔王城の裏窓からこっそり外へと出た。
魔王城周辺は田植えのシーズンだから、水が張られた水田に月と星が明るく映る。真冬じゃなくて本当に良かった。
真冬に野宿したら、そっこーで腹壊す。ゲリスル。
「ここまで来れば一安心ぞよ」
なんとかモンスターと遭遇せずに裏山まで辿り着くことができたのだが、足は田んぼやら畑やらを走ったから泥だらけだ。魔王様の木靴も同じように泥だらけだ。靴の中も泥だらけなのだろう。
「ですが、行く当てはあるのですか。私には魔法が使えませんから女神がどこにいるのかなど、見当もつきませんよ」
世界は広い。女神が瞬間移動の魔法を使えるのなら、世界中を探さなくてはならない。
野宿が二日や三日では終わらない~!
「女神は人間共の城に行くと言っておった。きっとそこで……なにかトラブルに巻き込まれたにちがいない」
トラブルに巻き込まれたですと?
「そうでしょうか」
無限の魔力があるんよ。トラブルを巻き起こしても、巻き込まれることはないだろう。あの女神なら絶対に。
「人間共の城って、ここからだと相当な距離がありますよ」
「瞬間移動」の魔法を使わずに歩いて移動するなら、数週間かかるだろう。魔王様、足が遅い。短いとは言わない。臭いとも言わない。嗅いだことないから……。
「つづく」
――!
「え、つづくの? っていうか、一話完結じゃないの?」
大丈夫なのだろうか。普段と違う無茶っぷりに……、
「冷や汗が出ます」
「たしかに暑いのう。魔力バリアーがないと体温調整も大変なのだ」
しらん。汗をかけ。
「普段からズルし過ぎです」
「ハーっハッハッハ!」
「笑うな!」
笑ってられる状況じゃないでしょうがっ!
魔王様、「つづく」はおやめください――。
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