勇者がいなくなると悲しいだろう
「これで終わりだ魔王!!」
勇者の剣が魔王の心臓に刺さる。
「く、ぐわぁぉおおおおおがぎゃぎゃぎぎぃぎいいい」
声にならない声をあげて魔王は苦しんだ。
「みんな今だ!たたみかけろぉおお!」
勇者の声に続き周りの仲間や生き残った人達が剣や弓を取りたたみかけた。
「我がこんなところでえええぇえぇえぇぇぇ!」
声をあげて魔王は倒れた。
「や...やったぞぉおおおおおおおお!!」
「おおおおおぉぉおおおおおぉぉぉおお!!!」
「世界は守られたぁあああ!」
周りの人達は叫んだ。
俺の魔力が後少ししかなくてみんなを助けられるかわからなかったが勇者が止めをさしてくれたおかげで助かった。
俺と勇者は幼馴染であった。パーティーメンバーの重機のガイは切磋琢磨した戦友だし、僧侶のマイは学園で一番の親友だ。
「流石、勇者だな。転移石を使うから準備してくれ。」
「あぁ。助かる。もうちょっとまってくれ。」
転移石の準備をしていた時、俺の第五の感覚に違和感を感じた。振り返ってみると倒れた魔王の指が光っているのが見えた。その先には勇者がいた。勇者は気づいていない。いや、ここにいる俺以外の人達は気づいていないだろう。
俺は疲れ切った体を動かして勇者の元に行こうとした。
その時だった。
「...........勇者....おまえは苦しむと...い......い....。」
ピュン!と言った音が聞こえた時俺は勇者を引っ張っていた。その後に来る微かな痛み。最初は痛くなかったが、段々と体に痛みが広がっていった。
「賢者!!おまえ何すん......だ...!!!賢者!!!!!!」
俺は倒れた。勇者がこっちに向かってくる。他の人たちは何が起こったのかわからず混乱していた。
「勇者、おまえを助けることができて良かった。」
「賢者!馬鹿野郎!俺なんかを庇ったりするな!」
「魔王を打ち倒した勇者が死んでしまっては悲しいだろう?」
「おまえも仲間だろう!!もう喋るな、傷が広がってしまう!」
そういやなんか痛みが止まったな。おっと、なんだか眠くなってき...たな...ぁあ。
「お、おい!眠るな!賢者?!」
「ちょっとばかし...休むとす......る......よ...。」
俺の視界は暗転した。