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竜夫は吉田にライブを伝えた事で少しホッとした。
「タツ、来るかな」
「来るさ、絶対」
「来たら来たでどうする? 練習もしてないんだぞ」
ヒサシはホットケーキをほおばりながらモゴモゴ言った。
「別に太鼓は叩けたら、でいいんじゃないの?」
竜夫はヒサシもたまにはいい事を言うと嬉しくなったが、ユースケは逆にむっとした。
「和太鼓は尺八とは違うんだぞ。ステージに用意しなきゃならない。それにライブは尺八とキーボードという事で宣伝してるんだ。簡単に変えられない」
竜夫はユースケの言葉を遮った。
「ユースケ。マサやんにオレは演奏させるつもりはないよ」
竜夫の言葉に二人は驚いた。
「じゃあ何の為に」
竜夫はポケットから白い封筒を取り出した。
あの愛ちゃんからマサやんへのラブレター。全てはこれだ。