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プロローグ
『真人へ
改まって書こうと思うとキンチョーするね。
でも、結婚十年という節目だから、声を大にして言います。
感謝してます。
本当にありがとう。
真人と真人の太鼓に守られて、私は私らしく日々を過ごせています。
真人に出会えて良かった。
今だから言うけど、私ずっと探していたの、和太鼓奏者を。
おかしいでしょう?
学生の頃に和太鼓奏者の人に一目惚れしたことがあるんだけど、その方、奥様をとても愛してらして。
私は親が離婚してから結婚に夢も希望もなかったから、すごく感動したの。
ああこんな風に愛されたいってすごく思った。
寄り添うことで生まれるものもあるんだ、私もそんな結婚をしたいって、そう思った。
そしたら私の前に、和太鼓を背負って現れたのが、真人だったの。』