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第9話 平成生まれの新種事情

 守の部屋では何やら幼女神と座敷童子がテレビゲームに熱中している。周囲は散らかしたままでこれで良いのか神と妖怪! と言いたくなるのは仕方の無い事だろう。


「なぁ……ゲームをやるのは良いんだが、散らかしっぱなしじゃないか。それになんでボードの人生ゲームを出しながらテレビゲームも人生ゲームなんだ?」

『おぉ守、丁度よいお主も付き合え面白いから検証中じゃぞ』

「いや何をだよ。少し詳しく話せよ」

『おぉそうじゃったな、今日は座敷童子が母御殿に憑いて買い物にいったのじゃ、その時の会計なんじゃが一円足らんかった』

「まぁ偶にあるな」

『……それが偶然じゃない。こいつの仕業』


 座敷童子から一匹の妖怪が顔をだした。姿は正六面体で丸い点がついていて、まぁサイコロである。それの赤い部分である数字の一に当たる所に目がついており、小さな手足が生えている。


「なんだこれ?」

『これはの……ねっとと言うものが広がった後に生まれた妖怪で、いちたりないという名前じゃ』


 妖怪いちたりない、それは昔からテーブルトーク・ロールプレイングゲーム、通称TRPGなどの界隈などでは実しやかに語られていた存在だったが、実際はまだ確立された存在ではなかった。

 昨今ネット上に動画を投稿するようになり、動画サイトなどで爆発的にそのプレイ動画が人気となり、その流れでこの妖怪の認知度も増え、この度目出度く現世に顕現したという訳だ。

 ちなみにご同輩にサイコロの女神というのも顕現したらしい。


「なるほど……それで一円足らなかったのか」

『……面白そうだったからつれて来て見た』

『実際にの賽を振っても、るーれっとを回しても一足らないんじゃよ、特別に何かしている訳でもないのじゃが、こやつが居る事で必ず足らなくなるのじゃ』

『……ここはポイントって言う時に必ず足らない』


 無害ではないが特別に害が出る妖怪ではないようで、これなら別に良いだろうと遊びのネタにしているようだ。


『それでの、何処まで通じるか気になったからのう。てれびげーむでも検証中なのじゃ』

「それで、どうなんだ?」

『……テレビゲームでも間違いなく一たらなくなる』


 凄いような凄くないような能力である。ただイカサマをやりたい様にできそうではあるが……妖怪のする事だしっぺ返しが怖い話な気もする。


「まぁ楽しく検証するのは良いんだがな……次の物で遊ぶ時は片付けてからにしろ! ポテチの食べかすがルーレットに乗ってるじゃないか!」

『おぉぅ! ごめんなのじゃ!!』


 その後、様々なゲームを試したがボードゲームやサイコロを使ったもの以外カードゲームや数字当てといったゲームであっても、いちたりないを持っている者は必ず一が足らずに負けるといった流れになった。

 次の日には、いちたりないは何処かへ行ってしまったようだが……さすがゲームの妖怪だ、随分と気ままである。




『……守、今日はダイスの女神が遊びに来てる』

『すごいのじゃ! ここぞと言う時に必ず盛り上がる演出になるのじゃ!』

「うん……それは解ったけど、昨日も言ったよね? 片付けしてから次を出せって!」

『あぁぁぁぁ楽しいのが行けないんじゃ!』

「だまらっしゃい! 今すぐ片付ける!」

『……ごめんなさい、今からやる』


 平成生まれのゲームの妖怪は色々と業が深いようだ。まぁそれでも平和な妖怪であるならば、色々なスパイスとしてきっと良い事なのだろう。

 ほら……ダイスの女神も微笑んでる。あ……SANチェックだ、この笑みは暗黒の笑みだったようだ!!

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