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第22話 座敷童子のお仕事?

 てんてんと鞠をつく、やっているのは座敷童子。別に遊んでいる訳ではない、これが彼女にとっての日々の仕事だ。

 彼女にとって鞠をつく行為は、浄化行為や祈りのような物であり、住民が幸せになれと願ってついている。まぁ神が住まう地において、如何程の効果があるか疑問ではあるが、長い年月において一日と欠かしたことが無い日課だ。今更止めれるなどと考えなど出てくるはずも無い。


『……今日も良い仕事した』


 彼女は気分屋だ。守に憑いて学校に行く日もあれば、家に残っている日もある。

 そして本日は家に残り、みぃとボールを使って戯れている。


「みゃんみゃん」

『……ほら、こっち』


 そっと投げるのは座敷童子、ぽんぽんころころと跳ね転がるボールを追いかけるみぃ。この光景を見れる者がいれば思わずほっこりとしてしまうだろう。


『……みぃおいで』


 遊び終われば、みぃと縁側でひなたぼっこ。いつの間にかにお昼寝をしてしまうのはご愛嬌。みけも途中でやって来ては混ざり丸くなる。

 

お昼寝から起きたら、みけとみぃの散歩にお付き合い。

家と違い外は幼女神の結界が無いから少し危険だ。悪意ある〝何か〟が集まろうとしたり、既に形となっていたりと、みぃではどうしようもない相手が居る時がある。


『……また集まりだしてる。みけあっち』

「みゃ!」


 座敷童子とみけが虫でも潰すかのように、その集まりを潰し散らしていく。

 みぃはそれを見ながらも、ゆっくりと座敷童子の後ろを着いて行く。

 人々が普通に暮してる間に災厄の種が、一つまた一つと消えているのだが……それを知る者は殆ど居ない。

 座敷童子が守に憑いて行かない日がある理由はこれ。彼等が住む町で大災害が起きない様にと、他の妖怪達と目を光らせていた。


『……うん、今日も確りと仕事した』

「みゃ!」「にゃ~」


 後は守達が帰宅するのを待つだけだ。


 彼女はまだ守に名を告げていない。それは最初の契約があるからで、その契約を変更できるのは守と幼女神だ。

 最初の契約……良い住処を探す。契約上においてこの家は、一時的な宿だ。しかし座敷童子にとって住み心地が良く、妖怪達も遊びに来るこの家を離れる理由があるのか? と最近はそう感じている。


『……契約は絶対、だから探すフリはする』


 何時の日か守達から契約変更の話をしてもらい、自分の名前が名乗れる事を楽しみにしている日々だ。そのような日が来る事を考えるだけで彼女の顔が笑顔に変わる。


 守達が帰ってきたのかバタンと扉を閉じた音がする。ただいまと挨拶が聞こえた。

 だから家に残った日は彼等を向える為に、彼女は猫又親子と共に玄関へと走る。


『おかえりなさい!』


 笑顔と共に、この幸せが続きますようにと、そんな思いを籠めて。

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