第17話 ちょっとした猫又達の話
にゃんにゃんにゃんと庭では猫又親子が駆け回る。
怪我が治った子猫に親猫が狩りを教えている。とはいえ使う物はボールだったりするので、見ていて微笑ましい映像にしか見えないのだが。
問題は……よそ様からみればボールが勝手に動いているように見えるだろう。
『ふむ……猫の子供はかわゆいのう』
『……うん、あのボールを追う姿は素晴しい』
「まぁそれにしても、随分と動き回るな」
「きゅ……きゅーーーーーーー!」
たまりが子猫に突撃していく。どうやら一緒に遊びたかったらしい。
二匹でボールを追って庭を駆け回り、親猫はたまに邪魔をしている。
「親猫は良いタイミングでボールを弾いてるなぁ」
『絶妙じゃな! さすが猫又じゃ』
ころころと転がりポンポンと跳ねる。球が捕まる事は無く子猫とたまりを翻弄していく。
『……良い運動』
『そういえば、この二匹の名前はどうするんじゃ?』
「あー……つけて良いのか? 名前は大切なものなんだろう?」
妖怪への名づけは重要だ。だからこそ、魅雲は最初名乗らなかったし、たまりの名前は直ぐに決めた。
『ここの庭に居つくのであればいいじゃろうて』
「どうなんだろうな? 居座るのかな?」
守がその流れで親猫に話をきいてみる。親猫はどうも此処の居心地が良いらしく、名前をつけろと言わんばかり顔を守に擦り付ける。
「これは名付けって事だな」
『……可愛い名前をつけるべき』
子猫の方も名付けと聞いてボール遊びを止めて擦り寄ってくる。
『重要じゃのう……さてどうするのじゃ?』
「猫又だからなぁ……みゃこ、みけ、くろ、しろ、みぃ、みーな……」
『……どんどん出てくる』
二匹の猫又もアレがいいコレが良いと楽しそうに混ざる。
「よし! 二匹とも雌だし、みけとみぃにしようか」
『音が可愛いのう、悪くないのではないか?』
『……母猫がみけで子猫がみぃ?』
「そうかな」
みゃぁと嬉しそうに鳴く二匹。此の日を境に二匹の猫又は名前が決まり、守達や猫又との関係も深くなっていった。




