生と死の間の世界「デッドワールド」
再び始まる……裏切りの戦い……
お前は自分を捨て人を殺せるか。
「なんなんだよ。」
一樹はイライラした様子で時計をみた。
4時20分
「熱でもあんのか、俺。」
霧鷺 一樹 高校2年生。頭は悪いが、人を助けるためなら体を張ってでも助けに行く仲間思い。小さい頃に格闘技をやっていた。
ここ2週間ほど、同じ夢を見る。夢といっても、ただの何もない暗闇に言葉が浮かび上がるだけ。
「最近いつもこれだよなー……」
一樹はもう一度横になり目を閉じる。
・・・・・・
再び目が覚めたのは8時20分。
「やっべ!学校間に合うか?!」
急いで学校に行く支度をして、慌てて階段を降りる。
リビングには制服を来た妹が少し驚いた表情で一樹を見た。
霧鷺 蛍 1つ下の妹。親が長期出張をしているため、蛍と一樹と二人で暮らしている。
「あれ?お兄ちゃん今日遅いね?どったの?」
「あー、なんか昨日変な夢見ちゃって眠れなくてなー」
一樹は机の上に蛍が用意してくれてたコーヒーを口にしながら軽く説明する。
「え?!お兄ちゃんも?!」
蛍は目をキラキラさせてずいっと近づいてきた。
「なっ、なんでそんなに興奮気味なんだよ…」
「だって~、おにーちゃんと一緒だよー?」
「はいはい。ブラコンブラコン。」
蛍の話を軽くスルーし、コーヒーをもう一口飲んだ。飲んだコーヒーを机に置いたタイミングで、無視されて少し怒った蛍が夢のことを聞いてきた。
「そーれーで?おにーちゃんはどんな夢を見たのさ。」
「説明難しいんだけど…なにもない空間に文字が浮かび上がるみたいな?」
すると、なにかを思い出したのか、蛍は階段を上がり自分の部屋から悪夢のフラッシュバックと太く濃くかかれたノートを持ってきて一樹に渡した。
「お兄ちゃんさ、悪夢のフラッシュバックって都市伝説的なの知ってる?」
悪夢のフラッシュバックとは、過去に経験した悪いことが再び起こってしまうという都市伝説だ。ただ過去に起こったことは思い出せなかったり、しっかりしたことがわかってないので、謎が多い都市伝説と言われている。
「聞いたことあるけど…それだって言いたいのか?」
一樹は蛍からもらったノートに目をやりながら蛍に質問をした。
「私もね、そんな感じの夢だったんだけど…なんか起こりそうな気がしない?」
普通なら考えられないことだが、一樹はこの時笑って流すことができなかった。ほんとになにかが起こってしまうのではないか…そう思ってしまったのだ。
「……どうだろうな。」
一樹は残りのコーヒーを飲みほした。
「おーい、一樹ー!」
コーヒーの無くなったコップを置いたと同時に、聞き覚えのある声が家の外から聞こえた。
「あ、お兄ちゃんお友達でしょ?ほら、私も学校遅れちゃうし行こ?」
「そうだな。」
中身の無いコーヒーを片付け、妹の作った弁当をカバンにしまい、早々と兄弟揃って家を出た。
「遅いぞ、一樹!」
家を出ると、家の前に怒った様子で立っている人物がいた。
砂原 陸 ゲームや、異世界系が好きなクラスメート。クラスの中でもよく絡んでいる友達でもある。
「あ、おにーちゃん先行くね?」
蛍は一樹の横をすり抜け素早く自転車に乗り、学校に向かった。
「気を付けろよ。」
一樹は蛍を見送った方を見ていると、真ん前に陸が顔を出してきた。
「らしくねーな?なにかあったのか?」
「時間ねーからとりあえず学校で話すよ。」
二人は自転車に乗り、先に行ってしまった妹を追いかけるようにして、学校に向かった。
キーンコーンカーンコーン
ガラガラ
学校の予鈴とともに、教室のドアを開けた。遅いぞと言わんばかりの目で担任が睨み付けてくる。一樹と陸は急いで自分達の席である窓側の席に着いた。
「ふぅ、危なかったな…」
一樹は空を見ながらため息をついた。このとき一樹はふと夢のことを考えていた。ただの夢。そういい聞かせてしまえば簡単な話だが、それができなかった。
「欠席は無しだな。遅刻もなるべくないように。もっと余裕をもってきなさい。」
ガラガラ
そんなことを言って、担任はそそくさと教室を出ていってしまった。すると、その直後後ろから聞き慣れた声が耳に届いた。
「いーつきくん。おーはよ♪」
七道 椿 一樹の幼なじみ。小さい頃から一樹とよく遊んでいた。男女誰とでも仲が良く、クラスメートの信頼が厚い。小さい頃から少し不思議な力を持っている。
「ん?椿か、おはよう。」
「一樹くん今日は遅いんだね?寝坊しちゃったのかな?」
「久しぶりの寝坊だよ。最近疲れが溜まっちゃってな。」
一樹がそう言うと、椿は何かひらめいたような仕草を見せ、いかにも何かを企んでます!と言わんばかりの顔を近づけてきた。
「じゃあ、今日の夜は私が一樹くんの家にお邪魔しちゃおっかな!色んなお世話しちゃうよっ!」
「はっはぁ…」
椿は、お姉さんっぽい性格で、心配性でもあるので、特に一樹になにかあるとすぐに駆けつけてくる。
「あ、でも……そう言えば。」
椿は急に真面目な顔になり、周りをきょろきょろしながら一樹の耳元で話始めた。
「私、最近変な夢ばっか見るんだけど…一樹くんと…ううん。なにか嫌な予感がするの。」
一樹は椿と幼なじみだからこそわかる椿の秘密…ふとしたときの急な発言…不自然なアドバイス…
「椿…わかるのか?」
「はっきりとは見えないの。だけど、この後私たちによくないことが起こる。」
そう。椿の不思議な力…
「また未来が見えるのか…?」
「すこしだけね?」
にこっと笑いながら椿は言った。しかし、一樹が見たその笑顔からは、椿からの謝罪として見てとれた。
「あ、次の授業の準備してくるね。」
そう言うと、椿は自分の席に元気のない様子で戻っていった。
「まったく、あいつは……少しじゃないだろ。」
きっと椿はわかっていた。しかし、真実を伝えてしまうとどうなるのか…
「今回の未来予知…しっかり見えてるな、あれは。あいつなりの配慮…か。」
椿の悲しそうな背中から一樹は目をそらせなかった…
私の力。未来予知。
これは小学5年生の頃。
私はその朝、ベッドから起きたときに今日事故にあう。そんな気がした…
もちろん、ただの思い込みに過ぎないと自分でもその時は思っていた。疲れているのだと。
でも…
「お母さん行ってきまーす!」
「気を付けてねー?」
私はいつものように学校に向かおうと勢いよく家を出た次の瞬間、目の前が真っ暗になり、気がつくと病院のベッドで横になっていた。
これは、私の人生が大きく変わることとなった事故だった。
初投稿です。意味がわからないとか、思うことがあったら全然言ってもらって構わないです。
…言ってくださいw