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第二十一話 混乱1-2

「……何のことだ?」

「ほう、お前がやったわけではないのか。この厭らしい魔術……惨殺者ディマでも驚くと思うぞ。アンヴィは意図的に魔術回路を切(・・・・・・・・・・)断されている(・・・・・・)。解除を試みようとした奴は死ぬだろうね。魔術回路を暴走させるギミックが仕込まれている。それに――」


 ……早口でアンヴィにかけられた魔術の説明をし始める。

 グランディは触れた者にかけられた魔術が分かるという特異的なスペックがある。……こういう時じゃないとあまり役立たないが。本人だけでは対処方法まで分からないため、基本的にはランポがいる時に使っている。ランポが命を捧げても欲しいと言っていたな。偉大な魔術師でもこういうスキルを自分に付与することは出来ないらしい。神も気紛れなものだ。


「……服従の魔術もかかってやがる。こりゃ難儀な子だなぁ。お前の言った通り、アルナシオン派というのはほぼ確定だ。あと、水銀耐性・・・・があるな。全く、意地でもオーロに戻したくないようだ。メルクリオは戦犯者だぞ」

「うーん、まぁなんか色々あるんだね?」

「雑かよ、お前は。馬鹿でも分かるように説明してやる。この子はオーロに戻れ(・・・・・・・・・・)ない(・・)。絶対にな」


 オーロに戻れない?

 水銀耐性がついているだけでなぜ戻れなくなるんだ? それぐらいでは異端視されないはず。


「どーしてオーロにもどれないの?」

 ちょうどいいタイミングでアンヴィが質問をしてくれた。僕が言ったらもっと罵られるからな。

「はぁ……そうだな……理由としてはシンプルで、敵対勢力にかけられた魔術だからだ。バレたら串刺しだぞ。あのししゃも(・・・・)みたいに」

「ディマは敵じゃないよ? おともだち!」

「アルナシオンにその理屈は通用しない……。害あるものは抹殺するからな」

「いや、アルナシオンなら利用するはずだ。いくら知っている魔術だとしても、術式が違えば研究になる」


 というより、メルクリオはなんでそんな遠回りなことをしたんだ。他にも有用な術はある。本当に留めたいなら土地に縛り付ければいいのに。


「研究されたら厄介だけどな。水銀耐性以外の効果もバレちまう」

「ん? ……あぁ、微弱ながらあったな」

 メルクリオが使う魔術には全て対毒性を備えている。微量であれば自力で耐え凌ぐこともできる。


「……で、敵とこんなにおしゃべりしていて大丈夫なのか?」

「フンッ、別に構わんよ。すぐ死ぬだろうしな」

「……素でツンデレなのか?」

「はぁっ!? 加虐的と言えこのクソガキッ! お前といると調子狂うわ……」


 グランディは嫌そうな態度を取ったが、若干口角が上がっていた。もう少し嘘が上達しないものか……。


「あっ、そうだ。部屋に戻るついでに服持っていってくれない?」

 廊下に放っておいた血生臭いローブ一式を投げつける。まだ冷たさが残っている。

「それくらい自分で持っていけよ……」

「いいじゃん通り道だし」

「クソッ、なんちゅうガキなんだ……。あーあ、あの時死んでくれればよかったのに」


 ブツブツと文句を言いつつも、そのままローブを持ったまま立ち去って行った。


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