《出会い、そしてヌベスコ》
4月10日。入学式から数日が経ち、俺のクラス「1年5組」。少しだけど会話が聞こえてくるようになってきた。
俺もその中の一人。隣の席にいる【林田 義彦】とは、昨日初めて話した。
何話していいか全然わからないし、とりあえず場が持ちそうな話をしよう。
「な、なぁ。部活どうするんだ?」
とりあえずそんな話を振ってみた。
「あ、そうだなぁ、とりあえず今日は軽音部行ってみようと思ってる。お前は?」
「特になんも考えてなかったなぁ...」
「じゃあ一緒に行こうぜ!」
「それもいいかもな、そうするわ。」
軽音部か...確かにバンドはちょっと憧れる。
俺はなんの楽器になるんだろうか。やっぱギター?それともベースか、もしかしたらドラムかもしれねぇ。何が向いてるんだろうなぁ...
っとそんなこと考えてたら会話が途切れてしまった。
なんか別の話のネタは...。
「ちょっとトイレ行ってくるわ。」
あまり騒がしくないクラスなので、あまり多くの人に気づかれないように音を立てないようにさっと席を立った。
暇な時はトイレに行くに限るわ。こうして人間は頻尿になっていくんだな。なんて下らないこと考えながら廊下を歩く。
すれ違う人はみんな知らない人。いつか知っている人になるのだろうか...。
トイレに入ると、奥でスマホをいじっている奴がいた。
まったく、トイレはスマホをいじるところじゃなくてトイレをする所だろ。最近の若者は...。
最近の若者が最近の若者に対して心で愚痴をこぼしながら便器に向かって立つ。
すると突然背後に気配を感じた。誰かと思ったらさっきのあいつだった。
「な、なぁ。《ヌベスコ》って知ってるか?」
は?????る?????るる????????
初対面の人間に突然話しかけられただけでも意味がわからないのにさらに意味のわからないことを言われて、一周回って意味わからない。
「えっ」
もはや思わず声が出た。背後に立たれておしっこは出なかったが。
「いや、なんでもない」
そいつはトイレを出ていった。
ー手を洗わずに。
はぁ。トイレしてなくても手を洗うのは基本だろ。全く、この学校も困ったもんだ。
ーぼくは未来が不安だ。ー
「なんだこれ...紙...?何が書いてあるんだ...?」
ーこの環境にはまだまだ慣れない。ー
《└(՞ةڼ◔)」》
ー気づけばぼくは安心できる場所を探している。ー
「なんなんだよ、あいつ...。」
ーきっといつか、そんな場所が見つかりますように。ー
「おーい山中。軽音部の見学行くぞーって、何見てんだ?」
ー見つかりますように。ー