三
翌日俺とノゾミとミムは宿を出た。女将さんに昨晩はお楽しみでしたねといわれたがお楽しみなんてなかった。普通に寝た。襲うことも襲われることもなかった。
チェックアウトをして約束通り隣街まで護衛してもらうことになった。街へ行くには森を抜けなければならない。森には魔物が住んでいるから冒険者を護衛として雇うのは普通らしい。二人には護衛は雇っていないのかと聞かれたが今まで商隊についたりしていたから冒険者を雇うとかはないと言ってごまかした。
夜になった。まだ森を抜けない。今夜は野営することになった。二人が交代で見張るそうだ。俺は寝てていいらしい。俺が見張りをしても意味がないし。お言葉に甘えさせてもらった。
因みに夕食は俺が作った。昨日と今朝の宿の食事がおいくなかった。堅いし味気なかった。
「こんなにおいしいの初めて………」
「うめぇ!」
ただ普通に肉を塩胡椒で焼いたのと、コンソメ風味のスープ、街で買っておいたパンだか二人には好評だったようで。良かった。
夜。テントの外が騒がしいので起きた。
「ノボル!急いで逃げるぞ!」
ノゾミが腕を引っ張る。
「おい!どうしたんだ!ミムは!?」
「オークの群がでたの!ミムは時間稼ぎしてるわ!」
おいおい。まじかよ。やべーじゃないか!
「荷物は適当にしまって!すぐにでるよ!!」
おれは急いでリュック、マジックバックに道具を詰め込む。
「行くよ!走って!」
「おい!ミムは!?」
「あとで合流することになってる!とにかく今は走って!」
俺らはとにかく全速力で走った。とにかく走った。
一時間ぐらいだろうか。とにかく走った。今は森を抜けた先にあった原っぱにいるようだ。
原っぱがガサカザしてる。ノゾミが警戒体制に入る。
出てきたのはミムだった。
「遅く……なった……」
全身傷だらけだ。彼女はその場で倒れた。
「ミム!」
ノゾミが回復魔法を詠唱しながら駆け寄る。
ミムは肩で息をしている。出血も酷そうだ。
「だめだ……怪我が酷すぎて……」
どうやらノゾミの回復魔法では対処できないレベルの怪我の様だ。ここまでだと街にいるであろう司祭や医者じゃないと無理らしい。
「ここから街まで歩いて最短1日はかかる……とてもそれじゃ……」
それでは間に合わないだろう。
くそ……何か手は……
あるじゃないか!そうだ!車を出せばいいじゃないか!
俺は念じた!人が運べてはやいやつ!
光が沢山出てきた。やがて光が集まると出てきたのは
「ダイハツ、ハイゼットトラック……」
軽トラだった。
初登場の車両は軽トラでした。
以下今回登場した車両について。
1960年以降、55年以上発売されているダイハツのトラックシリーズ。農家のおじいちゃんが乗っているであろうあの軽トラである。近年農業女子向けにカラーバリエーションとしてピンクも登場したことで話題になった。荷台は縦2030㎜、横1040㎜でみかんのコンテナ54個荷台に積める。本作に登場したのはスタンダードモデルで19.6㌔/㍑の燃費で駆動は2WD。トランスミッションは5MT。
参考→http://www.daihatsu.co.jp/lineup/truck/index.htm