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――彼女は蔑む。(前)

僕が昔に完結させた小説も連載させていきたいと思います!


文章力や構成力、語彙力は乏しいですが、

お付き合いいただけたら幸いです!

「ほんとに―――いいの?」

「うん―――君も好きなんだろ?」

「・・・・大好き」

「大事なものなんだ、大切にしてくれよな―――」

「うん、ありがとう。わたし・・・いつまでも大切にするから」

俺の宝物、笑う女の子、それから俺らは手を振って、さよならをする。夏の暑さに、日焼けの跡が似合っているその女の子は俺の宝物を持って―――視界から外れるまで俺らは手を振り合った。

その子の事を忘れることは無いだろうと――――――。

しかし、その記憶は忘れてしまったどころか、現実なのか夢だったのか、時を重ねるごとに、曖昧となっていく。

そして、記憶は次第に薄れていき、記憶の所々が消え、

あげた宝物がなんだったのか、女の子が誰だったのか――――。

今となっては、時の砂に埋もれて、その姿は見えなくなっていた。










春の訪れを感じる瞬間とは一般的にどのようなものがあるだろうか。桜が開花した時、コートがいらなくなった時、行事ごとによって春の訪れを感じる人もいるかもしれない。

だが、俺の場合はどれも違う。それに、自分から感じとるのではなく、教えてくれるのだ。春が来た時も、夏が来た時も、秋が来た時も、冬が来た時も親切に教えてくれるのだ。

まぁ、勘違いされないように言っておくが、アプリケーションとかではない。最近はスマートフォンの普及率も増えて、便利なアプリがたくさん出ている。「ガラパゴスの時代は終わり、スマホの時代がきた」と友達が流暢に言っているのを聞いたぐらいだ。スマホは俺たちの生活になくてはならない物へとなったと言えるだろう。実際、俺もスマホの便利さには助けられている。そんな中、俺に季節の変わり目を教えてくれるのは片手に収まるようなものでは無い。それに便利なものでもない。ならば、それは何なのか?

正解は、

「あらあら、春が訪れたっていうのに、あんたの顔はいつまでも冬みたいね」

桜の開花、暖かい風、穏やかに鳴く鳥、こんな平和に始まったと思った高校二年の新学期の朝に、春の季節が似合う声で俺を貶しているこの親切な女―――――(きぬ)(おり) 文音(あやね)。 こいつだ。

「はいはい、そりゃどうも」

こんな良い一日なのに、こんな奴と出くわすとは俺もついていない。

「珍しいわね、今日は元気がないじゃない?」

「元気がないようにみえるか? なら、あれだ。お前が原因だ」

そう、絹織 文音。お前が原因だ。登校時、お前と出会うのを避けるために家を出る時間を毎朝、分単位で変えているのに、なぜお前は俺と一緒に枚門をくぐる? どうゆうことなんだ。

「私が原因? もしかして、私にときめいて恋の病にでもかかったのかしら?」

「そうかもしれないな」

「―――――そ、それ本気なの?」

「冗談」

「・・・殺すわよ」

ほんと、女の気持ちは理解に困る。フリに乗っただけなのに殺されなくちゃならないなんて、それならば、俺はどれだけ殺されているのだろうか――――少なくともこいつからは数えきれないほど殺されているに違いない。

そんな感じで、高一の毎朝は殺されながら絹織 文音と登校していたのだが、高二になってもこんな毎朝が続くと思うと胃が痛い。

―――――喋らなければ、可愛いのに。

神様はそんな甘く人間を作ってはいなかった。


俺の登校には二つの関門がある。一つは絹織 文音との登校。二つ目は教室に入るとき、

「おっ! 今日も仲が良いねー 羨ましいよっ」

「高二、早々からラブラブですかー」

「リア充、ファック!」

これが、二つ目の関門である茶化しだ。まあ、この茶化しも一年間されていれば当然、慣れるのだが、新学年になった節目にクラスの奴らに言っておく必要がある。

「おい、みんな、勘違いしてないか? 俺らは付き合ってなんかないぞ? それにな、登校の時だって偶然に重なっただけだ」

「偶然が重なると必然になるんだぜー」

ごめん、斎藤、そうゆうのは今いらん。

「良かったわね、この学校って学年変わってもクラス替えがないから、いつまでも二人一緒じゃない」

なぜ、こいつは軽くキレ気味なの? 恐るべし、ルーム長。

しかし、キレ気味ルーム長が言うようにこの学校のクラス替えがないのは納得がいかない。

教室へ入るや否やクラスの奴らに茶化される状況。これをあと何回繰り返せばこいつらも飽きるのだろうか。俺は、三回目ぐらいで飽きていたというのに。

「おい、お前からも言ってやってくれよ」

毎回毎回、俺だけが弁解している状況も何とかしないと。

「あっ、そ、そうよね! こんなバカみたいな男と好き好んで一緒に登校する訳ないじゃない!」

そうだ、そんな感じに弁解してくれ。俺は何を言われたっていい、仲が良いと言う誤解が解けるなら。

「それにみんな? 私とこいつでは仲良くなれるような関係じゃないことぐらい分かっているでしょ?」

そうだ、そうだ。いってやれ。

「でも、一夜(いちや)朱音(あかね)は付き合ってるじゃん」

キレ気味ルーム長が対抗してくる。

「あいつらはそもそも親同士仲が良いのよ! でもね、私とこいつは昔から親同士も仲が悪いのよ!」

その通りだ、グッジョブ。俺らの親同士仲が悪い、そんなこと隠すようなことではない。この学校じゃだれもが知ってるだろうから。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


この作品は完結しているので

最後まで定期的に更新させていきたいと思います!!

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