病んだ世界に今日も立っている
過敏で過剰だと言われるかもしれない、しかし僕が立つ学校での先生の話を聞いてもそう口に出来る者はいるだろうか?
どうして学校に警備が立つのか、ただ学校に行くだけのことに不安があるから。
いつだったか先生が言った。
「子供が学校に来る途中の公園で拳銃が落ちているのを見たらしいのですが……」
目を覗き込むように見つめ、僕の返事を待っていた。
なぜ僕がこの地域の警備に選ばれたのか、それはすでに学校に脅迫状が届き、警察も警戒しているような状況にあるから。
でも、捕まえられない。相手は心を病んで罪と罰から解き放たれた者だから。
だから校長は初めて顔を合わせたその場で僕に言った。
「いざという時、君は子供たちを守れるのか?」
赤いペンで描かれた挿絵が入った赤い字で書かれた脅迫状を見せながら、苦しい表情で僕の返事を待っていた。
僕は会社で言われた通りの言葉を並べ説明した。
落胆したように見つめていた校長は退室を命じた。
あれから数カ月が経っているが、まだ実力行使することは起きていない。僕の仕事は学校の巡回警備で本来の役目は未然に防ぐこと、抑止であり、起こらないようにすることでしかない。
担当区域には三つの学校があり始めに巡回するのは中学からで、学校の周辺を一回りして異常がないか確認後に校門に立つ。
駅から緩い坂道を下りながら何度か角を曲がり学校の前まで辿り着いた。
始めてこの中学校に来た時、女生徒が窓から警察さんと声をかけてきた。
前の担当者は老いていたらしく、若く見える警備員が気になったのだろう、僕が警察ではないよ、警備だから。と言うと重なるように可愛い歓声が上がった。
思春期特有の、微かに優しく香るような声の響きが、心をくすぐった。