僕は聞いた、私は告げた。
彼は聞いた、私は告げた。
「わたしは知恵ある者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さを意味のないものにする」
彼はこう言っている。私を信じなくても私のするわざを信じなさい。
空間、見えない間、隙間があったとして、そこに記される題名に文字の限りのような条件が示されていたとしてもその題名の記される空間が透明であれば限る線が色で区切られない限りどうして同じ題名の文字なのに異なる書かれ方をするのかわかる術はない、二つを並べて見比べない限りは。
空間認識能力とはそのようなもので、認識する能力の限界は自身の嗜好の大きさに依るところが大きく左右する。
僕は最古から続く秘密を解くことを使命として生きている。秘密には秘密にされる秘密がある、つまり隠される理由がある。隠れているものをどうやって探すのか。
彼は教えている。
「私が暗闇で話すことを明るみで言いなさい。耳打ちされたことを屋根の上で言い広めなさい」
これがつまり
「わたしは知恵ある者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さを意味のないものにする」
という主の声の応えとなる解答となれば氷解する、秘密を必要としない理由が。
あなたは遠くにいる。見上げて微笑んだのがなぜかわかった。
ぼくは遠くを見下ろして、現実の風景に戻った。




