魂に
何らかの強い衝撃を感じると、閃光が走るように心の奥で像が映る、それは時に白昼夢となり白日に夢から姿を現わす。
生きる時も生きる人も生きる所も様々で、見たこともない聞いたこともないものが心に映る。
これが自分の過去の記憶の断片ではないかと感じるようになったのには理由がある。
世界はわからないことだらけで、わかないことをわかるようになるために生きていると言っても言い過ぎではない。
僕はずっと考えてきた、ずっと思ってきた、ずっと感じてきた命の仕組みを解き明かしたい、生きることが好きではない僕が生き続けている訳を知りたい。
僕という命がある。
僕はこの命に記された命令。
僕という命令の秘密が僕が動かしている肉体にある。
僕という命は譬えるなら電気。
肉体は機械。
機械の中に命令というプログラムがあり、プログラムは遺伝子と呼ばれる。
僕は僕という命を生んだこの世界のプログラムが知りたくて、プログラムを記すプログラム言語の仕組みを解き明かしたいとプログラム言語にあたるものを探し、魔術に辿り着いた。
魔術は具体と抽象をつなぐ欠けた言語の意味と内容を計算から割り出し補完出来る、それはまるで見えない、聞こえない、感じない魂を象り映す心のプロジェクターを創り上げる設計図であり、取り扱い説明書にあたるものだと、魔術師となった今は感じる。
この世界に生きるものは、この先に透き通る世界があることを知らない、僕だけが知る透き通る世界があるから僕はまた、生きている濁った世界で、そう感じるのはここに誤解がないなら、彼がそう感じさせているから、彼が感じさせているなら、僕が触れられないあれがそう命じたから。
感じない異なる言語で魂に。




