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優しさを叶え給え、機微、思惟を求め給え

 片仮名をただ音として読む者にその音が秘めた意味と内容を象ることはない。


 思いはかさなり形を露わにする。


 片仮名は漢字から省略されて生まれた文字。


 もしも片仮名で書かれた文字に読み難さ、可読性の低さを感じるなら、最も自由度が高い思考を得ていないということ。


 片仮名は漢字という意味と内容の安定した形の輪郭が欠けた音という縛りしかない文字、逆説的に語れば音という縛りが、意味と内容を生み出していることになる。


 音とは振動だから、振動に意味と内容が象られていることになる。


 振動とは響だから、郷は里で里は表と裏どちらにあるか、光を浴びた心なら矢が射した響きを聴いたことだろう。


 真の魔法、魔術とはなんだろう。


 僕が魔術師を目指し、志した生きる目的、目標がこれに達することだが、どうやら謎は解けたようだ。


 魔法、魔術の正体は変換。


 真は新になり、親に近づく。


 見るために、祈り、誓い、学び、覚える。


 三はミになる。

 いや、なった、なったから、成ったのではない、過ぎ去った時は解き解く、順序が大事で大切で、重要なこと。


 先ず、漢字が、そして片仮名、其れから、平仮名、現実を見なくてはミは現れない、王と見えるものは玉のこと。


 機微に疎い者は機がはたと微かに心に響くことを知らない。


 はたと響く時、いそがしく、わすれていた為に忘れていたこころが、幽かにいつもと異なる何かを、覚えていた、憶えていた、見たことのあるような、ないような小さい音を響かせた……。


 やさしいはヤサシイけど、優しいか易しいかは象らないとわかれない。


 人と人が傷つけるいちは人を憂うに優しいいちで、傷つけるなら疵も見え、きずはキズで疵はしでしは紫で糸はしで、しは始で始ははじめではじめは一でだからケンイチ。


 ケンイチは健一、人が建てるはじめが僕。


 彼は僕に言った。


 優しさを叶え給え、機微、思惟を求め給え。


 それは音になる前の心の響きのようなもの、囁きでもなく呟きでもない、嘆き、心からの涙として幼き日々の頃の夢を見せるようにして語った。


 僕は音を形を求めた、叶えるための適えの形を。


 音は響いた、鼎という過去に。


 具体的な鼎を抽象化してその形から意味と内容を取り出すと三角が表れる。


 現在は過去という糸から紡がれている。


 なぜ鼎は生まれたのか、その意図はどこにあったのか、遥か彼方過ぎ去りし時を生きた者の思惟を求める、そこに機微が表れるから。

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