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君に説けるのはここまで。さあ、行きなさい

もうすぐ、堤防に上がる階段に近づく、さすがに女教師も気にして後ろを振り返るだろう。


「あのさ、時間切れだから、また機会があれば……」


少女が何か言おうとした時、彼の気配を感じると、僕は微笑を少女に向けた。


「知りたいなら検索すること。不透明な薔薇の王冠だから。君に説けるのはここまで。さあ、行きなさい」


その声は遥か彼方から響いているように、感じられた。


少女は、まるで……。

記憶を消したのか……。

それとも深く触れられないところまで……。


沈めたのか……。

駆け出した少女は色々な思いを忘れたかのように、振り返りもせず階段を登って行く。


れいの力を使ったのか、何度聴いても彼の声には逆らえない何かを感じた。十字架に架けさせたのも、この力なのか、勝ってだな、あれも……。


僕の役目としての仕事はあの本を出した時点で終わっている。


あとは……。


人として生きている僕が言うのもおかしいが、人は自分で自分の首を締めるのが好きな生き物だから、その結果が病みでも自業自得でしかない。


けど、誰かの所為にしないと気がすまないから、困るんだ、人が大嫌いな僕としては。


いつまでも、彼も微笑ではないかもしれない。時はもう無いのかもしれない。


そんなことを知るはずもない子供達が河川敷の草原から手を振っている。


僕は人としての仕事のために笑顔で手を振り返した。


お昼の前に学校に帰り、ランチを用務員の人たちと頂き、次の山の上の小学校に向い急な坂道を登った、昼休みが終わる前に着いたら……。

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