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ほら、誤解が誤解のまま、正解にされた。だから、僕は彼が嫌いなんだ。

 僕は履歴書が嫌い。

 履歴書を書くのはもっと嫌い。


 履歴書を正直に書くと僕の職歴は履歴書に書き切れない、ボーダーラインがあと幾つ必要なのか、考えたくもない。


 自分で見えない何かを見るために占で必要を決めた。未来の仕組みが知りたかった。だから、必要に必要を重ねたら履歴書に書き切れない経験値となった。


 閃きは直で、瞬くよりも速く通り過ぎて……。

 痛みとして受け取らない者には通ったことさえわからない。

 感性とは感受性となり感覚を開く。どう考えるか、その考え次第で思考は嗜好を決める。


 で、至高を志向した結果が出した答えが現在で、この位置で、僕の原罪が原因なのか、占は僕の望まない、嫌いな、嫌なことばかり時に並べて、重ねて、積んで見たら責任という荷を背負わされて、大嫌いな人間を守る仕事に……。


 

 少女は見事に恋を表現した顔をして、たまに彼を見ている。

 参った、これは誤解を招く、彼の姿に恋した、でも見えない者にしたら隣にいるのは紺碧の僕、誤解を解こうにも正解を口にしても、理解は望めない。


 誰も不思議なことはあると認めても、目の前に出さないと認めない、この場合は目の前に出されているのだけど、出されても見えないから出さないのと変わらない。

 間も無く河川敷に着く。嫌でもこのままだと……。

 振り返ると少女は空を見ていた。

 長身の少女が見上げたままつぶやいた。

 「翼は飛ぶためにあるんだ」

 「さあね、彼は人ではない。人と区別されるためにあるのかもしれない」

 「彼はどこにいったの?」

 「僕の中に……」

 「あなたの中?」

 「僕はこの世界で彼があるための彼の一部、この世界に限定された、彼なんだ……」

 彼が僕の体、唇を動かした。

 彼の力は、必ず美の領域を超えてこの世界に響く、そんな声を聞いたら虜になるだろうが、魅かれる姿がなくても。

 長身の少女の僕を見つめる目の色が変わった、透き通る色に。


 ほら、誤解が誤解のまま、正解にされた。

 恋の病は治らない、早熟ならなおさらに。


 だから、僕は彼が嫌いなんだ。

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