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2. 夢
『マグラートの地下にはもうひとつの世界が存在する。
二つの世界はほとんど相容れることはなく、それぞれの住民が平和に暮らしている。
地上には豊かな土壌と清涼な水、そして植物を育てる光がある。地下には希少な鉱石や純度の高い魔素水晶が存在し、空気中の魔素の濃度も高い。それぞれの環境に適応していった結果、マグラートに生息する種は多様になっていったのである。』
まどろむ意識の中、鈴美はそんな声を聞いていた。広大な氷の大地と宙に浮く人形だけが鈴美の目に映っている。
『さあ、ここがお前の行くべき場所だ。』
鈴美の意識は目を閉じた人形の中に吸い込まれていった。
人形はゆっくりと氷の大地にぽっかりと開いた穴に吸い込まれていった。