36「たった一つの質問」
本能的に思った。
彼が怖いと。
大学見学会の帰りの電車、私の隣では涙目な留衣が不機嫌そうに口を尖らせている。
貴重な学生生活最後の夏休みを無駄に消費させられた私こそ不機嫌MAXなのに……と心の中で呟いてから一つため息をつき、彼女の頭を撫でながら声をかける。
「仕方がないでしょ?
抽選だから」
「だからって!
あんな馬鹿げた質問が採用だなんて……!!」
「……その馬鹿げた質問の意味も分からなかった人はどうしたらいいの?」
「死んだら」
「即答な上に親友の存在を否定!!?」
自惚れではなく留衣は異常なまでに私が好きだ。
過去の経験から異性だけでなく同性にまで私の友人関係はすべて把握している。
いままで私をおちょくる発言があってもここまで徹底的に否定されたのは始めてかもしれない。
よほど“最上司”教授と繋がりを持ちたかったのだろう。
幼なじみの私でも見たことのない笑顔を浮かべている……けど。
「……(でも、あの人は危険な気がするのは私だけ……?)」
演説中、何度も視線があいかけたが留衣よりもはるかに暗い夜色の瞳に私は本能的に怖いと思ったのだ。
近づいたら飲み込まれてしまいそうだった。
演説終了後、最上司は大学の研究室で今日の参加者の質問を全てチェックしていた。
「……つまらない
所詮は凡人の質問だな」
そう言いながらも次々と質問を読みあさる。
どれもこれも似たような内容に飽きかけたとき1枚の質問に目が止まった。
「……ほお、これはずいぶん私と気が合いそうな子だな」
呟いてからおもむろに電話をとりどこかへかける。
「……ああ、校長はいるか?
……対した用事ではない、今度の講演会を承けるとのことを伝えて欲しい
少し面白い少女がいるみたいだからな」
そう言って不敵に笑う彼の手には1枚の質問用紙。
『デザインチャイルドは実現可能ですか?
西木留衣』
たった一つの質問。
この質問により私と留佳先輩は親友であり妹である留衣を失うこととなった。
子供達も巻きぞいにしてしまった悲劇の始まりだった。
はい、滅茶苦茶中途半端ですが『絶望の予告編』はこれで終わりです。
本当に『天才な姉、万能な弟』の始まりだけです。
はい、ごめんなさい。
ですがこれ以上書くと少し長くなりまして……。
もし!見たいと言う希望がありましたら是非書かせていただきます。




