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平均な兄、天才な妹  作者: 夜桜
絶望の予告編
33/40

33「馬鹿!!!」





ただの幼なじみのお兄さんに見れなくなったのはいつからか。

私にはわからない。

だけど決定的に変わったのはこの時かもしれない。












寒さが増始めた11月、誘拐事件以降は至って平和で特に大きな事件はなかった。

(と言うよりは誘拐事件が身近にある方がおかしいと思うのは私だけかな……?)

特筆するべきことはない。

しいて言えば留衣が前期生徒会長に就任したことぐらいかな?

……あ、うん。

充分驚く事かもしれないね。

忘れているかも知れないけどあの子あれでも学年3位から落ちたことのない天才児だから。

満場一致の就任は学校始まって以来と言われているぐらい。

後は特にない……いや、一つだけあった。

留佳先輩のことだ。

11月のある日、総一さんに呼び出されてからなぜか私に対してかなりよそよそしい態度になっている。

そりゃあ、今までだって特別仲が良いわけじゃなかった。

けどあの夏の誘拐事件以来はわりと仲良くしていただけに今回のことは腑に落ちない。

今だって学校の帰り、一緒に帰ってくれるけどどこか距離を感じる。

ちらりと隣を見ると自転車を押す私にあわせて歩く留佳先輩がいる。

気のせいかな?

…どことなく落ち着きがないような気がする。

「留佳先輩、どうかしましたか?」

「……何も」

「最近私に対してだけ何か遠慮してませんか?」

「気のせいだ」

「…………あからさまに顔を背けながら即答しても嘘臭いだけですよ」

あきらか明後日の方向を見ている留佳先輩に私はため息をつく。

すると留佳先輩が恐る恐るこちらを振り返る。

おもいっきり睨むと留佳先輩は気まずそうに目だけそらす。

それだけの動作だけど私の中の何かが“キレた”。

無言のまま自転車に跨がる。

そして大きく息を吸って私の行動に首を傾げる留佳先輩に一言。







「馬鹿!!!」




そう言って全力でサドルをこぎその場から離脱。

背中から留佳先輩の声が聞こえた気がするけど聞いてやるもんか!!





荒々しく玄関に入り靴を脱いでから私は一目散に自室に向かう。

途中お父さんが出てきた気がするけど私の気迫に負けたのか声もかけないのでいないものと考えよう。

自室に着くと扉を閉めて目の前にあるベッドに入る。

枕に顔を埋めて真っ暗になった視界を過るのはいいずらそうにする留佳先輩の表情。

「……馬鹿、何で何も言わないの……!」

どれたけ聞いても答えようとしない留佳先輩。

少しは仲良くなったと思っていただけにそのダメージは大きすぎるものだった。

そしてかなりムカつくもの。

イライラもするし胸が痛いしで……元凶たる留佳先輩を恨みそう。

「もう……知らない!」

そこから一時間ぐらい一人でひたすら愚痴っていた私だけど気付いたら夢の中に旅立っていた。



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