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平均な兄、天才な妹  作者: 夜桜
如月編
30/40

30「犯罪でもバレなければいいのですよ」





「……ふざけないで下さいね?」

そう言ったあの雌狐の孫は真也さんを連れていったあの女にそっくりな笑みを浮かべている。

今はいない、柊早苗に。






「貴女方に私を縛る権利があるとは思いません」

「……これは如月家の決まり

その血を受け継ぐ貴女にもそれは当てはまります」

「確かに私は如月家の血をかなり不本意ながら受け継いでいるらしいですが、私の親権はお母さんの実家つまり柊家にあります

例え如月家の決まりで私が貴方の許嫁で有ろうとも親権が柊家にある今、そして柊家の方々が知らないのであれば……

この時点では柊家からしたら“誘拐”なのでは?」

満面の笑みと共に吐き出されるのはかなりの毒舌。

どうやらこの娘はあの病弱な雌狐よりも強かで最後まで折れることのなかったあの女に似たらしい。

真夏さんも正論なまでの正論に押し黙ってしまう。

娘は完璧な笑みを浮かべたまま口を閉じる。

情けないことに次期当主はこんな小娘に言い負かされたようだ。

私はため息をついてから口を開く。

「確かに貴女の言うとおりですが今日という日を過ぎれば何も言えなくなりますよ」

「もしかして今日にでも私の親権者を如月家の縁者にでもする気ですか?

それ犯罪ですよね?」

「犯罪でもバレなければいいのですよ」

そうバレなければいい。

小娘は私の言葉に目を丸くするが名門と呼ばれる家柄にはこう言うことなんて日常茶飯事。

珍しくも何ともない。

大切なのは如月家を守るための最善の策。

最も濃い血を持つ小娘を真夏さんにあてがい次世代を残す。

そのためならば私は鬼にでもなれる。

「貴女をここに永久的に閉じ込めることも可能です

如月家にはそのぐらいのことは出来ますよ」

「……私は柊家の人間です」

「では柊家を潰しましょう」

「!?」

意識的に微笑みながら言うと冷静だった小娘の表情に驚きが浮かぶ。

今まで一般人として暮らしてきた彼女には信じられないことを私は今までしてきた。

そしてそれは代々この家がしてきたこと。

清々しい気持ちで微笑むと小娘はため息をつく。

「……化け物」

「何とでも言いなさい

貴女に拒否権はありませんよ」

「……それはお父さん達を人質に?」

「ええ」

私の言葉に小娘は眉をぴくりと動かすだけで意外なことにそこまで感情を取り乱した様子はない。

意思の強い純粋な黒い瞳は挫けた様子もなく何かを待っているかのよう。

まさか真也さんを待っているの?

あの役立たずを。

「お父さんは役立たずなんかじゃない!!」

「っ!?」

私としたことがどうやら無意識のうちに言葉に小娘していたらしい。

隣では真夏さんが小娘の怒りに飲み込まれたのか目を丸くしている。

「八千代さま、貴女はお父さんの何を知っているのよ!!

貴女みたいな家に囚われている人にお父さんの何が分かるの!?」

「あんな病弱な子必要ありませんから何も知りませんよ」

「……じゃあ、お父さんが無駄に腹黒いことも知らないの?」

「?」

若干顔が青ざめている小娘。

それよりも私には小娘の言葉の内容が気になってしまった。

腹黒?一体何のこと?

少し思考の波に飲み込まれそうになっていたけどドタバタと五月蝿い足音が聞こえてくる。

徐々に近づいてくる足音に耳を傾けながらこちらに向かっているのが分かる。

そして荒々しく襖を開けられるとやって来た人物を見て私は思わず目を丸くしてしまう。

その人物はにこりと笑う。

「お久しぶりですね、八千代お祖母さま」

「真……也さん……?」

「さすがの貴女でも孫の顔を忘れていたわけではないのですね」

「一体何かしら?」

「音葉を助けに来たついでに如月家を潰しに来ました」

「……ついでが大きすぎるよ!?」

不敵に笑う真也さん。

見たこともない孫に私は驚くことしか出来ない。

だけど一つ言える。





厄介なことになりそう。




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