28「“如月家を潰す”って」
祖母さまが僕を嫌うのはよく分かっている。
父親よりも母親によくにた僕を嫌うのは。
だけど母さまは僕に優しく暖かかった。
だから今の今まで“如月家”には手を出さなかった……のに。
音葉の自由を奪った。
悪いけど徹底的に潰すよ、八千代祖母さま。
音葉が行方不明になりあまりのショックで寝こんてしまったけどこのままでは早苗さんとの“唯一”を失うことになってしまう。
その重大さに気づいた僕は止める英輝さんを振り払う勢いで音葉の居場所を探し始める。
幸いそういうツテは沢山あるので徹底的に調べあげ音葉が真夏くんの婚約者になっているという腹立たしい情報をつかんだのは音葉が行方不明になった3日目の夜だった。
「……ふざけるな」
叫び散らす留衣ちゃんを止めたのは様々な感情を無理矢理圧し殺した留佳くんの心からの叫びだった。
怒気なのか憎しみなのかは分からないその言葉に長年彼の傍にいた家族たちは目を見開き驚いている。
失礼ながら僕は思わず苦笑してしまう。
そんな僕に留佳くんは訝しげに眉を寄せている。
「苦笑しないでさっさと音葉を助けにいきましょう、真也さん」
「そうしたいけど相手は如月家だよ?」
そうはるか昔から日本を裏から支えてきた古き一族。
僕が言うのもなんだけどそこらの一般人が反抗したところで彼等には何のダメージにもならない。
だから僕は意地の悪い笑みを浮かべながら言う。
「もしかしたら自分たちがつぶさ「真也さん」
「ごたくはいいのではっきり言ってくれませんか?
“如月家を潰す”って」
苛立ち、まさしくそんな声音で留佳くんははっきりと言う。
僕は特に驚くことはなかったけど留衣ちゃんや沙耶さんそれに総一さんは留佳くんの言葉に声を上げずに驚いた表情を浮かべている。
そんな彼らの様子に特に気にも止めずに留佳くんは続ける。
「貴方にとって音葉は早苗さんと貴方を繋げる“唯一”
……音葉が望まないことをしている者達を何もせずにほっとくわけがない」
「……」
「貴方のことですから作戦もたてているのでしょ?」
「……まったく、君は本当に」
“音葉が好きなんだね”と続けようと思ったけど言葉を途中できる。
淡々と話していた留佳くんだけど視線は鋭く僕の体に突き刺さりそうだ。
早く音葉を迎えにいかないと僕が死んでしまいそう……。
冷や汗が背中を伝うのが分かった。




