25「てか、ここどこ?」
私と留佳先輩は所謂“幼なじみ”。
でも私にとっては留佳先輩は“兄”のような人で留佳先輩にとっては私は“妹の親友”。
少し前まではそれで良かったし満足だったのを覚えている。
そのぐらい彼との“幼なじみ”関係はかなり希薄なものでいつ消えるか分からないそんなあやふやなものだった。
……でも、いつからだろう。
お正月ぐらいかな?
いや、文化祭だ。
留衣の「欲したらどうする?」の一言。
私は“何故か”彼が兄に見えなくなっていた。
たったそれだけなのに見えなくなっている。
共に過ごす時間が多いほどそれは強くなり何か“別の関係”を求めている私がいた。
これはその延長だと思う。
無意識のうちに留佳先輩の名前を呼び、すがってしまうのは。
「……」
意識をとりもどしてまず目に入るのは木目の天井。
意識をとりもどしてまず感じるのは身体を覆う布団と下に引かれている敷き布団。
次にあり得ない感触が両手首から感じ布団から2本同時に出すとジャラと音が響く。
両手首につけられているのは鉄の物体で出来れば生涯つけられたくないなと思う手錠だった。
……さて、これはどういうことでしょう?
てか、ここどこ?
「目が覚めたか?」
「……」
声を右側からかけられ顔をゆっくりとむけると少し気難しそうな表情の男性が胡座をかいて座っている。
お祖父ちゃんよりは年下だけどお母さんよりは年上に見える男性は私を見て少しにこりと不器用に笑う。
「全体を見ると母親に似ているが目とか鼻……細かい部分で見ていくと真也に良くにている」
「……性格は……お父さん似です……」
「…………そうか」
くしゃりと嬉しそうに笑う男性を見て私も思わず和む。
そして何故かお父さんの笑顔と重ねてしまうのだ。
「……いやいや、それよりここ何処ですか!?」
危ない危ない。
思わず和んで自分が拐われた(?)ことを忘れそうになってしまう。
慌てて腹筋だけで起き上がるり周りを見ると部屋の様子が分かり唖然としてしまう。
そして非常識にも大声でツッコむ。
「10人部屋で1人寝かせる家って何よ!!?」
「これでも狭い」
私のツッコみに男性はさらりと当たり前のように答える。
狭いの、これ!?
「ここがどこと言われれば“如月家”の本家だ
……君は丸二日も気を失っていたぞ」
「え!?二日も!」
男性の言葉に驚きながらも問うと男性は静かに頷く。
ヤバい……お祖母ちゃんに殺される……!!
普段はおっとりとしているお祖母ちゃんだけど怒らすと物凄く怖い。
そりゃもう……扮装地域の方がマシと思えるぐらいに怖いよ。
「……てか、ここどこですか?」
「“如月家”の本家だ」
聞けば律儀に返してくれる男性。
返してくれた答えは一応予想どおりなので心の中で納得しておく。
それと同時に一つの疑問が生じる。
「……どちら様ですか?」
そうこの男性の名前と正体だ。
どことなくお父さんによくにているしおそらくは血縁者だとは思う。
すると先ほどまでのどこか微笑ましそうな雰囲気は消え去りどこか胸が押し潰されそうな重苦しい雰囲気に包まれる。
唾さえも飲み込むことを躊躇ってしまう空気に私の身体は自然と強張ってしまう。
特別男性が怖いというわけではない。
おそらくこの屋敷の本来持つべき空気なのだろう。
「……真也に伝えてくれ」
「え?」
「お前の大切な者を守れなくて申し訳ないと」
「え?は?」
混乱する私を置いて男性は部屋から出ていってしまう。
カコンと、なる鹿威しが耳に入り私の心の虚しさが響く。
私は知ることはない。
彼が私のもう一人の“祖父”であることを。
私は知ることは出来なかった。
彼が親友の全てを奪う元凶と繋がることを。
お待たせして申し訳ありません!
なんとも重苦しい展開になってしまいました……。
本当は10話で完結の予定がズルズルとなってしまいました……。
最後の一文は分かる方は分かられると思います。
実は【如月編】終了後は本作品一作目の物語『天才な姉、万能な弟』の始まりを書こうと思っております!
分からない方はどうぞ!『天才な姉、万能な弟』を読んでくださるとわかりやすいです!




