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平均な兄、天才な妹  作者: 夜桜
如月編
20/40

20「……やっぱり馬鹿兄貴嫌い」





転校生 如月真夏さんは私を憎しみを籠めて見てくる。

それが堪らなく怖く、恐ろしい。

私の記憶が正しければ彼との接点はない。

過去、彼とあったこともなければすれ違ったこともない。

だけど彼の憎しみの籠った視線は私を凍りつかせる。












6月末の今日、私は留衣を殴りそうになってしまった。

実際は殴らなかったけどね。

理由は簡単!


「何で私宛の手紙を勝手に処分するのかな?」

「害虫の手紙なんて音葉に読ませたくなったからよ!」

「威張るな!!」

そう私宛の手紙を勝手に処分したからだ。

しかも留衣は満足げな表情を浮かべているから始末に終えない。

だから説教が無駄に長くなってしまうのはわかっているのかな。

「大切な用だったらどうするのよ!」

「大丈夫!音葉にとっては害悪にしかならないから!」

「だから、威張るな!

ひとのものは勝手に触るなって沙耶さんに言われなかった!?」

「お母さん曰く

“音葉ちゃんに近づく害虫は徹底的に排除なさい♪”だってさ」

「どんな英才教育ですか!?沙耶さん!!」

西木家の意外な教育方針が明らかになった瞬間だった。

てか、手紙の主達を害虫と称する留衣は口が悪い。

しっかりとそこは教育しないと!

「……音葉っていいお母さんになれそうね」

「今この場に限っては嬉しくない!」

「それは兎も角」

話を無理やりそらし始めた留衣。

いつものことなのでため息だけで止めておく。

だけど……

「兄さんから聞いたけど

如月真夏に睨まれたって?」

「っ!」

ため息をつくのではなく飲み込んでしまった。

その様子に留衣は怒ったように口を尖らす。

「やっぱり馬鹿兄貴は狡い

私より音葉の傍にいないのに“昔から”私より音葉を知っている」

「そんなこ「音葉だって」

「馬鹿兄貴を信頼しているでしょ?」

「……」

留衣にそう言われ私は押し黙ってしまう。

確かに私と留佳先輩は幼なじみと言うにはあまりにも一緒にいた時間が短すぎる。

だけど長く傍にいた留衣よりも私は留佳先輩を無意識に頼ってしまっているらしい。

確かに留佳先輩の傍は暖かく誰よりも居心地がいいもの。

だからこそ彼の前なら感情が緩くなってしまうのかもしれない。

思わず苦笑すると留衣はますます不機嫌な表情を浮かべる。

「……やっぱり馬鹿兄貴嫌い」

「こらこら

実のお兄さんに対して何てことを……」

「いいの!」

ふん、と横をそっぽ向く留衣は完全なる子供。



はてさて、皆様は覚えているでしょうか?

留衣は全ての物事(家庭科は除く)を平均以上に出来る天才。

更には平均以上に整った容姿をもつ美少女。


Q,美少女の可愛らしい所をみた男子がとる行動は?

A,顔を赤らめる。


……教室にいる大半(男女ともに)が真っ赤になっており何人かは倒れているというおかしな状況を作り出している。

今度こそため息をついてから私は思わず留衣を睨む。

本人は自分の容姿を自覚しているだけありテヘと悪戯っ子のような笑みを浮かべている。





放課後、珍しく生徒会もない留衣を交えて留佳先輩と三人で帰ることになり留衣は何故か留佳先輩を睨み付けていた。

睨まれている留佳先輩はいつもどおり無表情で自転車を押している。

……その間に挟まれる私はかなり気まずいのはわかってほしい。

「反抗期か?」

「黙って

よくよく考えたら一番の害虫って兄さんよね?」

「知らん」

「お母さんから(音葉に近づく)害虫(と言う名の男)駆除の許可を貰ってるの

良かったら送り迎え変わるよ?

(要約:音葉に近づかないでくれる?)」

「お前は生徒会があるだろ

(要約:断る)」

「……」

何かいろいろ含みのある兄妹の会話に間に挟まれる私はきまづいのだけど……。

二人は気づくことなくどこか裏のある会話を続けている。




「……一人で帰ろっかな」

「「ダメ!/駄目だ!」」

「何で小声で言った言葉には気づくのよ!!?」




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