やります……。(140)
どうも、タクです。最近ログインしてもネタを自然と探している私が居ます。ん? 自分がもうネタだって? ソンナコトナイヨ!
しかし、このミラハーはネタしかないのではないかと思えるほどネタが溢れています……。運営としてはいいのかな……。
そんなミラハーですが、今日は一味違う事になるはずですよ! フフフ、ファハッハッハッー! とあるマッドなサイエンティストみたいな笑い声が出そうになりますが恥ずかしいので声には出しません。
フィールドよ、私は還ってきた~!
そうです、そうなんです。第二弾となる狩りであります。
なぜ、ここに居るかと申しますと、さかのぼる事一時間ほど前になります。
「おい、昨日の小説読んだぜ。
良く伊部さんに出会う事が出来たな? ミラハーで知らない人が居ないって言われるほどの伝説のPKプレイヤーだぞ」
え?昨日のツナギ男って凄い人だったんだ……。確かにアッー! ってなりそうな雰囲気は出てたけど……。
「そうなんだ、知らなかったよ……」
「なんでも、伊部さんは男のプレイヤーしか狙わないんだと……。
しかも、屈強な男が狙われるらしい。そして狙われた相手は心身ともに敗北するらしい……」
怖いわ! なぜに心まで敗北するんだよ……。
「あ、そうだった。知ってるか? 何でも次のアプデで新しいシステムが実装されるってよ。
明細は出てないけど、戦闘系の改善が入るって噂だぞ。
で、それに合わせてイベントが発生するらしい」
何時ものベンチに座りながら、シンが新しい情報を教えてくれる。
「へぇ~、凄そうだね」
シンに貰ったパンを食べながら、戦闘系なら自分にはまだ関係ないなと思ってしまう。
「おい、今話題になってる事なんだぞ。ミラハー民なら歓喜する話なのに……」
「だってさ、俺は戦闘できるスキルを持って無いじゃん?」
「ん? 初級スキルの事言ってるのか? それとも最初の基本スキルの事言ってるのか?」
シンが真面目な顔をして聞いてくる。
「基本スキルもだし、初級スキルもだよ」
あ、貰ったパンがなくなってしまった。食べきるとなんだか寂しくなりますね……。
「無くても、戦闘は出来るぞ……」
「え?」
「え?」
シンの言葉に驚いてしまう。私の声を聞いたシンも驚きの声を上げる。
「タクが全然狩りに行かないから、おかしいなとは思っていたが勘違いしていたな?」
シンが呆れ顔になっている。
「いいか? この前、一緒に狩りをしたときに俺言ったよな、ナイフを構えておけって……」
「あぁ、言われたからナイフ構えていたけど」
「基本スキルが無くても攻撃は出来る。そして、俺の技の真似もやろうと思えば出来てしまうんだぜ」
「なんですと! 何故に教えてくれない友人よ!」
とても重要な事なのに教えてくれないなんてヒドイ!
「お前は何を言っているんだ? 基本中の基本だから知ってると思うだろ」
「あ、そういえば説明書に何か書いてあったな……」
「基本的に武器での攻撃は、縦斬りだろうが横斬りだろうが出来る。
ただし、スキルの補正が掛からないからクリティカルは絶対発生しないし、威力が上がったりしない。
だから、基本スキルを買って初級スキルを覚えるんだ。
まぁ、魔法系はスキル買わないと攻撃さえ出来ないだがな」
ほうほう、新しい事実が発覚しましたぞ皆様! え? 知っておけよ、それくらい! ですって? いやはや今回は言い訳は出来ません……。
「ってことは何かい? 狩りをして剥ぎ取った物を売って、ルックを稼げるって事ですかい?」
「そうだよ、時間は掛かるかもしれないけど狩れるぜ。
それが出来なかったら、人気のないユーザーは何時になっても装備をそろえる事なんて出来ないし、生産職が材料を集める事もできないだろ?」
いい事を聞いたぞ! 昨日の刀が買えないなんて事はない! 稼いでやるぜ!
「お前の一言で決心が付いたぜ! 俺はモブをやめるぞ! シンー! 俺は動けるプレイヤーになってやる!」
「あぁ、なってくれ……。次のアプデまでにスキルで戦えるようになってるといいな……」
そうと決まれば狩りに行くしかあるまい! だが、ここには神様が居る! 一緒に狩ればいい稼ぎになりそうであります。
「シン、時間あるよな? 一狩り行こうぜ!」
「あ、ゴメン! 用事あるから今度な!
さて、いい時間だから俺はクールに去るぜ」
あぁ、神様が遠ざかっていく……。仕方ない一人で行くか……。
見渡す限り平原で何もありません。この前と同じフリーフィールドであります。
この前と同じウルフちゃんが居るといいな……。
ん? 少し遠いけど誰かが戦闘してるのが見える。やけに大きい盾を使ってるな……。いや、まさかな……。
でも、ピンクのロングの髪型は中々居ないでしょう……。奴しか居ない!
ばれないように距離を離そう、そうしよう!
やべ! 気付かれた! こっちに来ないでね……。来るなよ、頼むから!
はい、無理ー。ものすっごい速さで向かってきます。獲物を見つけたチーターの勢いです、狩られてしまうのね私!
「こんばんは! 偶然ですね?」
出ました、リコちゃんです……。
「あぁ、こんばんは。ほ、本当偶然だね……」
「今日は一人で狩りですか? 一人なら私と組んで狩りましょうよ!」
えっ! やだよ! って言いたい。でも、シンの後輩だし無碍には出来ないよ……。
「いや、俺だと足手まといになるから遠慮しとくよ。迷惑かけたくないから……」
「そんな、迷惑なんて思わないですよ! ですので一緒に狩りましょう!」
はい、決定しました。私の無駄な抵抗だったようです。
「ふるえるぞ心! 燃え尽きるほど熱血!! おおおおおっ、刻むぜ血液のリズム!」
大きな盾を構えながら何か言ってますよ、この子……。
もはや、リコちゃんはネタを私に見せるために捕まえたとしか思えません……。
なんかもう、突っ込んだら負けかなって思ってます。
現在、この前と同じウルフと戦闘中です。これで三匹目になりますが戦闘中は必ずリコちゃんがネタを入れてきます……。
例えば、最初に出会ったウルフの時は「運命か……、モンスターとの出会いは運命で決められてるのかも知れねぇな……」って言ってたし。
次に出会ったウルフには「ウルフゥゥゥー! 君がっ! 鳴くまで! 殴るのをやめないッ!」って叫びながら盾で殴ってました……。
もうね、慣れてきたよ私は……。このミラハーで、マシなプレイヤーにはそうそう出会えないのかもしれませんね。
色々思い出していたら、ウルフが弱ってきて鳴き声が変化しています。
「クゥーン……、クゥゥーン」
何時聞いても可哀相になる声でありますが、倒さないとルックに出来ません!!
「ソイヤ!」
勢い良くナイフを突き出し、とどめを刺してあげます。
「ソイヤ? あーどっこいしょ?」
おい! なんでもネタにするなリコ!
「これで目標分は狩れたから、終わりにしよう」
リコちゃんの言ってる事を無視して解散を宣言してやります!
「そうですね、毛皮を買い取って貰わないといけないですしね。
タクさんは行きつけの店ってあります?
無いなら、私がお世話になってる職人さんを紹介してあげますよ」
遠慮しますって言っても聞かないかもしれないよね……。
「いやいや、そこまでお世話になるわけには――」
「気にしなくていいですよ! さ、行きましょう!」
私が言い終わる前には決まってました。結構強引なのね……。
昨日も来た生産者通りを、なぜかリコちゃんに腕を引っ張られて進んでいきます。
「リコさん! 自分で歩けるので放してもらっていいですか?」
「はぐれるとフレンド登録してないので、探すのが面倒なんですよ。
もう少ししたら着くので我慢してください!」
昨日は途中で帰ってしまい奥の方まで店を見てなったので知らなかったけど、素材を買い取りなどをしているのは通りの奥の方に集まっているようだ……。しかし、ゲームとは言え女性に腕を引いてもらって歩くのは恥ずかしいですね……。
「見えてきましたよ! 私の行きつけのお店が!」
リコちゃんが見つめる先には何処にでもあるような武器屋がありました。綺麗な木目調の木材を使って建てられていて、ぱっと見はカフェみたいにも見えます。
目的地に着いたので腕を開放してくれるのかと思ってましたが、そのまま店の中まで連れてかれました。
「こんばんは! リザさーん、素材の買取をお願いします!」
カウンターに居る女性に話しかけている。
「あら、お久しぶりね、リコちゃん! 今日は何を持ってきてくれたのかしら?」
「ウルフの毛皮ですね、それと此方の方の毛皮も買い取って欲しいです」
リザさんが此方を見つめてくる。茶髪のベリーショート、少し眼つきが鋭い感じですが左目の所に泣きボクロがあって眼つきの鋭さが緩和されているように感じます。なんか大人の女性って感じで格好イイです。
「はじめまして、タクです。リコさんにいい店がるからって連れて来て貰いました」
「はじめまして、リザでしゅ、失礼かみまみた。リザです、素材の買取もしてますし武器の販売、整備や改造もしてます」
ん? さらっとこの人もネタ入れてきてないか? 同類なのか……、類は友を呼ぶって奴でしょ……。
「それじゃ、買い取って欲しい毛皮を見せて」
リザさんに言われるままにウルフの毛皮を出す。リコちゃんが四枚、自分が二枚をそれぞれカウンターに出す。
「うーん、リコちゃんの方は四枚で四百五十までなら出せるわ。
で、タクさんの方は百五十までかしら……」
なに? あからさまに俺の方が安いですやん!
「私はそれでお願いします。なんだったら、四百でもいいですよ」
「えーっと、私の方はもう少し高くはならないですか?
百七十ほどあれば嬉しいなと……」
リコちゃんは交渉が纏まったようで、四百五十ルックで売却。
「そうね……、分かったわ」
お! 何でも、お願いしてみる物だな。
「百四十ルックまでなら出すわ」
「おい! 下がってんじゃねーか!」
素で声に出してしまったよ……。
「もう少し上げて欲しいです、百六十ルック!」
「うーん、百三十ルック!」
おい、なぜにお前は値段を下げていくんだ……。俺の交渉が下手なのか?
それとも、高い値段を言うからダメなのか? ならば!
「分かりました、百三十ルックでいいです!」
「はい、分かりました。百二十ルックですね」
こいつ馬鹿なのか? それとも計算が出来ないのか……。
「えーっと、百三十ですよね?」
「はい、百二十ですね」
「はい……、それでいいです……」
譲る気がないのだろう、買い取ってもらえるだけマシなのかもしれないと思う自分が居ます……。
諦めた訳じゃないもん、そう言う事にしてください!
「そういえば、タクさんは初期のナイフしか持ってないですよね?」
泣きそうになっている私にリコちゃんが笑顔で話しかけてくる、てめぇの血の色は何色だ! と言いたいですが我慢だ俺……。
「リザさんの武器は結構良い物が多いので、ここで買うと良いですよ!」
周りを見渡すと色々武器が並んでいます。丁度武器を買うつもりで居たわけだし、店内を見て回る事にします。
「やっぱり、高いな……」
買えそうな武器がありません。ナイフ一本でも安いので七百とかします……。
「タクさん! これなら買えるんじゃないですか?」
一緒に見て回っていたリコちゃんが声をかけてきます。
「ん? なんだろ、ボーリングの玉?」
リコちゃんが指を指すところにあるのは黒い玉が二つ……。値段は四百ルック。
「裏側は凹んでいて握り手が付いてるのか……。ナックルガードっぽい?」
「それはモーニングハンマーだよ。
握り手にギミックがあってボタンを押すと鉄球部分が握り手から離れてハンマーになるんだ。
鉄球と握り手を結ぶ鎖には、伸縮性の鎖を使ってるから収納しても鉄球自体がそのくらいの大きさで済んでいるんだ。長さは大体で二メートルになるね。
殴ってもよし! 振り回してハンマーとして使ってもいい! 試作品だが破壊力は中々のもんだよ」
リザさんが説明してくれる。ほうほう、変わった武器だな。
「それは試作品だから安くしておくよ。そうだね……三百ルックで売ってあげよう」
「安! めっさ安い!」
また、本音が漏れてしまった。四百が三百なら買いだ!
「あの、これ買います!」
「毎度あり!」
「良かったですね、タクさん! 安くしてもらえるなんて羨ましい限りです!」
リコちゃんが笑顔で話しかけてくる、君が見つけなかったら気付かなかったかもしれないから、今回は感謝しときます。
「見つけてくれてありがとう。良い買い物が出来たよ」
「いえいえいえ! 気にしないで下さい。えへへへ」
照れる顔も可愛いな……、普段の言動はどうか思うけど……。
「修理や改造したかったら何時でも来てね、すぐに直したり改造してあげるから」
リザさんの笑顔も素敵です。値切られた事は忘れないけどね!
とりあえず、、当面の目標だった武器は確保できました!
買い取りも武器の購入も終わったので今日はログアウトしようとリコちゃんに挨拶したら。
「フレになりましょう! 申請送るので許可してくださいね!」
とても真剣な顔で言われました。
いきなりの申し出に、イヤです! って言えなかったです……。
とりあえずフレになりました、シン以外ではじめてのフレがミラハーで出来ました。
今日は武器を買ったことを中心に小説でも書こうと思います。
所持ルックは支出が三百ルック、収入が百二十ルックで差引きすると四百六十二ルックになります。
昨日のアクセス分も含まれて居ますよ。それでは、また明日お会いしましょう。
少しは話が進みました! 良かった良かった! ではではではノ