忘れてた……(317)
やぁやぁ! 絶賛戸惑い中のタクです!
昨日は少し修羅場を皆様にお伝えする事になりまして……、当事者の私的には有り得ないと思っているんですが遅い春が来たのかも知れません……。ん? 爆発しませんよ! 爆ろ! って言わないで! 勘違いかもしれませんから!
さて、不確定な事は世の常なので確定するまでは静かに傍観するに越した事はないでしょう!
今日は昨日のこともあって、少しインするのが怖いですがルックの為にはそうも言ってられないので気持ちを切り替えて楽しめればいいなと思っています。
いざ、突撃であります!
ログインすると昨日と同じく皆さんがソファーにすでに座っています。私がホームに現れると話し合いらしきものをしていたメンバーが静かになっています。
いきなり空気が悪い気がします! 女性だけの会議でもしてたのかも知れませんね……。私がホームに現れた途端に会話が中断して静かになっています。
「こんばんは」
此方も釣られて静かになるのは頂けないので、何も見てないよって雰囲気で挨拶でけん制しておきます。
「「こんばんは」」
リコちゃんとミサちゃんが笑顔で挨拶を返してくれますが、何と言えばいいのでしょうか……。普段と違う気がします。
「こんばんは~」
「こんこん」
「こんばんは……」
ナツちゃんメイちゃんとミラさんは普段と変わらないので、気にしないでおきましょう! そうしましょう!
とりあえず、ソファーに座るかカウンター席に座るかで、この場の空気の行き先が決まりそうな感じであります。
はぁ……、リコちゃんとミサちゃんが座るソファーの間の空いている場所を手で叩いてます。二人して叩いている姿は私に拒否権がなさそうです……。
着席します、両腕がホールドされます、両サイド笑顔です、怖いです! なにこのライオンの檻の中に入れられたような状況は……。
自然と頬を冷や汗が伝います、目の前の女の子達よ助けて! ヘルプミー!
あ、ナツちゃん……待って! 目をそらさないで!
おい、こら! メイちゃん瞼を閉じないで!
あれぇ? ミラさん笑顔に成らないで! そしてミラさん小声でファイって言っているの聞こえてますから……。
私に対しての応援ならいいですが、ファイって言いながら両腕をクロスするのは止めて! あなたはレフリーですか!
「さて、全員揃ったので今日はシナリオパートを進めたいと思います!」
リコちゃんが今日の予定を話してくれます。
メンバーが集まっているのにシナリオを進めていませんでしたね! すっかり忘れていました!
「私は賛成ですね」
この空気に耐えれそうにないので、外に行くのは大賛成です!
リコちゃんの提案に他のメンバーも賛成のようです。
今日は初めてのシナリオになりました!
ホームを出て皆一緒に門に向かって歩いて向かいますが、白を基調とした揃いの制服を着ているので目立ちます。
現在、生産者通りを歩いているのですが視線が集まること集まること……。何見てやがりますか! 見世物じゃねぇーであります!
さすがに外ではリコちゃんもミサちゃんも腕を掴む事が無いので安心です! 私は皆の後ろに付いていく形で門を目指しています。
たまに男プレイヤーからの呪詛が聞こえてきますが、皆さん勘違いしてます! いい事などないです! 変われるのなら変わりたいです!
痛い視線に晒されましたが、無事に門に到着する事ができました。
いざ行かん、Gサーバー!
PTを組んでいるので纏まって門を潜ります。あれ? おかしいな? 普段なら門を潜るとフィールドに直ぐに出ますが、今回は辺り一面暗闇です。私たちを覆うような光の球体の中にいるようであります、少し光源が明るいので目がチカチカします! ん? おい! リコちゃんとミサちゃんが両目を押さえて「目がぁ! 目がぁぁ!」とお決まりの台詞を言ってますね……。ん? さりげなくミラさんも便乗しています!
くそっ! こいつら終わってやがる! 何とかしないと! と叫びたくなるのを必死に我慢するのが大変でした。
光が収まると、見たこと無い建物の中に居ます。
辺りを見渡すと神殿みたいな建物で、足元を見ると大きな魔法陣が描かれています。まるで召喚されたような雰囲気です。
「ようこそいらっしゃいました、勇者様方!」
うお! いきなり後ろから声が掛かります。突然だったので驚いて声を上げそうになりましたよ。
振り返ってみると神官みたいな格好をした女性が立っていました。
「突然の召喚に応えて頂き、感謝します」
深々と頭を下げる女性……。プレイヤーではないのでNPCなのでしょうが区別が付かないくらい流暢に話をしてきます。
「召喚した理由に関しては王より説明がありますゆえ、私について来てください」
彼女の指示に従い、後を付いていきます。広々とした通路を歩く事十分ほど、大きな扉の前で彼女は止まります。先ほど王より説明があると言っていたのでここは王城なのかも知れませんね。
私たちが立ち止ると扉が自然と開いていきます、まるで自動ドアのようです。
扉が開き室内が視界にはいります、赤い絨毯が敷かれ奥には玉座が見えます。謁見の間でしょうね……。
案内してくれた彼女に連れられて玉座の前まで進み王の登場を待つことになります。しばらく待たされましたが王が現れます。
「この大陸に魔王の復活の兆しが現れた。ゆえに、この度貴殿ら勇者を召喚するに至った。
すまぬが、我らでは魔王と戦えるだけの力がない! 助けてくれないだろうか?」
玉座にすわる髭を生やした中年くらいのおっさんが申し訳なさそうに頭を下げている。
王様の威厳が無い様にも見えるが、民を思っての態度なら納得できるものである。
「我らの力が役に立つのであれば、協力します」
会話はリーダーであるリコちゃんに任せておきます。
「おお! さすがは勇者殿たちである。
頼もしい限りであるな」
了承をえられて安堵する姿は、とても人間味があって、これがゲームだと一瞬忘れそうになります。
「ところで王様、魔王の復活はいつ頃なのでしょうか?」
リコちゃんが情報収集を始めています。
「……すまない、はっきりしないのだ……。
過去に魔王が復活した時は、大体の予測が出来たのだが……。
今回は検討がつかないのだ」
ん? いつ魔王が現れるか分からないってシナリオとしては難易度が高い気がしますぞ。
「分かりました。それでは私たちは魔王が復活したら退治をします。
それまでの間は私たちの居るべき場所などが決まっていれば、お教えいただきたい」
自分達がシナリオを進めるのに必要な拠点の確認も怠らないリコちゃんは素晴らしいですね。
「勇者殿たちの住む家を用意してある。
そちらで英気を養って頂きたい。そこにいる神官であるイルーが全ての事を世話してくれるだろう」
これで王との謁見イベントは終了のようであります。しかし、ゲームですが人の感情表現などがまるで生身の人間と会話しているような感覚になります。ゲームだと忘れてしまいそうですね。
この後、町の中にある一軒家に案内され、そこで会議をする事になりました。
「おかしい……。皆のタグを教えて!」
ん? 突然メイちゃんがタグの話をしてきます。まぁ隠すような話でもないのでいいのですけどね。
「どうしたんですか?」
ナツちゃんがメイちゃんに質問をします。
「魔王が居ないのがおかしいの……。
ネットに上がっている大まかなシナリオの中に不在シナリオはまだ確認されてない……
一部では不在シナリオは無いってさえ言われているの」
なるほど、とりあえずタグを皆で教え合いをします。
結論がでました。えーっと、偶然の産物かも知れません。
関係していそうなタグが幾つかあります。
まず、私が何気なく入れている「おまかせ」タグ。
次にリコちゃんが選んだ「ランダム」タグ。
まだあります、ナツちゃんが選んでいる「ほのぼの」タグ。
メイちゃんが選んでいる「アクシデント」タグ。
ミラさんの選んでいる「テンプレ」タグ……。
ミサちゃんの「例外」タグも関係ありそうです。
と言うか全員何らかしら怪しいタグを入れてます……。
「多分、魔王の復活はランダムで、尚且つ例外でアクシデントが起きてテンプレになると……。
ほのぼのタグがあるから復活は遅くなりそうな気がする……。って分かるかぁぁ!!」
あ、メイちゃんが壊れた!
「復活が分からないですし、ここで時間を無駄に過ごすのもあれですね……」
リコちゃんが言うとおりですが、魔王が復活しないと討伐に関係する魔族が出現しないのでフィールドに出ても既存のモンスしか居ません……。
あっれ~? さりげなくシナリオ的に詰んでいる気がします!
話し合いの結果、たまにシナリオを確認する事で落ち着きました。
今日はシナリオを諦めてホームに戻る事で決定です……。
さて、初めてのシナリオですが私たちのPTは魔王討伐できるか正直不安になっています……。
今日はシナリオで話を書こうと思いますが書くことが少なすぎて正直困ってしまいます……。予想ではもっと派手な事が起きるんだと思っていたんですが、拍子抜けですね。
進展があればシナリオの事には触れていくつもりですが何時になることやら……。
現在の所持ルックは千二百五十八ルックに成りました。それでは皆さん、また明日お会いしましょう。
初めてシナリオに触れてみました。ですが、思うように進みませんね! ではではでは




