見せ場……。(146)
どすこーい! タクです!
最近登場の挨拶が変だと思っても気にしないで下さい! 毎回同じだと飽きられてしまいそうなので新しい事にチャレンジしているんですよ!
飽き無き向上心こそ今の私たちに必要だと私は皆さんに言いたい……。
さて、向上心の話が出たので私も向上するために、ついに初級スキルを取りましたので報告しておきます!
二日前に買ったは良いけれど、初級スキル取得にかかるルックの事を失念していた私ですが、ルックが貯まったので思い切って取得しました! 皆さん拍手ありがとう! やっと物語の主人公らしく成りはじめた訳です。
派生したスキルは二つのハンマーによる打ち下ろしです。
そもそもハンマーを二つ装備しているのは私くらいの者でしょうね……。ちなみにネット上で同じスキルが無いかを探しましたが記載が無かったので完全にオリジナルの技になります! 技名は「ダブル・インパクト」と命名しました。我ながら技名にセンスを感じますね! え? ダサい! でっすって? そ、そんなこと無いはず! 一時間も悩んで名前決めたんだからね!
名前も決まったら、後は実践で試すしかないでしょう! なので今日はホームでソファーの一部になど成ってられません。
まぁ、そう言う事なので戦場の華としてチームワーク強化も兼ねてフィールドに来てます。
「私たちのPTって結構バランスいいですよね?」
何事も話し始めるのはリーダーであるリコちゃんですよね。
「そうですね。リコちゃんが前衛をしてくれるだけでなく、ヒーラーとしても動けるのは大きいですよね」
ナツちゃんの分析は的確だと思います。
ナツちゃんに言われなければ、リコちゃんがヒールを使えることを忘れる所でしたよ。
「でも私は専門じゃないので、簡単な癒しは出来ても解毒とかは出来ませんから」
ふむ、それでも居ないよりは断然に違いますよね。
「後衛にメイさんとミラさんが居るので私は前衛を頑張れます」
メイちゃんとミラさんの存在が大きいので素直な気持ちを伝えておきましょう。
魔法使いと弓使いが居る事で遠距離から攻撃できる事で戦闘を優位に進めれますから。
「ナツちゃんとあんたが前衛で敵のヘイト管理をしてくれなきゃ、私たちは居ても居ないのと同じになっちゃうわ」
メイちゃんの言ってる事は正しいですね。
なので、仕事をちゃんとこなせるように今から実践経験を積むわけです。
「私は私の仕事をするだけ……」
ミラさんは戦闘に関してはクールなのかもしれません。
レイドの時に腕前を見てますので安心です。動くプレイヤーの頭を打ち抜けるのはミラさんの腕がいい証拠ですから。あれを見たら敵に回したくないと誰でも思いますよ……。
さて、PTの連携を確認をするので敵は単体ではなく、最低でも三匹は一度に欲しいところです。
フィールドに出てから早くも二十分は経ってますが、出てくるのは単体の敵さんばかりです……。
「もっと奥の方に行かないと纏まって出てこないかもしれませんね……」
リコちゃんが困った顔をしてます……。
そう言えば、この前の時も結構奥まで進んで二匹のゴブリンと遭遇しました。
複数の敵と遭遇するには、奥に行かないとダメなようです。
「リコちゃん、見てください。
ゴブリンですが向こうに三匹居ますよ!」
索敵をしていたナツちゃんがゴブリンの集団を見つけてくれます。
「とりあえず戦闘しておきますか!」
リコちゃん気合入っています。
フォーメーションは前衛にリコちゃんナツちゃんと私、後衛にメイちゃんとミラさんです。
二列の陣形で最初はやってみる事にしました。
「行きます! やーい、やーい! お前の母ちゃんでーべそ!」
何時も思うのですがリコちゃんの挑発は、何を参考にしているのでしょうかね……。
しかし、その挑発に乗るゴブリンってどうなのさ?
ゴブリンが迷うことなく此方に向かってきます。
「ATバリア~!」
うーむ、その技名はアウトな気がするよ……。
しかも自分が装備している盾ではなく、魔法でしょうか? 光の盾が展開されてます……。
リコちゃんのオートマティックバリア(正式名称らしい)のおかげでゴブリンは止まってしまいます。
「私の腕の見せ所ね。
我は願う。我の進むべき道の障害となるべく者を消さんとや、ゆえに我が力を持ちて敵を討ち滅ぼさん!
きえな! フレイムショット!!」
なんと申せばいいのか……、中二臭い台詞が並んでましたね……。魔法使いは中二の設定でもあるんですかね。
それから、スキルなので詠唱とか本来ないです……。
メイちゃんが発動したスキルは炎の矢とでも言えばいいのでしょうか? 三本の炎の矢がゴブリンの頭にヒットしてます。
ヒットしたら消えるのかと思ってましたが何と! ゴブリンが炎に包まれ燃え尽きるまで効力を発動してました……。恐ろしいスキルですね。
「うーん、ゴブリンだと弱すぎて相手にならないわ」
メイちゃんが少し寂しそうに言ってます。
「そうね……、ハニーベアくらいじゃ無いとダメかな……」
リコちゃんも同意のようです。ん? 新しい敵の名前が出てきましたね! ベアなので熊なのでしょう。名前からは強さなど分かりませんが期待してしまいますね。
と、言うわけで熊を探して奥へ向かいます。
三匹のゴブリンと戦闘をしてからすでに三十分は経過してます、正直言うと暇です!
みんなで索敵をしながらほのぼのと散歩をしている感じです。
「居た……。ハニーベア……」
弓職をしてるだけあってミラさんの視力は良いです。ミラさんが見つめる方向を目を凝らして見つめます。
お! 百メートルほどの所で少し背の高い草が邪魔ですが何かが動いているのを確認できます。
二列の陣形を作り、目標までの距離を縮めていきます。
熊までの距離が四十メートル辺りで敵さんも此方に気付いたのか立ち上がります。
「黄色の熊? いや、金色の熊ですか……」
思わず声に出してしまうほど綺麗な毛並みをしています。
「私の武器では熊の毛皮が邪魔をして上手く切れないので、タクさんよろしくお願いしますね」
ナツちゃんが私を頼ってくれています! 男なら頼られたら頑張るしかないでしょう!!
「任せてください!」
熊をよく観察すると、左手に何かを抱えています……。あれは……壷? 壷を持っています。
「ナツちゃん……、蜂蜜はどうする?」
弓を構えながらミラさんがナツちゃんに質問しています。
「今回は必要ないので、壊しても問題ないです」
何の事を言ってるんでしょうか?
ミラさんが徐に構えていた矢を放ちます。矢は熊の左手に抱えている壷に綺麗にヒットして壷が割れてしました。
すると、熊が勢い良く此方に走ってくるじゃないですか!
「なにさらすんじゃーボケェ! わいの、わいの大切なはちみつがぁぁぁ! 三年やで三年掛かって集めたはちみつなんやぞぉぉー!」
おい! ちょくちょく思うが運営よ……、この世界は少しおかしいだろ!!
しかも、熊の声が少し高くて某遊園地のキャラクターを彷彿とさせるぞ!
「ハニーベアは毛皮以外に、手に持ってる蜂蜜も手に入れることが出来るんですよ」
怒って此方に向かって来る熊の事など気にしてないのか、ナツちゃんが教えてくれます。
「タクさんの出番ですよ! お願いしますね」
リコちゃんに声を掛けられて戦闘に集中します。
相手まで、まだ二十メートルはありますが何時でも攻撃できるように構えておきます。
熊まで十メートルを切りそうになったので、此方から仕掛けていきますかね!
此方から仕掛けるために走り出します、熊までの距離が七メートルの所で両手の鉄球を外します。少し進めば両手に鉄球の重さが伝わってきます、熊との距離は四メートル位になったのでタイミングを計って高く跳躍をしながら両手を後ろから相手の頭に向かって振り下ろします。
「ダブル・インパクトォォオ!!」
熊も此方の攻撃に気付いたのか両手を頭の前でクロスして防御をしています。
ですが関係ありません! 鉄球は凄い勢いで両腕にヒットし、ドゴォォーン! と凄い音をさせています。
威力が大きかった為かヒットした瞬間に私の体が衝撃で、さらに浮き上がります。
これはチャンスでしょう!
「もういっちょ行くぜ! ダブルゥ・インパクトォ!」
浮き上がった力を利用して前方宙返りをしながら再度スキルを発動してやります!
今度は熊の頭にヒットしているのが見えます。
しかし、凄い音がしますね……。
「す、凄いです……」
「そ、そうですね……」
前衛のリコちゃんとナツちゃんが驚いている声が微かに聞こえます。
認められたようで嬉しい気持ちになりますが、熊はまだ死んでないので戦闘に集中です!
地面に着地すると同時にバックステップをして元の位置に戻ります。
「リコさん! あの熊は弱ったときはどうなるんですか?」
知っておかないといけないことなので聞いておきます。
「台詞の変化が起きます。多分、今の攻撃で変化を起こしていると思います」
注意をしながら再度距離を詰めると。
「僕はこの戦闘が終わったら田舎で養蜂場をするんだ……」
変化してますね……。
「ハニーベアは弱ると死亡フラグを自分で立てるので、台詞を聞けば弱っているかを判断できます!」
嫌な台詞だ! 自分でフラグを立てるってどうなんですか……。
「最後は私に任せて……」
ミラさんが一言。
弓に矢を二本番え同時に二本を放ちます。放った矢は無慈悲にも熊の両目を貫通……。
最後の矢が決め手となりまして、熊は天に召されました。
「今回の戦闘で少しはチームワークが強化できたと思います!」
熊の毛皮を採取し終わり、ホームに向けて戻っているときにリコちゃんが締めに入っています。
「まぁ、大体の流れは出来たんじゃないでしょうか?」
ナツちゃんもリコちゃんに賛成しているのかな?
まぁ、初めてのPT戦だったですが可も無く不可も無くって感じだった気がしますよ。
ただ、最後のミラさんの神業で私の見せ場など無かった気がするのが個人的には悲しいです!
まぁでも、何事も積み重ねが大事ですよね! いい経験ができたと思う事にします。
さて、今回は私が初めて初級スキルを使ったことをネタに小説を書こうと思います。
現在の所持ルックは初級スキルを取得するのに五百ルック使いまして、残りが三百四十ルックとなりました。では、また明日お会いしましょう。
ついに主人公にも初級スキルが付きました! 読んで下さる皆様のアクセスのおかげです。ではではでは




