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【n番煎じ】れっつぱーりー☆

遅れて申し訳ありません。

初? きっと初の4000字超えです。

「ちはちゃん、何してるの?」

「あ、ソフィーさん。今お菓子作ってるんですよ。ほらっ♪」


作りかけのパンプキンパイやらプリンやらモンブランやらをソフィーさんに見せる。


「へえ。美味しそうだな、一口いいか?」

「ちょ、まっ、お酒のにおいがしますよ⁈」

「そりゃそうだろうな、コイツもう二本以上開けてるんだから」


少し顔が赤い山本さんを抱える困り顔の如月さん。


「あの、お手伝いしましょうか?」

「私も手伝えることがあれば」


やまとさんと飛燕さんが進み出てくれました。

わたしも女ですけど美少女に囲まれるってなにこれ素敵。


「ありがとうございます、じゃあこれ、あと少しで仕上がるのでお願いしてもいいですか?」

「勿論です」


ふたりがお皿を持って行った後、ポケットに入れていた携帯が震えた。


『なあ、もう一匹送り忘れたから今送ったぞ』

「……お名前をどうぞ」

『ははは、北村だ。驚くなよ』


北村さんがいう“もう一匹”とは何だろう。誰? いや、人間じゃないかもしれない。

はあ、と深いため息をついた瞬間、


「くっそ、あの科学者ろくな死に方しないよ……」

「……っ⁉」


ひどく聞きなれた声が、聞こえたような気がした。

携帯を見ると、もう通話は切れていた。

頭上から北村さんの高笑いが聞こえたので頭を振って掻き消しておく。


「……Hey, Rosalie.Wo bist du? Wussten Sie zurück?(ねえ、ロザリー? どこにいるの? 帰ったのか?)」

(ロザリー⁉)


随分前に親しんだ声が、慣れない単語を発する。


「この方、佐和さんの知り合いですか?」

「……サワ? …………っ、千早」


堀切くんとお姉さんの唯さんにホールドされてドアの前に立っていたのは、


「…………蛇だ」

「嘘だろ、覚えてないの?」

「……いや覚えてますけど。蛇じゃないですかどうしたんですか気持ち悪い」

「覚えてたならいいんだ。久しぶり」


外国人特有なんだろうか、ハグして挨拶するのは。

ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、何だろう、凄い黒い笑顔で見つめてくる唯さんが怖いです。


「ゆう、ぎゅ」

「ん」


単語で会話できるこの姉弟凄いと改めて思います。


「……っていうか、この格好は何?」

「ハロウィン……ですね……って、あ、皆さんっ」


飛燕さんとやまとさんがお菓子を切り分けている最中だった。


「ねえあれ千早が作ったの?」

「勿論です」

「……むかつくな、あの光景」


ザシャさんはそうつぶやくと、輪の中に入っていった。

嫌な予感しかしません。

小さくため息をつくと、手元のパイの飾りつけに集中する。


……と。



「よろしいならば戦争だぁぁぁぁぁあぁあっ‼‼」

「ちょ、大樹さぁんっ」

「肉弾戦なら任せてください」

「時風、大丈夫か⁉」


……なにやらただならぬ雰囲気が漂っています。

向こうのお部屋に行きたくないんだけど。


「あの、佐和さん?」

「あ、真理さん」


真理さんが困り顔で教えてくれた。


「二つグループを作って陣地を作って銃撃もしくは白兵戦をして最後に生き残ったひとりが千早さんのお菓子を独り占めできるそうですよ」

「そんな馬鹿な! なに阿保なことやってるんですか」


真理さんとリビングに行くと、皆さんそれぞれ武器(エモノ)を構えていらっしゃいます。

殺気まで飛ばして……。


「取りあえず戦力を分散しよう。グループ1、仮装組、2は人間組と赤峰さんと義龍さんはそちらへ。……よし、分散できたな。非戦闘要員はこちらへ退避を」

「武器はなしにしようや。死人が出る」

「それもそうだな。……白兵か、懐かしい」

「私が護りますっ」

「よし……、BOX!」

「ボクシングじゃねぇだろ⁉」

「じゃあハッピーハロウィン!」

「もう過ぎてるけどな!」



バキとか、嫌な音が響いたのでそちらを見る。


「…………( ゜Д゜)」


と、血みどろな方々が。

女子会(物理)らしからぬ、ハロウィンパーティ(物理)。

半径一キロ以内には近寄りたくないメンバーだとわかりました。


「皆さんやめましょうよ。家が壊れます」

「そこか!」

「大家さんに叱られるのわたしやけん!」

「佐和さん、落ち着きましょう」


真理さんに宥められた。


「……です。ゆう、ゆうならあれ止められる?」

「無理です、姉ちゃん」


ぶんぶんと首を振る堀切くん。


「木南、私も参加した方がいいかな」

「……援護する」

「大樹さん、やめましょうよ」

「やまと、大丈夫だ。ちょっと参加するだけだから」

「よし、やろうか」

「大和さんっ」


学生組は参加するらしい。

くれぐれも家具を壊さないでほしいです。お願いだから。

すると。


「義龍ぅ……貴様……、私が作ったもの以外のものを口にしてみろ……」

「は、はいっ!」

「生まれてきたことを後悔させてやる!」

「すいませんでしたぁぁああっ」


これはこれでリア充してるのか……?

深沢さんが一方的に痛めつけられているような気がしないでもない。

……いや、今ザシャさんが殴りかかってくるのを避けたけど。


がしゃぁぁああん、ばきばき、ばしゃぁっ、等々……、嫌な音がする。

ああ、きっとガラスを張り替えなきゃいけないだろう。

机もきっと大破しているはずだ。きっとお皿とかグラスとかきっとフローリングもぐちゃぐちゃだろう。

……幾らかかるんだろう。維持費尋常じゃないのに。


「…………いい加減に、せんね……」

「千早さんっ?」

「お、落ち着きましょ……」

「……これで落ち着けと言う方が無理やけん? きさんら消し飛びんしゃい……」


真理さんが止めたけれどもうその声は脳には届いていなかった。


「ザシャさん、反省しなさい」

「え、ちょ、ちは……」


マンションの7階から落とそうかと思いましたがやめました。

代わりに荒縄(唯さんが持ってきてくれました)でぐるぐる巻きにしておきました。

ぱしんっ、と小気味よい音が響いた。


「千早さんに迷惑かけるの、よくない。ねえ、ゆう」

「…………だな」


唯さんが乗馬鞭を持っている。

小柄な身体には似合わない筈なのになぜか似合ってるのが恐ろしいです。

そして悠くん、お姉さんを止めてくださいませんか。


「…………さて、みなさん。trick or treatのうちの、trickですよ。片 付 け し ま し ょ う か 」


一同の顔が青ざめ、はい、という声が聞こえた。

飛び散ったモノや壊れたものは全て片付け、部屋は元通りとはいかないまでも、まあ人が住める程度の綺麗さにはなった。


「はあ……、もう、作者の馬鹿。呼びすぎなんですよ。カオス空間と化してましたよ」

「……コレ、記事にできるんじゃないか?」

「……山本、おまえがキーボードだと思って叩いてるのパソコンじゃなくて机だぞ」

「……2人が暴走しちゃって……」


新聞記者さんだという山本さんが机に倒れ、それをやれやれと言わんばかりに眺める如月さん。


「あうぅ……、大和さぁんっ……」

「ご、ごめんって、時風……」

「ほんと大和さんは後先見ないっていうか……、ケガして心配する私の身にもなってくださいよぉ……っ」

「うん、ごめんな、時風」


ぽんぽん、と頭を撫でると、時風さんのツインテールがふよふよと動く。

(なんだろ、感情に比例して動くのかな。可愛いなぁ)


『諸君! 北村だ。この度はご苦労だったな』


脳内に直接響くような声が聞こえて来た。


『私と、作者陣からプレゼントだ! 各々自分の作品に帰ってから開けると良いだろう』

「ちゃんと役に立つんでしょうね」


確認を取ると、ふはははは、という彼らしい笑い声と共に、当たり前じゃないか(笑)といわれた。

いまいち信用できないのはなぜだろう。

無事だったお菓子類を切り分けて机に並べると、結構な量になってしまった。

十人以上いるからきっとすぐに平らげてしまうんだろうけど。


『さて諸君。満足するまで過ごしたら、日付が変わる前にはクローゼットに入ってくれ』

「はーい」



Happy Halloween‼‼‼










皆さんが帰った後、ザシャさんは……。


「……っくしゅ」

「皆さん帰られましたよ」


荒縄を解かれたザシャさんはほっとしたような笑顔を浮かべると、くしゃくしゃとわたしの髪を撫でた。


「変わりなくて良かった」

「は、はあ……」

「ふふ、懐かしいね」


ぎゅう、と低い体温が上から降ってくる。

あー、ちっちゃい、と失礼なことを言いながら額に小さく唇を落として微笑む。

その左耳に何か光るものがあって、そっと腕を伸ばして触れてみる。


「ピアス?」

「うん」

「左だけですか?」

「そうだよ」


黒い鉤十字が白い耳についている様子は、現代から見ても異様だ。

この格好で歩いたらきっとネオナチと勘違いされるんだろうけど、実際ナチスの人なんだよね……。


「じゃあ俺はもう帰るね。また、会えたらいいね?」

「……そうですね。ロザリーさんに宜しく」

「ごめん浮気とかじゃないんだよほんと信じてお願い千早何でそんな顔してるのもしかして嫉妬? 可愛いなぁ」

「嫉妬とか冗談でも言わないでください。……死ねばいいと思いますよ。さよなら」

「うん、またね。千早」


クローゼットに足を踏み入れたザシャさんを背中で見送る。

そうでもしないと泣きそうだった。

(また会いに来てください)なんて口に出してやるもんか。



……end!












いろいろすみませんでした。


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