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犯行動機

人間なんだから、多少血迷っても、しょうがないじゃない。

 僕の名前は 転落寺てんらくじ とおる。ネガティブな苗字が指しているとおり、冴えないサラリーマンとして、退屈な毎日を過ごしている。

 休日はもっぱらごろごろする。趣味はお気に入りの漫画を何度も読み返すこと。少年誌、成人誌問わずどんなものでも読んでいる。


 そんなこんなで、今日は第5土曜日。振り込まれている給料をおろして、新作漫画を買いに行きたいところ…なのだが。

 今日の僕の行動は、普段とは一味違うのである。


 起床して、一言目につぶやいた言葉が、


「さーて、そろそろ完全犯罪を実行に移すか」


 誰にだって強い憎しみを抱く人物はいるはずだ。僕にもどうしても許せない奴がいる。

 直属の上司、芥島あくたじまだ。


 許しがたい原因は、パワハラ。つまり部下いじめってこと。

 内容は、事あるごとに暴力に訴えるのと、僕に対する人格否定。


…だけならよかったんだけど、あいつの侮辱の範囲は、僕の嫁さんにまで広がった。

 その瞬間、「あ、これはダメだ」と思った。

 今まで必死に本能の暴走を止めていた理性が、この時本能と提携を組んだ訳である。


・・


 少年誌には、名探偵が完璧に見えるトリックを破るという内容の漫画がある。

 更に言うなら、その内容は「推理モノ・サスペンスモノ」という類で世間一般に知られている。


 そこで使用されるトリックは、常人ではどう見ても解決不可能なものである。

 

 カーペットについた紙の切れ端。草むらにある糸くず。これがまさか犯罪に使われているだなんて、誰が思うのだろうか。


…死亡した状況によっては、殺人事件として扱われない可能性すらある。

 

『火災発生。家屋は全焼し、その中から一人の遺体見つかる』


 この文章があったとして、原因が「手製の時限爆弾」だと誰が勘付くことができるのか。


 この世に人間離れした名探偵はいない。現実的には、事件の解決は決まって「良心が痛んだ為、自首」というオチが多い。

 僕ならそんなヘマをやらない。嫁と一緒に幸せな生活を続けて見せようではないか。


 この話は、僕がこれから行う犯罪の、遂行記録である。

初めてチャレンジする連載モノ。10部作くらいで収まるかと。

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