表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

ちびっこ勇者のパーティー

「ふぁ…、よく寝たぁ…」


時刻はam5:00。

まだ朝日も昇っていない暗い森の中で、のそのそと野宿用テントから出てくる小さな影がひとつ。


「今日の朝ごはんは何にしよーかなぁ?あ、ハムと卵があるからサンドイッチ作ろっと♪」


食材の入った袋を見ながら嬉しそうに一人言を話すこの少女は勇者。

この世界を救うため、魔王と戦うことを運命づけられた少女である。


一見幼い少女にしか見えないが、年齢は10代後半である。



パンが程よく焼け、卵とハム、いろんな種類のジャムを塗ったたくさんのサンドイッチが完成したころ、勇者の出てきたテントとは別のテントから体格のいい影が出てきた。


「おぉ、今日はサンドイッチか。うまそうだな。」


「あ、戦士ー。おはようー。」


「おはよう勇者。」


この筋肉の塊のような体格の良い男は戦士。

大きな体とは裏腹な優しい性格と顔つきをもっている。



戦士に続いて、次は勇者の出てきたテントから二つの影が現れた。



「おはよう勇者ー。てか眠(笑)寒(笑)」


「勇者ーお腹空いたー!おっしゃサンドイッチ!」


長い髪に端正な顔立ちをした美女は賢者。

戦士ほどではないが、いい体格をした豪快に笑う女が武闘家だ。



「おはよう賢者、武闘家!ホットコーヒーも用意したから席についてて!」


「…またあいつは起きてないのか」


「そうだよ…あぁめんどくさい。戦士、起こしにいくの手伝って。」


「おう」



眉をひそめた勇者と呆れ顔の戦士は先程戦士が出てきたテントに近づいていった。


テントからは小さな寝息が聞こえてくる。


「盗賊ー、朝だよー起きろー。」

「盗賊、早く起きろ。朝飯が食えんだろうが。」


戦士と勇者が入り口から呼ぶと、のっそりとした人影が這い出てきた。



「…朝っぱらからうっせぇよ。静かに寝かせろよ…」


切れ長の目に睨みをきかせた不機嫌そうな顔、盗賊である。


「サンドイッチ作ったから早く食べよ。賢者も武闘家も待ってるよ。」


「別に俺には関係ない。」


「朝飯は全員で、がこのパーティーの決まりだ。早く行くぞ。」


まだ不機嫌顔の盗賊を引っ張るように賢者と武闘家の待つテーブルへ連れて行く。


「盗賊遅いー、お腹空いたー!」

「うっせぇよデカ女。黙れ。」

「私もお腹空いたー」


ぶーぶーと文句を垂れる三匹。

その間、勇者はくるくると働きテーブルに朝食を用意する。


「お待たせー!さ、早く食べよ!」

「ありがとうな、勇者。」


勇者が全部を用意し終わると、小さい子どもを誉めるように戦士が頭を撫でた。


「…子ども扱いしないでよぅ。」


頬を膨らませながら勇者は言った。


そんな様子を見て戦士が父親のような笑みで微笑み、パーティに告げた。


「さぁみんな、朝飯を食べたら次の町をめざすぞ。魔王はこうしてるあいだにも悪事を働いているかもしれないからな。」



戦士の言葉に全員が元気よく「はーい!」と返事をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ