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三題噺もどき―きゅうひゃくにじゅうきゅう。
夜。
夕食を食べながら。
流れるテレビをぼうっと見ている。
「……」
連日、冠水した町の映像が流れてくる。
テレビはほとんどそれで持ち切り。
台風がかなりの被害を出しているらしい。
「……」
それなりの雨が降る事は、あるが、あそこまで冠水することはあまりない。
去年はあったけれど、今年はさほど……という印象だ。
もちろん、近くの川が増水したりはしたけれど。
「……」
毎日毎日こう見せられていると。
何とも言えない気持ちになる。
飽きてきたと言うかなんというか。
「……」
まぁ、もちろん。
そこに住んでいる人たちからしたらたまったものではないのだろう。
生活が困難になるし、移動なんてものは出来なくなる。
場所によっては停電したり、水が止まったりしているのだろう。
「……」
けれどなんだろう。
水がこれだけ溜まっているのをこうして連日テレビでしているのに。
テレビを見なくても、こういうニュースなんてものはSNSでも流れてくるのに。
「……」
その中を、リスクを負って。
車で走っているのは、何なのだろうと、不思議に思う。
明らかに車が、半分とは言わずとも、少なくともタイヤは見えない状態にまで水に浸かっている。それなのにその中を車が走っている。
「……」
それで止まったら、助けを求める。
その助けを求めた先も動きようがないことは考えればわかりそうなことなのに。
それともよく聞くようなロードサービスとかは、冠水していても動けるような車があるんだろうか。
「……」
なんというか。
危機感があるのかないのかよく分からない。
毎日ニュースでしていれば、冠水した以上動けないのは分かりそうな物なのに。
純粋に、どうして車に乗るのだろうと思ってしまう。
「……」
まぁきっと。
社会人には子供には分からない事情があるのだろう。
私には分かりようもない。
「……」
ニュースが終われば、あの景色が嘘のようにCMが始まる。
口紅や化粧水、車にどこかの会社のもの。
食品と飲料、何かのキャンペーンのお知らせ。
「……」
CMが終わると、ニュースの前に見ていたバラエティー番組が始まる。
あの水でおおわれて、車が止まって、人々が生活が苦しいのだと言っているあの景色が、まるでなかったかのように、明るく楽しい笑い声が聞こえる。
「……」
別に何かが悪いとか、何かがいけないとかではない。
ただ何となく、こういう事に対して違和感を感じるようになったと言うだけで。
私は偉くもないし、高尚な思考を持っているわけでもない。
何か助けになればいいなんて思うこともないし、むしろ助けて欲しいと思うことの方が多い。
「……」
その内この違和感も消えてなくなるんだろう。
それが悪いことだとは思わない。
むしろいいことなんじゃないだろうか。
いちいち、小さなことで心労を増やすこともなくなるだろうから。
「……」
そもそも、悲惨なニュースを見ながら、食事をしている時点で、その違和感を持つこと自体間違っているような気もしている。
……ずっと何を言っているのか分からないけれど。
「……」
まぁ、とにかく。
何でもいいけど、母が催促してきたので。
そろそろ食事を終えなくては。
お題:テレビ・雨・口紅




