第八話 第二回作戦会議
調査記録 『ツートップ』
総帥と総帥補佐官のこと。彼ら二人の相性は最強だ。一時期は「二人が揃えば敵なし」なんて、言われていたほどに。正反対の性格をしているのに、まるでお互いに思考を読んでいるのではと疑うほど息ぴったりに動く。
バルバロッサ・モルターラ
性別は男、魔法属性は火。サルバート連邦の総帥で出身もサルバート連邦。年齢は53歳。
少し乱れた血のような赤い髪に黄金の瞳。軍の高官一家に生まれたため、幼い頃からそういった教育を受けてきていると本人は言っていた。その割には大雑把で豪快な性格をしており、親しみやすさもある。部下からの信頼も厚く、まさにカリスマと言えるだろう。また、アイシスの処分の最終決定をしたのも彼である。でもそれは仕方のないこと。あの会議に出席していた幹部全員が処刑に賛成したのだから。そして、部下達も処刑を望んでいたから。そんな周りの意見に反対すると、それこそ反乱を起こされかねない。彼なりにアイシスに罪悪感はあるのかもしれない。
マーカス・チェロニア
性別は男、魔法属性は土。出身はサルバート連邦で年齢は51歳。
きっちり整えられたダークブラウンの髪に深緑色の瞳。バルバロッサと同じく軍の高官一家に生まれたためか、二人は幼い頃から面識があったらしく腐れ縁なのだとか。彼の性格を一言で言うなら、生真面目な働き者。自分のスケジュールだけでなく、総帥のスケジュールもほとんど把握している。総帥の突拍子もない無茶ぶりに答えているのは大体彼。ここだけ見るとかなりの苦労人だ。
アイシスのことは、来た当初からかなり警戒していた。周りがアイシスと打ち解けていく中、彼だけは警戒を緩めることはなかった。
シャマールとのお茶会の翌日、レイヴィアの部屋にて2人はいつにも増して焦っていた。なぜなら母アイシスを殺した犯人の手がかりが1つも見つからないからだ
「こんなに痕跡が見つからないなんて、一体こいつは何者なの?」
「僕もこんなに見つからないのは想定外だな...一体なにをすれば尻尾を出してくれるのか」
2人は頭を抱えている
「もっと大胆にことを起こせばいいのかな......」
「......あ!」
その言葉にレイヴンはなにかピンときたようだ
「何!?なんか思いついた?」
「いや、思いついたのは思いついたんだけど...その...」
レイヴンは口ごもる。思いついたはいいものの、言うべきか悩んでいるらしい
「何よ、じれったいわね。遠慮せずに言いなさい?」
「分かったよ、実は................................................」
そう言ってレイヴンは思いついた作戦をレイヴィアに話し出した
「............................ってのはどう?でも、正直リスクが高すぎるし失敗したら本当にヤバいから、もうこれしか方法がないってときのためにとっておきたいんだけど――「それ、良いじゃない!!」
実行せんとばかりに細部の修正をしだすレイヴィアに、レイヴンは慌ててストップをかける
「ちょっと姉さん!?僕の話聞いてた!?」
「大丈夫!ちゃんと最初から最後まで聞いてたから!」
「なら、余計なんでそうなるのさ!?」
そのレイヴンの問いにレイヴィアは迷いなくこう答える
「そんなの決まってるじゃない、他に方法がもうないからよ。これで納得してくれる?」
それを聞き、レイヴンは長く息を吐いた。納得したわけではない。ただ、姉の覚悟を止められないと悟ったのだ
「......分かったよ、姉さん。でも絶対に無理はしないでよ?少しでも危険だと思ったら、すぐにでもこの作戦を中止させるからね?」
「もちろんよ!」
それから2人は大筋はそのままに細部の修正を始めた
「だから!レイを囮になんて絶対にさせないからね!?もし囮がどうしても必要なら、私がやるわ!」
「わ、分かったよ!なら、どっちも囮にならない方向性で行くよ」
紆余曲折ありながらも、なんとか作戦を完成形までもっていく
「よし!なんとかここまでできた!これなら、なんとか通用しそうね!はぁ、疲れたぁ」
「お疲れ、姉さん。確かにこれなら何とかなりそうだね」
レイヴィアは近くにあった椅子にドサッと座り、カーテンの隙間から外を見た
「レイ見て、もう外明るくなってきたわよ」
「本当だ、今日が休みで良かったね。じゃなきゃ徹夜で出勤しなきゃいけなくなるところだった」
「あはは、それはマジで勘弁してほしい......」
あれやこれやと話し込んでいるうちにすっかり朝になっていたらしく、辺りはほんのり明かるくなり始め、鳥のさえずりが聞こえ始めていた
「流石にこの時間まで起きていると眠いわね」
「そうだね、僕も眠くなってきたや。それじゃあ姉さん、僕は部屋に戻るね。おやす......み!?」
そう言って部屋を出ようとしたレイヴンの腕をレイヴィアが引っ張って引き留める
「部屋に行くの面倒くさいでしょう?私のベッド半分貸してあげるから一緒に寝よ?」
そう言って、レイヴンに抱き着いたままベッドにダイブし布団を掛ける
「姉さん!だから、僕はもう子供じゃないってば!恥ずかしいから離して!」
「あらあら、そう言う割には抵抗する力が弱いわね?本当はレイも眠くて仕方がないんでしょう?」
レイヴィアの言う通り、レイヴンもまた眠気がピークに達しており、思うように力を出すことができないようだ。そのあとも少しレイヴンは抵抗の意を示していたが、だんだんレイヴンの抵抗力が弱くなっていき、最終的にはレイヴィアの腕の中で規則正しい寝息を立て始めた。それを確認し、レイヴィアもまた夢の世界へと入って行った




