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第四話 第1回作戦会議

調査記録 『アイシスの子供』

アイシスが命を懸けて守った子供。『レイヴィア』と『レイヴン』。この子達のおかげで、アイシスに別れを告げることができた。ありがとう。アイシス、あなたとの約束、絶対に守るから。


レイヴィア

双子の姉で、魔法属性は雷。軍敷地内に併設された孤児院で育てているとのこと。何度か様子を伺いに行ったが、大きくなればなるほどアイシスに似てきているように感じる。アイシスも小さい頃はこんな感じだったのかな?でもアイシスに似てきているという事は、彼女を恨めしく思っていた人がレイヴィアに逆恨みするかもしれない。それだけは避けなくては。孤児院の職員を数人買収し、レイヴィアのそばを離れないようにしてもらうことにした。


レイヴン

双子の弟で魔法属性は氷。レイヴィア同様、軍敷地内に併設された孤児院で育てているとのこと。でもこの子は父親に似たのだろう、アイシスにあまり似ていないように感じる。レイヴィアのように、逆恨みされる心配をする必要はなさそうだ。なんて思っていたが間違いだった。どうやらレイヴンはアイシスの性格と頭脳を受け継いだらしい。これはきっとアイシスを良く知る人に煙たがられるだろう。さらに何人か職員を買収し、レイヴンのそばを離れないようにしてもらうことにした。もし何かあればこっちで面倒を見るのもありかもしれない。


アイシスごめんね。約束守れそうにないや。

あれから1ヵ月が経ち、本格的に夏が始まっていた。そんな暑い中、植物園には、3つの人影があった

「お待ちしてました。お久しぶりです、リディさん。暑い中わざわざここまで来てくれてありがとうございます」

そう言い綺麗なお辞儀をするレイヴィア。そして、レイヴィアの後に続くようにお辞儀をするレイヴン

「久しぶりね、2人とも。まったく、前言ったことをもう忘れてしまったのかしら?そんなにかしこまらなくても良いのよ」

2人の態度を見てリディはクスクスと笑う

「そうでしたね、うっかりしていました。ここは日が当たり、暑いのでこちらへどうぞ」

そう言い前に来た時もあったガーデンファニチャーに案内する。前とは違いパラソルと冷たいお茶が用意されている

「この間貰ったUSB、見させてもらいました」

レイヴィアが話を切り出す

「そう、正直拍子抜けだったでしょう?ごめんなさいね、秘密裏に動いているものだから決定的な情報はあまりないのよ」

申し訳なさそうにリディが言う

「それに前に渡したものにも書いてあったと思うけど、一気に情報を渡すとあなた達が混乱してしまうと思ったから、前は渡さなかった。どうする?ここから先の情報は信憑性が薄いけど、欲しい?」

「ください。それが黒幕に近づく手がかりになるのなら、ほんの一歩でも黒幕に近づけるなら!」

レイヴィアはいつになく真剣な眼差しをリディに向ける

「分かったわ。さっきも言った通りこれらの情報は裏付けは弱いから、あくまで黒幕へのヒントとして使って頂戴。最終的な判断は任せるわ」

と言い、前回同様USBを差し出す。レイヴィアが感謝を伝え、USBを受け取る

「そういえば、作戦はもう立てたの?」

「いえ、まだです。ある程度情報を整理してから立てようと思っていたので」

リディの問いにレイヴンが淡々と答える

「なら、今から作戦会議を始めましょう。これからのあなた達の動向を知っておけば、私も多少フォローできるわ」

「そこに入っている情報もほとんど覚えているし」とレイヴィアの手に握られているUSBを指差しながら言う

「そうですね!よろしくお願いします!」

レイヴィアが身を乗り出しながら賛成の意を唱えた。そんなレイヴィアを見て、少し呆れたような表情を浮かべながらレイヴンも賛成の意を唱える

「そうね、まずは第1ターゲットから決めましょうか。第1ターゲットは確証の高い人の方が良い。となると......」

リディは少し考え、次のような答えを出した

「候補に挙がって来るのは、現・諜報長官の『テスタニア・トルンブロム』、それか諜報副長官の『ローズマリー・ウエストモア』なんてどうかしら?」

それを聞き、レイヴィアが質問をする

「なんで選んだのか理由を聞いても?」

リディが待ってましたとばかりにその問いに答える

「テスタニア諜報長官はアイシスが諜報長官だった頃の副長官で、長官の座を狙っていたから。それに、アイシスが死んで一番得をしたのは多分、彼。」

リディの表情が少し歪んだ

「次に、ウエストモア副長官。彼女は、あなた達の父親『シャマール・レドモンド』前線総司令に好意を寄せていて、彼と仲の良かったアイシスに嫉妬しているような様子を何度も見かけたわ。『恋は人を狂わせる』なんて言葉があるくらいだし、嫉妬が行き過ぎて...なんて可能性もあるじゃない?」

これには思う所があるのか、リディは複雑そうな表情を浮かべる

「とまあ、この2人がアイシスを良く思っていなかったのは、傍から見ても明らかだった。2人とも表立って行動はしていなかったけど、アイシスの死と関係あるのは間違いないと思う。あ!あと」

リディは思い出したかのようにこう言った

「『バルバロッサ・モルターラ』総帥閣下も候補に挙がるかも......」

それを聞いて、レイヴィアとレイヴンは顔を見合わせる

「えぇっと、諜報長官殿と諜報副長官殿が候補に挙がるのは分かるのですが、なぜ総帥閣下も候補に挙がるのですか?」

レイヴンが恐る恐る問いかける

「アイシスの処刑を決定したのは彼だからよ。例えどれだけ周りの人が処刑に賛成しようとも、閣下の許可がなければ処刑できない。でもアイシスは処刑された。つまりどういうことか、分かるわね?」

その問いに2人はほぼ同時に答えた

「「総帥閣下が処刑を許可した?」」

「正解よ。もし仮にアイシスが深紅の薔薇の首領だったとしたら、所々不自然な点があるの。でも、それをろくに調べないまま、アイシスを処刑台に立たせた。彼だけでも『もう少し調査しよう』と言ってくれれば、こんなことにならなかったかもしれないのに」

リディが私怨を言い過ぎたと気づいた時にはすでに、辺り一帯に重苦しい空気が流れていた

「私ったらつい、ごめんなさい。こんな事言うつもりじゃなかったの」

コホンと咳払いをし再びリディが話し出す

「とにかく、第1ターゲットの候補はこの3人よ。さて、誰から罪を償ってもらう?」

「......そうですね。僕としては総帥閣下にしたいところですが、現実的に考えて困難でしょう。すぐに捕まる未来が見える。となると諜報長官殿か、副長官殿の2択......でも2人は常に一緒にいるから1人になるタイミングを狙わないといけない。どうすればいいのか......」

レイヴンがブツブツと呟きながら考える。それに割り込むようにレイヴィアが

「なら、2人まとめて殺しちゃえばいいんじゃない?」

「......そんな軽々しく言わないでよ姉さん」

「いやいや、私2人が戦ってるとこ見たことあるけど、2人ともそんなに強かった印象ないもん」

「見たって、訓練での話だろ?訓練で本気出す奴なんて入隊したての奴か姉さんくらいだよ」

「そうだけど、剣の持ち方も銃の構え方もあまり良くなかった。まぁ、そっちの方が扱いやすいだけかもしれないけど。あと、2人ともエイムが......ん?待って、今私さらっとディスられた?」

「やだなーぼくがねえさんをディスるわけないじゃん」

明らかな棒読みをするレイヴンにレイヴィアが不満げな視線を向ける

「......まあいいや。2人ともエイムはあまり良くなかった。多分レイの方がエイム良いよ。てなわけで、私とレイが本気出せば2人まとめて来ても大丈夫だと思うんだけど、どう?」

とレイヴィアがドヤりながら言う

「なるほどね、それならなんとかなるかもしれない。次はどうやって始末するかだけど......」

「それなら、今月末にペトゥロス帝国軍とサルバート連邦軍で、合同演習をする予定だからそこでどうかしら?丁度いい舞台になると思うのだけど」

どうやらリディはその日程を組むために今日来たらしい

「今回はペトゥロス帝国内で演習する事になっているし、宿泊場所を決めるのも私の管轄だから、多少融通が利くわ」

「良いんですか?でも、リディさんに迷惑が掛かるのでは?」

レイヴィアが心配そうに問いかける

「私の事は心配しないで。こう見えても私は外交長官兼、特命全権大使なのよ?連邦軍もそう易々と手は出せないわ」

「では、とりあえずの目標は決まりましたね。次に何をするかは、これが終わってからまた考えましょう」

「ええそうね。時間も時間だし今日はこれくらいで。また今月末会いましょう」

そう言いリディは席を立ち、出入口に向かって歩く。少し待ち、リディが見えなくなったのを確認し2人も植物園を後にした。空を見上げると、辺りはオレンジ色に染まっており、もうすぐ日が暮れそうだ。2人は事前に用意していたティーセットを片付け、足早に居住棟へ向かう。居住棟へ向かう2人の姿は、表情こそ変わらずともどこか楽しそうだった

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