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(。-人-。) ゴメン…

面白い物って?

(◎_◎;)?


「付いて来な今お前に良い物見せてやるよ!」

 親父さんは愉しい事を見付けた悪戯小僧のようなニタッと不敵な笑顔で振り向いた…。


 良い物って?

 そう言われて工場の裏手に付いて行く、そこは整備前に車両の洗車などをする場所で何処の農家の家にも有る一般的軽トラが置いて有る、農家や漁業関係のお宅で使われるため泥や潮を被ってるから整備前に洗車しないと整備が出来ない、其の辺が都会で配送なんかに使われてる綺麗な軽トラとは違う所ですね、その軽トラの横の屑置き場にエキパイが転がっていた。


「ここに穴が開いてるからその侭じゃ車検に通らない、だから新しいマフラーに交換するんだ。」

 確かに止まってる軽トラには見慣れた排気のエンド部が見当たらない、荷台の下が剝き出しの軽トラだから丸見えのシャシーの辺りにはエキパイもタイコの部分も見当たら無い。


「ほら工場に運ぶから手伝え!、愚図愚図しないでサッサとそっち持て!」

 <ゴミのマフラーなんぞ何するねん?>

 そう思っていたがまた怒鳴られるし…、渋々従いマフラー一式の反対側を持って工場迄運ぶ。


「この辺で良いだろ。」

 工場の屋根が切れた辺りに降ろしコンクリに置かれたマフラー、親父さんは奥に入って移動式のアセチレンボンベを引いて来る。


「少し離れてろ!」

 言い防護メガネを掛けると<パシュ!>と音を発てバーナーが着火する、マフラー中央部分に有る太鼓の部分をバーナーで加熱し始め、太鼓部分の金属が焼けて変色し始めマフラーの両端の部分からさっきのGR50程では無いが紫煙が上がり始め、程無くして太鼓の部分に20✕15センチ程の口が開く。


「熱いから火傷に気を付けて、其の穴の中を見てみろ?」

 太鼓に開いた穴を指さし俺は恐る恐るのぞき込む、中には黒いヘドロ状の物が溜まってる、親父さんは切れた金属片を手にし(おもむ)に其の金属片で掬って見せてくれる。


「ほら此れがお前の単車のマフラーの中にもタップリ詰まってるんだ、だから排気が詰まって回転が上がるのも馬力を出すのも邪魔をするんだ。」

 当時HONDAの軽トラは4stのエンジン積んでたが、俺の田舎じゃ軽トラはスズキとダイハツが殆どで360㏄と550㏄の2stエンジンの軽トラ、軽バンが未だ未だ現役で走ってた。


「これが詰まってたんじゃ本来の馬力も出ないわな。」

 そう言って此方を振り向いた。

「でもマフラーを替える様な金は持って無いですよ…。」

 (´;ω;`)ウゥゥ

「んな事は解ってるよ、心配するな内緒で良い方法教えてやる難しくは無いから自分でやって見な。」

(ФωФ)フフフ・・・

 又悪戯小僧見たいな顔して笑ってた、其の後マフラーの降ろし方とタールを焼く方法を追加で30分程レクチャー受けてました、既に今日は何をしに来たのかすっかり忘れてます…。

 (。´・ω・)?

 《この方法は決してマネしてはいけません、当時だから出来た方法です!!》


 本格的な対処は後日行うとしてその日は応急で芯からロックウール剥がし剥き出しにした芯だけを元通りにセット、エアクリのスポンジ掃除しオイル含ませて絞って元通りセットでこの日は終わり、たったそれだけの事で回すと少々良い音発ててエンジンは吹き上がる。

 大した事をした訳じゃ無い、壊れていた訳でも無い、たったそれだけの事をしただけでGRは嘘の様に軽く加速し速度も上がって行く、とても同じバイクとは思えなかった。


「奴が言っていたのはこう言う事だったんだ…。」

 (^◇^)

 此処から速さに魅入られる事に為るとも知らずに…、まだまだのんきな頃だったんです…。


 其の日は授業も午前で終了、教師の会議とやらで午後は無し部活の監督も出来ないから部活も無し、当時の言葉では<半ドン>ですね、やっと因縁の二人と同時に帰れる待ちに待ったチャンスがやって来た。

「途中迄帰ろうぜ!」

 RZの主が声を掛けて来た、勿論未だ本格的に直した訳じゃ無くてこの間の侭だけどGRが直った事は二人には言って無い。

「分かった、其れじゃ途中迄!」

 其々停めて有る場所が違うから校門で待ち合わせ、気付かれない様に奴らが校門に到着したのを確認して一番最後に合流する心算。


 駐輪場でGRのエンジンを掛けると女子生徒に指を差され笑われ、そして聴こえて来る…。

「クマさんだ!」

「ホントだクマさんだ!」

 ハイハイ、クマさんで良いですよ…、GRに乗り始めてから何時の間にかそう呼ばれてる、何故そう呼ばれてるのかは何となく想像は付くが…、もう何とでも好きに呼んで呉れ…。


 タイミングを見計らい校門に到着、直ぐに声が掛かる。

「なんか音大きく為って無いか?」

「そうかな?、何時もと変わんないよ?」

 と(うそぶ)く。


「其れじゃ何時もの処で待ってるから!」

 そう二人に言われるが<絶対リードには勝つ!>と気合入れ校門を出る。


 校門を抜け緩いコーナー迄は三味線弾いて、職員室から見えなくなる直線で奴らが全開!、一呼吸置いて俺の<GR50>も全開!、そして速かった筈のあの<リード>に追い付く、約70ちょいが限界の<リード>を追い抜き其の前に出た、是がこのGRの実力なんだ…。


「行ッケー!」

 メットの中で大声で叫び視界の中に段々大きくなる<RZ50>を追走始める。


 しかし追い上げる俺に気づいて更に加速を始める<RZ50>、やはり速いホントに速い!、勿論出しちゃ駄目ですがアレは粗ノーマルなのに無風条件なら100位出ますから…。


 でも眼の前の景色が変わった、前はどんどん小さくなり最後には視界から消えてしまってた二人の其の背中…、今迄は追い付けなかったリードが此方の背を見て追って来る。


 じりじりと離されて少しずつ小さく為ってはいるが特徴的な<RZ50>のテールが視界から消えない…、

 GRの本来の実力、否、未だ本格的に直した訳じゃ無いんだ、改めて自分の無知さに気付き嫌っていて<ゴメン>とメットの中で謝っていました。

(。-人-。) ゴメン…


 なかなか進まず申し訳ありません。この調子では何時都会に出ていくのか?、何故出ていく事に為るのか、未だ時間が掛りそうです。

(^^ゞヘヘヘ

<ゴメン…>

(。-人-。) ゴメン…

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