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コレが犯人だったんだ!

謎が解けるのか?

(。ŏ﹏ŏ)?

 誘われて訪問した友達の家、バイクを脇に停めると表で作業していた親父さんが俺が挨拶するより早く声を掛けてくる、開口一番で俺に向け投げ掛けられた言葉は…。

「その単車走らねんじゃないのか?」


 その言葉はRZの主が俺に放った言葉と同じ。

「そんなに遅いバイクじゃ無い!」

 まるでその場に立ち会い俺達の言葉のやり取りを一部始終を観ていたんじゃないか?、そう思う位俺の胸に突き刺さる。


 <バイク>や<オートバイ>とは言わずあえて<単車>と言う辺りに若かりし頃が偲ばれる親父さん、友人の父親で在り、田舎で車の整備工場の社長で有り整備士でも在る、要するに一人親方ですね、小さな集落に有る唯一の自動車修理工場です。


 何故そう言われたのか訳が解らずぼーっとしていると、少し切れ気味に親父さんが俺に怒鳴る鳴る様に声が掛かる。

「良いからサッサとエンジン掛けてみいや!」

「ハッ、ハイ!」 

 慌ててバイクに駆け戻りエンジンを掛る、少して待っていると親父さんがバイクに近付いてスロットルを握り…。

「よーく聴けや!」

 親父さんがスロットル回す、つられてモコモコと音を発てゆっくり回転が上がり紫煙を吐く、直ぐ辺り一面が煙塗れになり、親父さんはスロットルから手を放しアイドリングに戻る、親父さんは放した右手をタンクに触れて呟く様にGR50に声を掛けていた。

「お前もっと、もっともっと走りたいだろ…」


 そして振り向きざまに俺は又怒鳴られる。

「ぼーっとしてないでサッサと其処に有る軍手着けろ!」


 俺の到着に気付いて出て来た俺を呼び出した本人は呆れた顔して言い放つ。

「まーた始まったよ…、終わったら俺の部屋に来な!」

 そう言い残し工場を後に自分の部屋に戻ってしまう、置き去りかよと思ってると又怒鳴られる…。


「そこの、プラス持って来い!」

 工具の置かれた道具棚からプラスドライバーを手にしてバイクのもとに。

「ここをよ〜く見てみろ!」

 指先はこのGR50の特徴であるメガホンマフラーのエンドを指している、近付き良く見るとプラスネジが一本止まってる。

「それ外してみな?」

 黒く油塗れのネジを言われる儘に外した、油でベトベトで正直触りたく無かったが…。


「今から其処を外すからカラス持ってこい!」

 工具棚から今度はカラス<ウォーターポンププライヤー>を手に持ち戻って来る。

「その芯を外すから部品の尻を左右に回しながら引き抜きな。」

 引っ張っただけじゃ中々抜けず左右に回しながら引っ張っぱると〈ブチュブチュ……〉と粘った音がする、少しずつ出て来て最後に〈ポンッ!〉と間抜けな音と共に黒い油塗れの棒見たいな部品が抜け落ちる。

「まぁ是だけでも大分変わるだろ?」

 背後から覗き込む親父さんの声が聞こえる。


「さぁさぁ!、ほらエンジン掛けてみろ!」

 先程と怒鳴った時とは違い愉快そうな声が上から聴こえ、振り向くとこれまた先程とは変わってイタズラ小僧の様で愉快そうな顔をしてる。


「ほらほら、急げ!」

 俺を急かす親父さん、キーを回しキックし3回目で掛かったエンジン、掛けて見たがさっきより少し音が大きいか?、それ位で特に変わった様子も無くハンドルに手を掛けスロットルを回そうとしたが直ぐに声が掛かる。


「暖ったまるまで少し待て!」

 急げと言ったり待てと言ったり、一体何なんだと思って居たが、バイクに近付くと軍手越しに空冷フィンに手をかざし一つ頷き一言。

「さぁ頃合いだ、ほら回せ!」

 言われてスロットルを開ける、其れは其れは大変な事に為ってしまう、辺り一面がまるで煙幕を張った様に周りが何も見えない程の紫煙が立ち込め、とてもその場に立っていられない位だったが俺は其の場から離れられなく為ってしまう。


 此処まで走って来た時と明らかに違う、ずぶのドシロートにも違いがハッキリ判る!。

 〈エンジン音が軽い!〉

 Σ(゜Д゜)?

 また一開け…。

 〈モタ着くこと無く回転が上がる!〉

 (´゜д゜`)!

 更に一開け…。

 〈開けたスロットルに比例してエンジンが追従して吹き上がる!〉

 (✽ ゜д゜ ✽)ウソ?


 俺が此処迄走って来たバイクと同じバイクなのか?、全く違うエンジンの反応を信じられずに紫煙が立ち込める工場の中で我を忘れて何度も何度も右手はスロットルを回していた、消音効果の無くなったマフラーが発てるエンジン音は三方を囲まれた山に一呼吸分遅れて木霊し続ける…。


「オイ!、そろそろエンジンを停めろ火事に間違われるぞ!」

 その声で我に返りキーを切りエンジンが止まる、さっきの喧騒が嘘の様に静かになった作業場。


「シロートにも良く解るように説明してやるからな、お前は鼻と口塞がれて全力疾走出来るのか?、出来ないだろう?、さっき迄の此奴はそんな状態だったんだ、走りたくても走れない其れじゃ走る為に生れて来た単車が可哀想だろ!」


 其の後、簡単に不具合の訳を説明して貰い今の状態を改善する方法などの小一時間程お勉強の時間が続く、さっき抜いた芯には消音と2stの宿命のオイル飛散防止のロックウールが巻いて在り、其処が燃え残ったオイルで詰り排気が抜け辛い状態だった事、同じくマフラーの中にも溜まって居る事、原因は田舎ではバイク用の2st専用オイルが高く手に入りにくく自宅の農機具用の混合用オイルを代用して入れてしまう、だからこう為る事が良く有るし通学の期間だけだから不具合在っても気付かない、其処迄説明して(おもむ)ろに親父さんが立ち上がる。


「付いて来な今お前に良い物見せてやるよ!」

 親父さんは愉しい事を見付けた悪戯小僧のようなニタッと不敵な笑顔で振り向いた…。


 アノ笑い顔には何だか悪い予感しかしないんですが…。

 ((((;゜Д゜))))ガクブル


良い物って一体何?

(・・?

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