遠くにいる君へ
小さな袋と1通の手紙が届いた。
小さな袋には、僕が大好きなチョコクッキーだった。
「葵、リクエストにこたえてくれたんだな」
一緒についていた手紙の封を切って、彼女からの手紙を読む
遠くにいるあなたへ
2022年2月14日バレンタインデーです。
今年はチョコクッキーにしました。あなたのリクエストに応えてみました。
今年は、とても寒い冬です。
雪も降りました。
そちらはどうですか?
暖かいのでしょうか。
あなたは寒がりだから、寒くないか心配です。
去年くれたマカロンとてもおいしかったです。
今年のマカロンも楽しみにしています。
今年も桜を一緒に見ましょう。
あなたとみる桜は格別です。
今でも目をつぶると、あなたが桜の中で笑っている姿を思い出します。
今年の桜もきれいでしょうか。
きれいだったらいいなぁ。
昔、プロポーズされるなら真っ赤なバラの花束ではなくて、
桔梗の花束がいいなといったことを覚えていますか。
私の夢なんです。あなたが叶えてくださいね。
今年のホワイトデーのお返しもマカロンでお願いします。
あなたがくれるマカロンは毎年おいしくて楽しみです。
ほかの誰でもないあなたがくれるマカロンを楽しみにしています。
まだ、寒い日が続くから身体には気を付けて。
クッキーがいいなら早くいってよ 葵より
4か月後、葵のもとには1本の紫色の桔梗が届いた。
しかもメッセージ付きで。
メッセージには
「こっちで待ってる」
葵は、微笑みながら彼に会うための準備を始めた。