忘れる事
ジョーラスさんじゃ無かった。
ああぁ。
朝、目が覚めると、まだまだ体の彼方此方が痛いなぁ。
でも今日はラビリンスの下の階を目指すかららね。
さ~て起きようか。
はぁ~。ここの宿の柔らかいベッドは良いなぁ。
ふふ。当然孤児院の藁のベッドよりも上等だけど。
やっぱり朝は寒いよなぁ。
うぅ~イテェ!、さぁて起きて、着替をして顔を洗いに行こう!。
朝の用を済ませてトントンと階段を1階へ下りてゆく。
今朝はフロントにモロゾフさん発見。
今日で3日目かな、追加の宿泊代金を払わないといけないな。
あと2日分を支払っておいて、後はまた考えようか。
モロゾフさん、おはようございます。
それで、。
あと、2日分の追加の宿泊をお願いします。
えぇ~と、代金は、ギルド彰で出払えますか?。
宿泊代金は2日で銅貨で50枚ですね、はい支払えますから。
問題ありません。
シンさんのギルド彰をこちらの上へ置いてください。
えぇ~と。ここの上ですか、。魔道具です?。
ええ便利な道具ですよ。
これのおかげで、現金を使わないで手続きが済みますからね。
あまり現金を置かない分。宿が安全面で楽になりマス。
まぁ。これの良し悪しな部分も有りますがね。
はい結構ですよ御代はいただきました。2日連泊ですね。
今朝は青ナマズに挑戦しようかと思いますよ!。
美味しいですかね?。
あはは!そうですか。
召し上がったお客様には意外と好評でしたが。
さて、、シンさんのお口に合うかは如何かと。
まあ、挑戦してください。
宿の定番料理らしいし。
皆が食べて平気なら俺も大丈夫だろうなぁ。
今日も朝ご飯を食べたらラビリンスに行きますから。
多分日帰りだと思いますけど。
はい。お気を付けて。
急いで朝ご飯を食べに食堂へ向かうよ。
うん!青ナマズの料理は美味しかったです。
白身魚のバター焼き?、って感じで。
塩気も利いてて良い感じだったですよ、イケてる。
最後にコップの水を飲みほして。
さてと、先ずはギルドで道具を借りてからだな。
時間が惜しいから、途中のスープは我慢しようか。
食堂の椅子から立ち上がって食器を返す。
急いで外に出て、冒険者の多い多い道を、ソソッと。
事件が起きない様に流れに乗って進むよ。
御ルドの裏に居たのは知らない人だった。
あれ!今日はジョーラスさんじゃ無いんだな。
すいません、一番小さいツルハシを借りたいんですが。
はいよ~!。
ちょっと待っててな!今出すから。
はいお待たせ、一番小さいツルハシだ。
はは、。
ジョーラスさんには、御願いして此処を手伝ってもらったからね。
もう自分の工房に戻ったよ。
何か用があったのかい。
いえ。要じゃ無いんですけど。
ラビリンスの事を色々と教えてもらってたので。
いないと寂しいなぁ~なんて思って。
なるほど、まあ工房に行けば会えるよ。
あの人は鍛冶工房の親方さんだからね!。
あぁ~ヤッパリ親方さんだったんですか?。
石好きのドワーフさんですもんね。
そうなんだぁ~。
あっ、、。
ちょっと聞いても良いですか?。
今は、他に人が来てないから良いけど。
なんだい、俺で分かる事なら答えてあげるけっど?。
良かったぁ~!。
あのですねぇ~、石のラビリンスですけど。
地下5階まで一気に向かうとどれ位の時間が掛かりますかね?。
今日、やってみようと思ってるんですよ。
さて、どれ位掛かるのかな、泊まり込みだと無理だけど。
なるほどねぇ、、一気に5階かぁ~。
だと君は、途中で何にも掘らないででしょ?。
うぅ~ん!空身で早足で急いでただ進むだけなら。
休憩を入れても、半日は掛からないで行けるかな?。
君も、5階で石を狙うのかい?。
いやぁ~、狙いなんて無いんですけど。
何となくヤッテみたくなってってヤツですかね。
出来るか挑戦かな!。
そうなんだ、意外と地下5階までいけるんだ。
それに、、、石?。
あの~?。
今言った、、石って?何の事ですか。
あぁあ!、君は今年の新人かな、、じゃあ知らないかぁ~。
此処のラビリンスでは良く言うんだよ。
「石に好かれる奴」が潜ると「出る」ってね。
ははぁ~!。
俺も此処で長年掘ってるけどね、、。
ふっ、、、。
掘りだしたいけどさ、、出ないんだよ!。
良い石に巡り合えないのさ。
でも偶に居るんだよなぁ~!運の良い奴ってさ。
だから、そんな奴が持って帰って来るんだよぉ~~。
かぁ~~~!何で俺じゃないかなぁ~!。
ふん!。
ドワーフも年寄りも、巡り合いだって言うけどさ、、。
そんなのが、かち合うとさ。
良い石が年に1~2回、、「出る」んだとさ。
石だよ。
へぇ~確か、ダンケロさんも言ってたな。
石に好かれる奴と、そうで無い奴が居るって。
なるほど、ここがリアルな現場って奴だ。
なるほど~~~!。
何だか凄い言われ様ですね、石かぁ~。
よ~し!俺も頑張って来ますからね。
あぁ~!チクショウめ!。
くぅ~~。
俺の分の良い石は掘るなよな!良いか分かったな。
あははは。
そんな事俺に出来る訳無いじゃないですか!。
石に聞いてくださいよ。
俺はいつも通り、に頑張って掘るだけですよ!。
じゃぁ、いってきまぁ~す。
お前!俺のは掘っるなよ~~!。
アンマリナ言い方だよね、へへ~。
裏門?を出て冒険者の人達に交じってラビリンスへ。
入口の周りは相変わらず人が多いなぁ。
なんとか紛れて入り込み地下一階のホールへ入ったよ。
あとは真ん中の道を突き進むだけだ!。
地位性ツルハシを肩に担ぎ真ん中の通路へ入る。
通路に入ってしばらくすると、、、あれ?。
立ち止まって耳を澄ます。
さっきまでは確かに、、。
近くに何人かが居たと思うんだけど。
その気配が無くなって静かな通路になったよ~ぉ。
怖いんですけど~。
これ!マジでおかしいでしょ?。
周りに人が居なくなるなんて、普通じゃないよ~。
えぇ~~!これ。ラビリンスだからなの?。
昨日も思ったけどラビリンスの不思議、、こえぇ~。
でも行くしかないじゃん!進むよ。
少し見慣れた1階を素早く抜けて、2階へ降りていく。
2階も休まずに早足で進んで、階段を目指していく。
意外と長い2階の通路。
忘れていた「灯り」を木の棒の先に灯すと一気に明るくなる。
その光に照らされた通路の先は、まだ長そうだよ。
ふう!言ったわ良いけど、また予備知識なしで来ちゃった。
朝、ジョーラスさんに会ったら聞こうと思ったけど。
考えが甘かったな。
まあぁ~、モンスターが出ないのが救いだよなぁ。
ふぅ。
愚痴を言いながら歩いていると、通路の先が行き止まりになった。
やっと3階への階段だ、どのくらい時間が経ったのか?。
トントンと階段を下へ降りていく。
3階の通路も今までと同じ様な床と岩壁が続いているよ。
早歩きで疲れたから、階段に腰を下ろして休憩だ。
あぁ~疲れた!。
今日はペットボトルに水を入れてきたもんね!。
炭酸の空ペットを再利用だよ。
朝内緒で洗面所の所で水を満タンにしたんだ。
勿論!他の人が居ないときにね。
ポーチからペットボトルを取り出して水を飲む。
魔力を節約して貯めて行かないとなあ。
「創生」でつい使っちゃうとあっと言う間に減るからな。
自分の為に、、省魔力だよなぁ!。
朝食のパンを半分残しておいたのも正解だな!。
へへ、ちょうど良いお茶の時間だ。
ん?。
あの右の岩壁の上の方って、、、銀鉱石が見えてる?。
いやいや!ここで今は掘らないよ、我慢我慢。
さてと行こうか、4階へ。
ふ~、行きますか!、、あっ~!、、。
このツルハシも、肩で担がないで、ポーチに入れちゃう?。
多分大丈夫だな、ここ人と全然会わないしなぁ~。
良いか、入れちゃえ。
いよいよ手ぶらだよ、何しにラビリンスに入ってるんだ。
見た目そんな感じになっちゃったな。
4階へ!よぉ~い、、どん!。
右手に「灯り」の点いた木の棒を携えて。
ゆっくり目の駆け足で通路をすすみだすと。
あぁ。
まるで「聖火ランナー」?気分だ。
異世界の?薄暗い地下ラビリンスの3階通路だけどね。
あはは!。
何となく伴奏に、フランスの国家を鼻歌で奏で。
ら!らら・らん!・らん!・らん!・らん!・ら~ぁ~らら!。
歌詞はアレだけど、、スキップ的リズムが、良いよ。
覚えているだけ、、最初からリフレインだ!適当だよ。
小走りで勢いで進むと、4階への階段の場所まで来たようだ。
気が紛れていると疲れもだいぶ違うなぁ。
さあ階段を下りて4階へ。
4階の通路で、、歌とか音楽?かぁ~。
じゃあ!。
何となく、エラとルイの夏の時間か良いけどなぁ。
冬だけど、、。
あぁ~~、ゆっくりにナッチャウ!。
目指そう5階。
あぁ~駄目か、、頭の中んで。リズムが。
つい目を閉じてしまう。
ソンな事って、、、無いかな、、。
、、。
進もう。
頭が♪音符に占領される前に。
急げ急げ!石が待ってる!お金が待ってる。
ここはラビリンスなんだ!。
頭を切り替えるけど。
軽快な星条旗のはためく音が聞こえてくるよ、あぁ。
スポーツの祭典が悪いんだ!そうだよね。
音符が頭から離れない俺!、急いで歩け!歩け!。
余所見もしないで急いできたからあっという間だった。
5階への階段だ!、やったぞ!。
さぁ階段を降りよう。
思わないぞ!国歌が階段を1段1段下りるのに、良いなんて。
タン・タン・タン・タン・タン・タン・タン!。
あぁ~~俺はダメ人間だ!止められない。
そんなバカな考えに取り付かれながら最深部の5階に到着。
通路に降り立つと、1本道が伸びているだけだ。
此処も同じ感じだな。
取り合えず通路を進んでみようか。
さて、この先に何が埋まってるのかな。
金鉱石とか出ちゃう?かな。
運が良いと「石」も色々と出るらしいからなぁ。
楽しみだな。
想像を膨らませて足を動かして通路を進む。
すると右側の壁に光に照らされた、穴の影が見えてきた。
どんな部屋かな、何かあるかな。
穴の手前で止まって思う。
石のラビリンス地下5階の初、部屋!。何がある?。
せーの!ほい!。
「灯り」の点いた木の棒を部屋の入り口に手を伸ばし差し込む。
体を前に倒して右横の部屋の入口を覗き見る。
ん?。通路狭っ!
なんだ良く見えないじゃん、はぁ。
直の部屋に入るかな、どれどれ、どんなかな?。
予想が外れて良く見えなかった部屋の中へ入るよ。
木の棒を前にして照らしながら進むと部屋の壁が黒い。
あぁ~ここは銀鉱石の部屋かな?全体が黒っぽいなぁ。
銀鉱石かぁ~、、良いけど後で考えよう。
次だ!次の部屋に期待だな。
5階だもん、銀じゃ無いんだ。
通路に戻って、また先に!奥に進むよ。
何だか急いで来たからかな、腹が減って来たなぁ。
次に部屋を見つけたらお昼にしようか。
ソンな事を考えながら通路を進んでいると。
左上の通リの壁が光った、「灯り」の光を反射したんだ。
あそこ!今光ったよな!。
チョット慎重に進むかな、さてどこだろう。
上の方の、あそこら辺だったけど?。
棒の先の「灯り」を左右に動かして光の反射を探すよ。
う~ん無いあなぁ?、
更に手を動かして反射を探すと、、。
おっ!アッタ!あそこだな。
どれどれ、、。
見失わない様にゆっくりと「光の」真下まで進み。
木の棒を岩の隙間に刺して固定させた。
あとはポーチからツルハシを出して軽く周りの岩を崩して。
コツコツ!コツ!。
コツ!コン!。
コン!。
ガン!ゴロ!ゴンゴン。
上から岩が崩れて来た、少しのつもりが。
意外と大きく崩れてしまったよ。
わぁ~~!何でこんなに崩れるんだよ!。
もう!これじゃあ探すのが大変じゃんか!。
参ったなぁ。
はぁ~さっきの光ったの、此処の中から探すのかぁ。
取り合えず「灯り」をもう1つ出すかな。
う~ん、どこがいいかなぁ。
麻袋には何も入って無いし、ポーチにも?入って無いなあ。
ん、、。
このナイフを岩に掛けてっと、、。
腰のナイフをベルトから外して、近くの岩壁に掛けてみる。
良い感じに2つの「灯り」で見やすくなったな。
さて探すかぁ~。
何処に行っちゃったかなぁ、これかな?これか?。
崩れた岩を1つ1つ手に持って、
クルクルと光に翳して、良く見回して探すよ。
ダンケロさんの所でヤッタ鉱石の選別に近いけど。
探す相手が違うんだなぁ、小さいと思うから見逃せないよ。
無いなぁ落ちた衝撃で粉々とか止めてよね。
はぁ。このデカい岩も、う~んこっち側には無いか。
引っ繰り返すの重そうだなぁ、、そ~れっと!。
ゴン!ゴロン。
ふぅ重いなぁ~、こっち側は如何かな。
おっ!アッタ!。
なんか黒く見えるけどこれだなガラスっぽなぁ。
ガラスとか水晶じゃないよなぁ。
ん、でも、水晶って、、此処では見て無いかな?。
岩の中にガラスの様な、黒い面が1か所見つかったよ。
ああ~!ピッケルも借りてくるんだったよ!
岩から取り出すのに、道具がツルハシ1つかぁ~。
まいったなぁ、これは岩を周りから削って行くかな。
ふぅ~。
コツコツ、コツコツ、コツコツ、コツコツ。
コツコツ、ゴツ、コツコツ。
ゴツ。
ゴン、ゴツ。
コツコツ。
ツ、ツ、ツ、ツ、ツ。
ツ、ツ。
コッ。
くっ、と、取れたぁ~!やったぁ~!。
これだぁ~!あれ、丸くないの?、はぁ~四角っぽい?。
ん~緑色?。
手に取った「石」を指で摘まみ「灯り」の光に翳すと。
奇麗な、、濃緑色の「宝石」?だった。
大きさは、、、小さい角砂糖かな?
四角い、、「宝石」?。
音が。
ぐぅ~~~~~。
あぁ~~。
お腹空いたなぁ~~。
さて、シンの前に宝石が出たのか。
緑色の、、。




