ジョーラスさんの質問
教えは当たるのかな。
痛いし疲れた。
今の時間は定かじゃないけど、取り合えず。
石のラビリンスの通路を出口に向かって歩いて行く。
さっきの爆発で身体中が痛いけど。
肩に担いでいる麻袋は、一杯の鉱石で重いよ。
まあまあの収穫も有って、進む足取りは軽いかな。
コレだけ掘り出せば、良いお金になるだろう楽しみだな。
それにジョーラスさん何て言うかな。
にしても、、ぐぅ、重いよ~。
遠いなぁ~。
俺、意識してなかったけど入口から結構歩いてたんだなぁ。
ふぅ~、、まだ出口、、見えないなぁ~。
こんなの嘘だよ~!。
泣き事を言いながら出口を目指して歩いてるけど。
あっれぇ~~?マジで遠いんですけど、出口?。
そんなに時間を掛けて歩いて無かったと思うけどなぁ。
なんだかヤダなぁ~。
ホントに自分の足音しかしない通路だなぁ。
真っすぐだから、、誰かいれば分かると思うんだけど、、。
何で、だ~れも居ないのかな~?。
何だか気が急いて、、。
さらに足早に通路を出口に向かって進むと、、。
コツコツコツ、、カツコツ、、コツコツ。
ハァハァハァハァ、ハァハァ、ハァ~。
自分の足音と、荒い息遣いの音だけが聞こえる。
ハァ~ハァ!。
早く帰りたくて急ぐと余計に体力がキツクなる。
そして、、。
息が上がって、立ち止まった。
これ無理だよ。
駄目だ休憩しよう、胸が苦しいや!。
ハァハァ。ハァ~。
麻袋に鉱石を詰めすぎたかなぁ、コレが重くて、、。
くぅ~!この!この!。
ガシャ!と音を立てて、足元に下ろした麻袋。
軽くつま先で蹴ってみる。
担いだ肩も。袋を握り締めていた手も。
痺れるし、ズキズキと痛いよ。
ふぅ~~!ふぅ~。
水!、水!。あ~ぅ。もう手で良いや「清水」。
「清水」、、、くうぅ~生き返る。
何とか。
1回目の「清水」で汚れてる手を奇麗にして。
2回目の「清水」で、冷えた水をゴクゴクと飲んで。
乾いた喉を潤したよ。
そして岩壁を背に、腰を御下ろした。
おかしいなぁ~。
もう、、出口に付くと思うんだけど、、。
何でコンナに遠く感じるんだろう。
途中の部屋も行きと変わらなかったし、、。
ふぅ「創生」、、。
つい、、魔法を使ってしまう。
手の中にペットボトルの黒い炭酸飲料が現れた。
へへへ~ぇ!、、我慢できない!。
魔力は、、、7減ったのか、、コレは何時の値段だ?。
70円当たりの値段、、記憶にないけど。
でも、良かったシッカリと冷えてるよ。
キャップを捻ると、プッシュ~っと炭酸の抜ける音がした。
あの独特の甘い香りも一気に広がるよ。
今なら若いから、、一気飲みが出来るかな、、、。
イヤ止めよう、コレが勿体無いモンね!うひひぃ~!。
数年ぶりに炭酸を飲むぞ~!。
顔を上に向け煽るように飲むと。
甘くて冷えた液体が口一杯に広がり。
炭酸の刺激が、舌に、口内に、鼻にも。
シュワシュワ!パシピシと 優しく弾ける。
そして、、ゴクゴクと飲める!。
ぐあぁ~~~~~~~!旨すぎる!。
、、。
、、、、、ぐぅげぇ~~~!。
あはぁ~、、炭酸のゲップ何て、、。
あ~幸せだ!。
あっと言う間だった。
最後まで炭酸の刺激を味わって飲み干した。
空のペットはポーチに仕舞っておこう。
何かの役に立つかもだし。
暫く休んでから、また立ち上がって出口を目指すよ。
帰りの通路の先には、まだ外の光は見えないよ。
何度も思うけどさ。
それにしても出口が遠いんだけどな~。
あと少しのはずだから、、頑張るか!。
でも、麻袋が重いなぁ~。
コレをポーチに入れるのはなぁ~。
もしも帰りの途中ででも。
他の冒険者に出会った時に不味いしなぁ~。
手ぶらだったのに、急に荷物が現れたら、、。
それは、、ダメだよね~。
歩き出しても、考え事が尽きない。
銀って幾らになるかなぁ!、へへぇ~!。
お金♪!お金♪!お金♪!。
まあ、現金な妄想が大半なんだけど。
急げ!急げ!外へぇ♪!。
救いのない妄想をしていたら、視線の先に明かりが。
おっ!外の灯りかな。
やったね!待っててねジョーラスさん。
鉄じゃないのを持って行くよ。
お金♪!お金♪!。
ついにラビリンスの出口に到着した。
外に出てみると辺りは思いの外に静かだった。
町への道には、冒険者は誰も居なかったよ。
ふと空を見上げると太陽は、これはまだ昼前の位置かな。
俺は、午前中に早々と帰って来たのかもしれないな。
コレは中途半端な時間で人が居ないのかな。
さあ、ギルドの裏の買取所へ行って鉱石を、、、お金に!。
、、ヤバいよついニヤケテしまう。
肩に担ぐ麻袋の重みは、、お金の重み!。
お金に代わる場所が近いから幸せの重みかな。
俺の、、今日は良い日になるでしょう。
足取り軽く、道を進み町の中へ入っていく。
テクテクと歩きギルドの裏の買取所に向かうよ。
すると、、ヤッパリ居るねジョーラスさん。
お~い!ジョーラスさ~ん。
ただいまです。
もう帰って来ちゃいましたよ。
言われた通りで2階では銀鉱石が沢山掘れましたよ!。
ホラホラ!これを見てくださいよ。
これこれ!。
背中の麻袋を揺らして見せたよ。
あっ、、痛てて!。
袋の中の鉱石が背中に擦れてしまった。
痛てて!。
あ~!こんなツモリジャ無かったのに~。
銀鉱石に虐められたよ、失敗したなぁ。
あ~背中が傷になったも~痛い。
俺ってバカだなぁ~。
シン!。
なにを1人でバカやってんだよ!。
お前って!、、。
ヤッパリ何処かが、、ぬけ、、それ可笑しいだろ!。
大丈夫かよ!お前の相手は、、。
これからしばらく、、俺がするのか?。
うぅ~何故か嫌な予感しかしねぇ!。
お前の「・・・」に中味が入ってるんだか~怪しいな~。
あ~これは、、確率的に空っぽだな!。
うん、間違いないな。
何て事を言うんですか!。
失礼だなぁ~。もう~ぉ!。
ちゃんと入ってますからね!。
この中には一杯詰まってるんでですから!。
良い大人がソンな短慮じゃ駄目ですよ。
俺をあんまりバカにシナイで下さいよね!。
それと今日のツルハシ代は幾らですか。
おう!銅貨2枚だな。
はいこれ銅貨2枚ですよ。
イヤイヤ!怪しいなぁ~。
コレからは、お前を様をジックリ見ていくからな。
人間なんてな、普段の言動ですぐ分かるんだぞ。
くくくっ。もう粗方知れてるがな。
でぇ~?、、何だって仕事か?。
あぁ~!地下2階で銀鉱石は掘れたのかよ?。
俺は何だか、カチンと来たけど。
昨日と同じ木の台に、ドスンと音を立てて麻袋を下ろした。
ホラこれですよ!。
ジョーラスさん見てくださいよ、俺の今日の仕事ぶりを!。
この膨らんだ麻袋、中に入ってますからね!。
ほら!。
なんだよ!。
おいおい!、えらく強気に来るじゃね~かよ。
言ったなぁ~シン!、どれどれ、見てやろ~じゃね~か。
それだけ言って、鉄混じりとかじゃね~だろうな?。
昨日も言ったが屑鉱石は要らねぇぞ!。
おら!ここへ出してみろよ!。
上から言われて。
木の台の上へ鉱石を袋から出していく。
また袋を逆さまにして引き上げていくよ。
ゴロゴロと転がりながら多くの銀鉱石が。
麻袋から台の上へ出てくるよ。
最後にゴトリと音を立てて銀の塊も数個落ちたよ
ホラどうですか、これ銀鉱石でしょ!。
シッカリと、じっくりと見てくださいよね。
それにですよ。
今日も見つけたんですよ、これ!これ!。
ほら金属が溶けてるけど、これは銀ですよね?。
ジョーラスさんが真剣な目で台の上を見ているよ。
ふふふ、、驚いたか!。
俺の実力に!。
今日も言うだけの事は在る様だな。
屑石は、、無いか。
お前の言う通り、この鉱石は確かに、、銀鉱石だな。
それでだ!、、。
コレはどうしたんだ!また落ちてたのか?。
溶けた素の銀を手に持って俺に聞いてきた。
確かに鉱石が溶けてるな、見た目は素の銀だな。
また落ちてたのかよ?んんん~。
コレは何処に落ちてたんだ?。
ありゃ、、コレはヤバいかな。
えぇ~と。
その溶けてるヤツですね、ええまた落ちてましたよ。
通路の横の穴の先で見付けた小部屋で、ですね。
小部屋の岩壁に穴が開いてて、その周りに鉱石と一緒に。
パラパラと床に落ちて、幾つも有りましたけど。
そうかよ、、、。
岩壁に穴がなぁ~。
ほぉ~~!なるほどなぁ。
まあ、それでも良いかなぁ、、、。
で?、、この鉱石類は一纏めで、全部を買取で良いのか?。
シン!今日はどうするんだ?。
やったね、お金だよ!幾らになるかあぁ。
えぇ~と。
一応、鉱石の買取の金額を聞いてから考えます。
それでも良いですか、ジョーラスさん?。
今の宿の支払いとか、買い物とかに要りますからね。
だから幾らか現金も手元にないと困るので。
ほぉ~~。
そうかよ、、。
此処の町中でなぁ~。
ふふ、、シンょ~お。
くくっ、、何言ってんだよ?。
そんな事はなぁ、ギルド彰の中の金で払えるだろうが。
おいおい!、、。
お前!、、、、もしかして、、、しら、、。
いやだなぁ~。ほら!現金も持ってないと。
ぐぅ!ジョーラスさんの、俺を見る目付きが、、、。
あぁ~~!イヤに目元と口元が歪んで、、。
急げ急げ!強く言わないと駄目だ。
後々まで言われる事案になる事、間違いなしだ。
いや!違いますよ!。
手元にお金がないと寂しいじゃないですか。
ジョーラスさん!変な考えは辞めてくださいよね。
さっきも、あんな失礼な事を言ったでしょ。
知ってますからね俺だって、それ位はね。
便利に使ってますよギルド彰。
プッ!、、。
ソレはそうだよなぁ~。
まあ、普通はそんなもん知ってるはなぁ。
じゃあ。
今、査定してくるからな、しばらく待っとけや。
俺を斜めに見ているよ、あれは駄目な人の目だ!。
意外とジョーラスさんは良い人では無さそうだな!。
はぁ~。
また座って待って居よう。
ぼ~っと座って、人通りを見ていたら、声を掛けられた。
おい!終わったぞ、コッチニ来いよ。
シィ~ン!来いよ。
急いでジョーラスさんの所に駆けて行くよ。
はぁ~い!。
えへへ!。銀鉱石は幾らになりました?。
楽しみだなぁ~、新しいズボンとか、買えるかなぁ~。
何を買おうかなぁ。俺には色々足りないからなぁ~。
靴も履き変えたいよなぁ。
先ず今日の買取金額の合計は。
銀鉱石が銀貨1枚と銅貨が58枚だ。
それとは別に溶けてた素の銀素材の方が。
銀貨11枚と銅貨が32枚だ。
両方を合わせて。
銀貨12枚と銅貨が90枚が買取金額だな。
えっ!銀貨12枚ですか?。銅貨90枚?。
俺は見た事も無い金額を告げられてビックリしたよ。
凄い!あれがそんなに高いんですか?。
え~と、、鉱石ですよね?。
言っただろうが!。
溶けて製錬されてるから手間が掛からんのだ!。
それに量も多かっただろう!。
あれにはな!十分にそれだけに価値が有るんだよ。
良いかシン、あれは銀だぞ、銀貨の元だ!。
俺達が素の銀をなチョイチョイと炉で溶かして。
混ぜ物をして、少し硬くするんだよ、そいつを、、。
鋳型に流せば、新品の銀貨の出来上がりだ。
あれは直ぐに、良い銀貨になるんだよ。
あぁ~~。
ウソだぁ~~!直ぐにお金になるなんて!。
俺達ドワーフは国から色んな仕事を受けているんだぞ。
その中にキッチリとした貨幣の製造もしてる。
寸分の狂いも無い硬貨だ。
お前の持ってる硬貨の類も俺達ドワーフの作品だぞ。
言われて。
お財布の中から銅の硬貨を2枚、掌に出して並べる。
確かに、、見事に同じだよ。
昨日の、お前が掘った銅鉱石も何時か。
巡り巡って硬貨になるかもしれんぞ。
がっはは~!
う~ん、、ジョーラスさんが言ってもなぁ。
イマイチ重みって言うか、、。
シン。なんだ!その目は!。
俺だって自分の鍛冶場で仕事をしてるぞ!。
今は、頼まれてな、臨時で此処に居るだけだぞ。
ホントかなぁ~?。
何だろうか、この緊張感の無さ。
まだ疑いやがるのか!。
お前は今度な。俺の工房にコイや!顔を出せよ。
良いな来いよ、お前に俺の作品を見せてやるから。
お前の、その腰のナイフと比べて見ろ。
驚け!出来が違うからな。
おっ、ダンケロさんのナイフの出番だな。
楽しみだよね。
はいはい!。
解りましたから、はいこれ。
俺のギルド彰ですから。
今日の分のお金は、これに付けて下さいね。
お前!くぅ~~。
チッ、、、おらギルド彰を寄こせよ。
、、、。
ほらよ付けたぞ、お終いだ。
地団太じゃないけどカリカリしてるよ。
俺は明日も石のラビリンスに潜りますから。
それで、地下3階って如何行けば良いですかね。
それを、、今の俺に聞くのかよ、、。
はぁ。若い奴らは面の皮が厚すぎるぜ、、ふぅ。
3階かよ?。
ここのラビリンスは真ん中の通路を行くのが最短だ。
2階、3階、4階、5階、、。
各階で、わき道に逸れず直進しろ!直進だ!。
そう。真っすぐ進めば目の前に階段が現れて下へ行けるさ。
へぇ~!真っすぐが正解なんだ。
良い事が聞けたな、やっぱり良い人かなジョーラスさんは。
そうなんですね。
また教えてもらって助かります。
ここへ良い石を掘って持って来ますからね。
じゃあ俺は行きます。
また明日。
愛想よく言いジョーラスさんと別れた。
さて明日から一気に下を目指そうか。
何処まで行けるかな。
真っすぐ地下に伸びるラビリンス。
お金が稼げてるから良いね、、シン。




